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196 お菓子
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今日は和泉の紹介をする為に、ミスフィートさんの部屋に来た。
「彼女の名は和泉、俺と同郷の者です。トラネコで拾って来ました」
「小烏丸の同郷か!私はミスフィートだ。宜しくな」
「拾って来たとは酷いじゃない!えーと、和泉です!初めまして」
この国の大名が相手でも、変に緊張とかはしていないみたいだな。
「それでですね、和泉を料理班に入れたいと思ってるのですよ」
「料理班に?」
「ここ最近の料理、すごく美味しくなったと思いませんか?」
「そう、それだ!昨日の肉料理なんてフワフワで感動したぞ!」
「一昨日から和泉が料理班に参加してまして、あの美味しい料理の考案をしているのは和泉なんですよ。和泉、例のモノを出してくれ!」
和泉が、手に持っていた箱をミスフィートさんの机の上に置いた。
そして箱を開けて中身を取り出し、ミスフィートさんに話しかける。
「ミスフィートさんは甘い物って好きですか?」
「んーー、甘い物などほとんど食べたことが無いから、好きとも嫌いとも言えんな」
「えーとですねえ、これは『クレープ』と言うお菓子です!本当はケーキが作りたかったんだけど、卵も牛乳もバターも無い状態で作れるお菓子となると、すごく限られてしまうんですよね~」
卵な~、確かに卵があれば色々な料理やお菓子が作れるだろう。
しかし鶏なんぞ一度も見たことが無い。たとえ空を飛んでる鳥の卵を発見したとしても、1個2個じゃ話にならんのよね。どこかに巨大な鳥がいて大きな卵でも手に入るならば、探す価値があるのかもだけど。
「さあ召し上がれ!」
ミスフィートさんがクレープを手に取り、かぷっと噛り付いた。
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「美味いッ!!なんて甘い食べ物なんだ!!!」
思えば果物や砂糖があるのだから、クレープくらいならば俺でも作れたな。
しかし俺の頭の中に、お菓子を作るという発想が無かった。
甘い物が嫌いとかではないんだけど、甘味に無頓着というか・・・、うん、存在を忘れていた感じだ。和泉の出現で尾張の食事情が激変するかもしれんな、コレは。
「この、中に入っている赤くてドロッとした物は何なのだ?」
「名前は知らないですけど、赤い果物で作ったジャムですよ。他の果物でもジャムを作ったので、これとは違った味のクレープも作れます!」
「素晴らしいじゃないか!そっちの味も食べてみたいぞ!」
「じゃあ今から厨房に行って作りますか?他の子達もまだ食べてないから、この後みんなの分も作る予定だったんです」
「行く!是非作る所も見てみたい!」
・・・なんか、お菓子でミスフィートさんのテンションが有頂天だ。
女の子のお菓子にかける情熱は、やっぱ凄まじいモノがあるな。
そしてハイテンションになった二人と一緒に厨房まで移動した。
・・・・・
「「おいし~~~~~!!!あま~~~~~い!!!」」
うおおお、大絶賛だ・・・。
女の子達はコレを求めていたんだな。気の利かない俺を許してくれ!
「こんなに喜んでもらえるのならば、他のお菓子も作りたいわね~」
「他にもあるの!?」
「ん~~~、問題なのは卵も牛乳もバターも無いということかしら・・・」
「お菓子を作るのに、その三つが無いのって致命的じゃないか?」
「すごく妥協すれば出来なくはないけど、それなりの味にしかならないわね」
それらを使わないお菓子って何があったっけ?
「ああ、そうだ!ゼリーなら今の三つは必要ないよな?」
「必要無いわね。でもゼラチンが必要よ?」
「んー、それなら何とかなるんじゃね?確か動物の皮とか骨から抽出するハズだ」
「あっ、それは聞いたことあるような気がするけど、私には良く分からないなあ」
あとは魚の鱗からも取れるんだったかな?まあ、煮凝りみたいなもんだし。
長時間コトコト煮てから、濾過して不純物を取り除けばいいって何かで見たぞ。
「何となく出来そうな気がするから、ゼラチンは俺に任せとけ」
「期待してるからね!あと牛も捕まえて来て!」
「牛なんか見たことねえぞ!乳が出るならどんな動物でも良さそうな気はするけど・・・、そうだ!和泉が乳を出せば解」
ビシッ!
「ぐおおおお!」
思いっきり脛を蹴られた。せめて最後まで言わせろや!
あ、そうだ!清光さんに聞いてみっかな?三河になら牛乳とかあるかもしれんし。
和泉のこともまだ報告してないから、後で通信してみるか。
和泉がどんどんクレープを焼いているのだが、女性達もどんどん食堂に集まって来るので、まるで終わりが見えない無限ループに突入していた。
「なんかすげー人数増えてるし!こりゃあ和泉一人じゃ厳しいな。手伝ってやろう」
「うぅ、お願いするわ・・・」
鉄板を増量し、俺もクレープを3枚ずつ焼き始めた。
「ナターシャやフローラ達にも、作り方を教えてマスターしてもらった方が良いぞ。間違いなくクレープは当分の間フィーバーし続けるだろ」
「そうね~、これは簡単に作れるから、料理班の誰もが作れるようにしよう!」
俺もクレープを貰って食べてみたけど、久々のお菓子はむっちゃ美味かった!
