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145 ダンジョン最終日
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「お見事!ゴブリンよりも楽勝だったろ?」
「ふーーーーっ!思ったより強くはなかったです。前に小烏丸さんが言ってた通り、3階の赤ゴブリンの方が断然強いですね」
「だろ?でも与える傷を最小限にという指令を、キチンと遂行出来たのは見事だったぞ。これならばドラゴンの素材を売る時に高値がつくハズだ。買い取るような店が存在するのか知らんけど」
「たしかにドラゴンの素材なんで貴重品ですよね。どう使うのかは、さっぱりわかりませんけど」
「上位龍ならとんでもない価値がつくんだろうけど、コイツは下位竜だしな。とにかく2体目のドラゴン肉を手に入れられて良かったわ。虎徹さんが来る前に解体して、急いで内臓を聖水で浄化しないとな」
「そうだ!もう時間がほとんど無いですよ!さっさと行きましょう!」
まだ部屋に虎徹さんが来てないのを確認し、もう一つの部屋で急いで解体をした。
・・・・・
「とはいえ、浄化の必要があるのかどうかも謎のままだったり」
「そうなのですか?まあそれでも、やっておいて損はないですから・・・」
この部屋の泉は内臓プカプカ状態になってしまったので、いつもの部屋に移動。
泉に巾着を入れ、聖水の補給開始だ。
一つ目の巾着を満タンにしてから、女神の泉から減った分の聖水が回復するのを待ち、二つ目の巾着にも聖水を満たす。
よーし、これで当分聖水不足に陥ることはないだろう!
大きな戦でもあればまた一気に消費してしまうけど、美濃も伊勢も今は大人しいから、しばらくは安泰だと思いたい。
「お?2人とも揃ってるじゃん」
この声は!?
「虎徹さん!お久しぶりです!」
「一ヶ月ぶりだな!どうよ?目標は達成出来たか?」
「・・・見ての通りですよ!ルシオは強くなりましたけど」
「いつも通り赤い流星だな。そしてルシオの服装も変わっていない」
「俺の男性服運は壊滅的だということが改めて再認識できましたよ。せめてルシオの服くらいは手に入れたかったのですが・・・」
「なるほどな・・・、フム」
俺が赤い流星を卒業出来ないのはもうしょうがない。ただその不運に、ルシオも巻き添えにしてしまったのがなあ。
「ルシオ、これはオレからのプレゼントだ。折角強くなったのに、いつまでもその服のままじゃ不憫だからな」
虎徹さんがどこからか服を取り出して、ルシオの前に突き出した。
マジか!?まさかの虎徹さんサプライズ!!こいつはありがてえぞ!
「え!?僕にですか??いや、でも僕は恩恵を受けているだけの立場ですので、これを貰うわけには・・・」
「気にすんな!オレがやりたいと思ったからやるんだ」
「ルシオ、ありがたく受け取っておけ!」
「・・・あ、ありがとうございます!大切に使わせて頂きます!」
「あー、着る前に小烏丸に少し強化してもらった方が良いぞ」
「たしかに強化するなら着る前の方がいいか。汚れ耐性とかが全部付けば、洗濯の必要すらなくなるから」
「えーと・・・、じゃあ小烏丸さん、お願いします!」
ルシオから服を受け取った。
[軍服]
:謎の化学繊維で作られた服。付与魔法が込められている。評価B
:斬撃耐性 衝撃耐性 火魔法耐性
:自動修復(小)サイズ自動調節
へーーー!これは格好良いな!!一般的な軍服というよりはガチャ特有のコスプレ風の作りなので、非常に洗練されたデザインだ。
黒い軍服なんだけど、黄色の生地が上手く使われていて無茶苦茶格好良い。
用途のわからない金色のチェーンが胸元にいっぱい付いていたりするけど、これはただの飾りっぽいな。肩の部分にも黄色のひらひらしたのが付いており、腰には金色のベルトだ。
もうこれは明らかに一般兵の軍服ではなく、もっと格上の人が着るような衣装だ。
着る前からすでに、この赤い流星の衣装に匹敵する貫禄がある。
「ん??虎徹さんって俺に黒衣を預けている間、白衣を着てましたよね?こんな格好良い服を持ってるのに、なぜ白衣を着ていたんです?」
「着るのが楽だったからだぞ。小烏丸なら気持ちがわかると思うけど、黒衣セットってパーツ多いからイチイチ面倒くさいんだよ!たまにはさっと羽織れる服が着てみたかったんだ」
「ああっ!それすっげーわかるかも!!なるほど、そんな理由かあ・・・」
でも虎徹さんはまだマシだ!俺なんか手袋だけじゃなく、ヘルメットにマスクだぞ?もう慣れたけどさあ・・・。
「ルシオの服は、尾張に帰ったら真っ先に強化してやるからな。性能は恩賞で女の子達に与えてる服と全く一緒だ」
「えーと、良いのですか?僕は手柄を立てて手にしたわけでは無いのですが」
「構わん。しっかり強化しとかないと、万が一破れたり燃えたりしたら死にたくなるほど絶望するぞ?とにかくこの服に相応しい男になりたかったら出世しろ!そしてミスリルの武器を手に入れて見せろ!」
「はいっ!そうなるように頑張ります!」
服が高級すぎて、足軽組頭程度じゃ分不相応なのよね。
最低でも足軽大将、出来れば侍大将にまで出世すれば身分と釣り合うかな?
「おい・・・、コレはどうした!?」
ん?
虎徹さんが、俺がポーズを決めて写っている写真を持っていた。
「ああ、そうそう!ガチャでカメラを手に入れたんですよ!」
「マジか!!!カメラなんて出るんかよ!」
マジックバッグからカメラを取り出し、狼狽えている虎徹さんを激写。
カシャッ!
出て来た写真を虎徹さんに渡した。
「うおおおおお!!マジだ!こいつはすげえ!!」
長いことダンジョンに住んでた虎徹さんでも、カメラはまだだったようだな。
もう帰る時間なんだけど、ポーズを取った虎徹さんを激写したり、俺とルシオが並んでるのを写してもらったりと盛り上がってしまった。
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