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409 ルクセリア陥落

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「ゴヘアッ!!!」


 最後の1人が血溜まりの中に沈んだ。


 ふーー、ミッションコンプリート!!

 え~と・・・、コイツで何人目だ?
 10人以上は斬ったと思うが、まあ別にわざわざ数える必要はねえか。

 しかし室内の戦闘はヤダねえ~。

 戦ってる最中は必死だから気にならんのだけど、仕事人が終わって帰る時はいつも最低の気分になる。


 ニャルル達は大丈夫かな?

 ココよりは兵士が少ないだろうけど、それでも何人かはいるハズだからな。とりあえず街の入り口まで行って、まだ来ていなかったら他の櫓を手伝いに行こう。



 ・・・・・



 南東の入り口に来てみるともうすでに制圧が完了しており、ナルティア・パメラが周囲の警戒をしていた。

 そこに東の櫓を任せていたシャイナが合流。
 この場は反乱軍の兵士達に任せて、三人と共に西の入り口に移動。

 すると西の入り口も難なく制圧が完了していたので、ニャルルとゴマちゃんを迎えに行こうとしたら、二人が無事に帰って来るのが見えた。



「よし!街の出入り口と全ての櫓の攻略完了だ!ナルティア、作戦は第二段階へ移行するぞ。精鋭達を連れて領主の館を落とせ!俺達は残った兵達と共に、街にいる全てのゼネトス兵狩りを開始する」

「わかった。ここからが正念場だな!!街のネズミ退治も大変だと思うが、小烏丸に指揮を任せる!」


 ナルティアが、再度反乱軍に気合を入れ直す。


「皆の者、必ず領主のガードナーを仕留めるぞ!!!」

「「おおおおおおおおおおおーーーーーー!!!」」


 事前に決めてあったメンバーを率いて、ナルティアは領主の館へと向かった。
 よし、俺達も行動を開始すっか。


「さて、じゃあ俺達も・・・、ん?」


 ニャルルが泣いていた。

 いや・・・、それだけじゃなく、シャイナもゴマちゃんの様子もおかしい。
 パメラは普段通りな気がするけど、皆の雰囲気を感じ取りオロオロしている。


「あ、そうか・・・、これは俺のせいだ」


 今まで北海道で暮らしていた彼女達には、人を殺めた経験など無かっただろう。
 しかし俺がこんな殺伐とした国に連れて来た。

 確かに彼女達は肉体的には強くなったけど、心の強さとなると話は別問題だ。
 腐った国で生きてきた人達と違って心が純真なんだ。

 なのに俺は、彼女達が強くなったのをいいことに、暗殺みたいな汚れ仕事までやらせてしまった。精神的なダメージのことなどまるで考えてなかった。


「本当にすまなかった。俺は皆の強さしか見てなくて、心にどれほどの負担をかけるかを見落としていた。とても嫌な仕事をさせてしまったな・・・」

「「うわああああああぁぁぁん」」


 三人を抱き寄せ、落ち着くまで数分ほどじっとしていた。


「あ、あのね!そろそろ行動を開始しないと・・・」


 パメラの一言に我に返った。


「そうだった。もう少し慰めてやりたいけど、今はゼネトス兵を倒さねばならない。パメラ、この三人と一緒に入口の封鎖を頼む。ゼネトス兵が来たらニャルル達にはできるだけ戦わせないように、・・・頼めるか?」

「任せて!」

「じゃあちょっくら暴れて来るぜ!」


 成り行きを黙って見守っていてくれた反乱軍の皆に礼を言い、それぞれに指示を出してから駆け出した。

 遅れを取り戻す為に3倍の速度でゼネトス兵を間引いてやる!





 ************************************************************





 それから数時間、一度も休むことなく街中を駆け回った。

 ジャバルグ兵と違って髪型ですぐゼネトス兵だとは判断しにくいが、鎧を着た野盗風の奴は全部ゼネトス兵だった。

 ナルティア軍の兵士と間違わないように注意する必要はあったけど、服を強化したこともあり、味方には全員鎧を脱いでもらったので見分けることが出来た。



「小烏丸ッッ!!」


「ん?」


 名前を呼ばれたので声の方を見てみると、そこにいたのは領主の館に攻め込んでいたナルティア達だった。


「ガードナーを討伐したぞ!!!」

「おおお!そうか、とうとうやったか!おめでとう!!」


 ナルティアが駆け寄って来て、思いっきり胸に飛び込んで来た。

 衝撃で吹き飛びそうになったが、なんとか堪える。


「ごふッ!くっ・・・、いいタックルだ」


 しかしタックルは一発じゃなかった。
 フレイアとスカーレットによる波状攻撃に耐えきれず撃沈。


「ぐはっ!」


 ドシャッッ


 たまらず後ろに倒れ込み、土煙が舞う。


「・・・・・・三人は無理でした」

「ぷっ」

「「あーっはっはっはっはっはっは!!!」」


 埃まみれになりながら、皆で大笑いだ。
 事の顛末は一切聞かされていないが、この感じだと快勝だったのだろう。

 しかしゼネトス兵を一人でも捕り逃してしまえば作戦は失敗となる。ちょっと気持ちが緩んでしまったが、気を取り直してそれぞれ街へ散開した。



 ・・・・・



 虱潰しにゼネトス兵を葬り去り、ニャルル達を置いてきた西の門へと戻って来た。


「こがにゃ~ん!!」
「こがっち!」
「こがにゃんさん!」


 ガシッ!!


「うおおおおおお!よ、よしッ!今度は耐えきったぞ!!」

「「あははははははははははははっ!」」


 それにしても、三人とも笑顔に戻ってるな。
 パメラと目が合うと、サムズアップで答えてくれた。

 なるほど、パメラが三人を慰めてくれたんだな。本当にありがとう!!
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