「彼女の名は和泉、俺と同郷の者です。トラネコで拾って来ました」
「小烏丸の同郷か!私はミスフィートだ。宜しくな」
「拾って来たとは酷いじゃない!えーと、和泉です!初めまして」
この国の大名が相手でも、変に緊張とかはしていないみたいだな。
「それでですね、和泉を料理班に入れたいと思ってるのですよ」
「料理班に?」
「ここ最近の料理、すごく美味しくなったと思いませんか?」
「そう、それだ!昨日の肉料理なんてフワフワで感動したぞ!」
「一昨日から和泉が料理班に参加してまして、あの美味しい料理の考案をしているのは和泉なんですよ。和泉、例のモノを出してくれ!」
和泉が、手に持っていた箱をミスフィートさんの机の上に置いた。
そして箱を開けて中身を取り出し、ミスフィートさんに話しかける。
「ミスフィートさんは甘い物って好きですか?」
「んーー、甘い物などほとんど食べたことが無いから、好きとも嫌いとも言えんな」
「えーとですねえ、これは『クレープ』と言うお菓子です!本当はケーキが作りたかったんだけど、卵も牛乳もバターも無い状態で作れるお菓子となると、すごく限られてしまうんですよね~」
卵な~、確かに卵があれば色々な料理やお菓子が作れるだろう。
しかし鶏なんぞ一度も見たことが無い。たとえ空を飛んでる鳥の卵を発見したとしても、1個2個じゃ話にならんのよね。どこかに巨大な鳥がいて大きな卵でも手に入るならば、探す価値があるのかもだけど。
「さあ召し上がれ!」
ミスフィートさんがクレープを手に取り、かぷっと噛り付いた。
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「美味いッ!!なんて甘い食べ物なんだ!!!」
思えば果物や砂糖があるのだから、クレープくらいならば俺でも作れたな。
しかし俺の頭の中に、お菓子を作るという発想が無かった。
甘い物が嫌いとかではないんだけど、甘味に無頓着というか・・・、うん、存在を忘れていた感じだ。和泉の出現で尾張の食事情が激変するかもしれんな、コレは。
「この、中に入っている赤くてドロッとした物は何なのだ?」
「名前は知らないですけど、赤い果物で作ったジャムですよ。他の果物でもジャムを作ったので、これとは違った味のクレープも作れます!」
「素晴らしいじゃないか!そっちの味も食べてみたいぞ!」
「じゃあ今から厨房に行って作りますか?他の子達もまだ食べてないから、この後みんなの分も作る予定だったんです」
「行く!是非作る所も見てみたい!」
・・・なんか、お菓子でミスフィートさんのテンションが有頂天だ。
女の子のお菓子にかける情熱は、やっぱ凄まじいモノがあるな。
そしてハイテンションになった二人と一緒に厨房まで移動した。
・・・・・
「「おいし~~~~~!!!あま~~~~~い!!!」」
うおおお、大絶賛だ・・・。
女の子達はコレを求めていたんだな。気の利かない俺を許してくれ!
「こんなに喜んでもらえるのならば、他のお菓子も作りたいわね~」
「他にもあるの!?」
「ん~~~、問題なのは卵も牛乳もバターも無いということかしら・・・」
「お菓子を作るのに、その三つが無いのって致命的じゃないか?」
「すごく妥協すれば出来なくはないけど、それなりの味にしかならないわね」
それらを使わないお菓子って何があったっけ?
「ああ、そうだ!ゼリーなら今の三つは必要ないよな?」
「必要無いわね。でもゼラチンが必要よ?」
「んー、それなら何とかなるんじゃね?確か動物の皮とか骨から抽出するハズだ」
「あっ、それは聞いたことあるような気がするけど、私には良く分からないなあ」
あとは魚の鱗からも取れるんだったかな?まあ、煮凝りみたいなもんだし。
長時間コトコト煮てから、濾過して不純物を取り除けばいいって何かで見たぞ。
「何となく出来そうな気がするから、ゼラチンは俺に任せとけ」
「期待してるからね!あと牛も捕まえて来て!」
「牛なんか見たことねえぞ!乳が出るならどんな動物でも良さそうな気はするけど・・・、そうだ!和泉が乳を出せば解」
ビシッ!
「ぐおおおお!」
思いっきり脛を蹴られた。せめて最後まで言わせろや!
あ、そうだ!清光さんに聞いてみっかな?三河になら牛乳とかあるかもしれんし。
和泉のこともまだ報告してないから、後で通信してみるか。
和泉がどんどんクレープを焼いているのだが、女性達もどんどん食堂に集まって来るので、まるで終わりが見えない無限ループに突入していた。
「なんかすげー人数増えてるし!こりゃあ和泉一人じゃ厳しいな。手伝ってやろう」
「うぅ、お願いするわ・・・」
鉄板を増量し、俺もクレープを3枚ずつ焼き始めた。
「ナターシャやフローラ達にも、作り方を教えてマスターしてもらった方が良いぞ。間違いなくクレープは当分の間フィーバーし続けるだろ」
「そうね~、これは簡単に作れるから、料理班の誰もが作れるようにしよう!」
俺もクレープを貰って食べてみたけど、久々のお菓子はむっちゃ美味かった!
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