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ダンジョン編
59 突然の真相
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―――――【神殿】―――――
女神アリエッタは非常に苛立っていた。
いつまで経っても勇者がアリアに行ったという報告が来ない。
「王族に信託を授けてもう結構経つはずなのに、まだ勇者の召喚をしてないのかしら?」
このままじゃ、あと数年であのクソ女が奈落から出て来てしまうというのに。
「誰か!シャルロットを呼んで来て下さい」
・・・・・
「お呼びでしょうか?アリエッタ様」
「やっと来たわね。勇者の召喚はまだなの?」
ドキッ!
「え、えーと・・・まだなんじゃないでしょうか?」
「そろそろ勇者を召喚して、鍛えておかないと間に合わなくなるわ」
間に合うって何に???
「えーと、それは何に間に合わなくなるのでしょうか?」
「貴方聞いてないの?・・・あと数年で、狂気の女王が奈落から出て来るわ」
「ええええええ!?」
「女王が前回アリアに侵入したのは大体1万年前。私が出るしかなく、その時の戦いでアリアは壊滅的なダメージを受けた」
アリエッタがため息をつき、話を続ける。
「世界が今のように回復するまで、数千年もかかってしまったのよ。・・・私と狂気の女王が戦えばまたあの時のような破滅が待っているわけ」
イカンですよ?でも勇者がいたところで、狂気の女王なんて倒せなくない???
「勇者がいるとどうなるのです?狂気の女王なんて倒せませんよね?」
アリエッタが紅茶を一口飲み、立ち上がって窓のほうへ歩く。
「女王は倒せないわ。私が戦ってもアリアでなら精々互角、奈落でなら負けでしょうね。ここで戦えば私が勝つでしょうが、アイツがノコノコとここにやって来る事は有り得ない」
窓から外の景色を眺めながら話を続ける。
「勇者の役割は戦って勝つ事ではなく、アリアと奈落を繋ぐ扉を光魔法で閉じる事なの。そして光魔法は異世界の勇者にしか使う事が出来ない」
知らなかったーーーーー!!!あたし勇者を剥奪しまくってるんですけど・・・。
「強い戦士ならアリアにもたくさんいるわ。でもね、勇者が居なくては決着を着けることが出来ないの。まあ扉を閉めるだけなので、真の決着とも言えないのですが」
「は、はあ。なるほど・・・」
「ヴァルスネラの闇の神殿に、魔王が集結していると聞いたわ。・・・きっと女王が帰還した時に、支配した世界を捧げるつもりね」
「大ピンチじゃないですか!」
「その通りよ。でも、そう簡単に世界を支配出来るなんて事は出来ないでしょうね」
「んーと、その物騒な扉を作ったのって誰なんです?」
「扉を作ったのは狂気の女王よ」
え?自分で作った扉なのにすぐ開けられないの?
「ふふっ。とても不思議そうな顔をしているわね。ではそこから詳しく説明してあげましょう」
アリエッタがテーブルに戻り、優雅に紅茶を飲む。
「その昔、一人の女神が何人もの神を殺すという事件が起きました。当然神々も黙っているわけがなく、討伐隊が組まれ、その女神を追い詰めました。ところがその女神はあろうことか私の世界、アリアに逃げ込んだのです」
アリエッタが口を歪める。
「当然私も討伐隊に参加し、その女神を追いました。狂気の女王と呼ばれる理由は、その事件の被害者がみな凄惨な殺され方をしたからです。・・・そして追い詰められた狂気の女王は、異界と繋がる扉を作り出し、そこへ逃げ込みました」
神々を殺しまくったとか、どんだけ凶悪なんですかね・・・。
「しかしその扉は、誰が何をどうやっても開けることが出来なかった。壊すことも出来なかった。そこで神々は最後の手段として、扉に厳重な封印を施すことにしたのです」
「えーと、その神々が扉を閉めることは出来ないのです??」
「もちろん出来ますよ。でもここに来るまで数百年はかかるでしょうね」
「アリエッタ様が閉める事は?」
「封印に関しては、そのスペシャリストの力じゃないと無理です」
「なるほど、そういうことだったのですか。でもなんで勇者は扉を閉めることが可能なのですか?」
「それは封印を施した神の光魔法が問題だったのです。私に光魔法の習得は無理でした。私の世界の住民にも無理でした。光魔法を習得出来るのは、封印を手掛けた神とその世界の住民だけ」
紅茶を一口飲む。・・・もう完全に冷めてしまったようで眉間に皺が寄っている。
「そこで封印の神は私に言いました。封印が弱り、もし扉が開きかけたら私の世界の人間を召喚し、光魔法で扉を閉めさせるがよいと。私の加護を与えれば光の加護を授かるように色々と調整もして下さいました。なので私の加護は勇者にしか授けられないのです。この世界の住民に与えても無意味なのですから」
先に言っといて欲しかったーーーーーー!!!情報むっちゃ遅いよ!!!
「そ、そうだったのですね!オホホホホー。きっとすぐ来ますよ!勇者」
「自分で召喚出来れば楽だったのですけどね。召喚魔法の特性上これは仕方がない事なのです。前回女王が侵入した時は自分で何とかしようと思い、全力で戦った結果世界がめちゃくちゃになってしまい、結局他の神々にも迷惑をかけてしまいました。もうあのような事があってはいけません」
すなわち勇者って、子供だろうがプロレスラーだろうがヤクザだろうが誰でも良かったんかい!
女神アリエッタは非常に苛立っていた。
いつまで経っても勇者がアリアに行ったという報告が来ない。
「王族に信託を授けてもう結構経つはずなのに、まだ勇者の召喚をしてないのかしら?」
このままじゃ、あと数年であのクソ女が奈落から出て来てしまうというのに。
「誰か!シャルロットを呼んで来て下さい」
・・・・・
「お呼びでしょうか?アリエッタ様」
「やっと来たわね。勇者の召喚はまだなの?」
ドキッ!
「え、えーと・・・まだなんじゃないでしょうか?」
「そろそろ勇者を召喚して、鍛えておかないと間に合わなくなるわ」
間に合うって何に???
「えーと、それは何に間に合わなくなるのでしょうか?」
「貴方聞いてないの?・・・あと数年で、狂気の女王が奈落から出て来るわ」
「ええええええ!?」
「女王が前回アリアに侵入したのは大体1万年前。私が出るしかなく、その時の戦いでアリアは壊滅的なダメージを受けた」
アリエッタがため息をつき、話を続ける。
「世界が今のように回復するまで、数千年もかかってしまったのよ。・・・私と狂気の女王が戦えばまたあの時のような破滅が待っているわけ」
イカンですよ?でも勇者がいたところで、狂気の女王なんて倒せなくない???
「勇者がいるとどうなるのです?狂気の女王なんて倒せませんよね?」
アリエッタが紅茶を一口飲み、立ち上がって窓のほうへ歩く。
「女王は倒せないわ。私が戦ってもアリアでなら精々互角、奈落でなら負けでしょうね。ここで戦えば私が勝つでしょうが、アイツがノコノコとここにやって来る事は有り得ない」
窓から外の景色を眺めながら話を続ける。
「勇者の役割は戦って勝つ事ではなく、アリアと奈落を繋ぐ扉を光魔法で閉じる事なの。そして光魔法は異世界の勇者にしか使う事が出来ない」
知らなかったーーーーー!!!あたし勇者を剥奪しまくってるんですけど・・・。
「強い戦士ならアリアにもたくさんいるわ。でもね、勇者が居なくては決着を着けることが出来ないの。まあ扉を閉めるだけなので、真の決着とも言えないのですが」
「は、はあ。なるほど・・・」
「ヴァルスネラの闇の神殿に、魔王が集結していると聞いたわ。・・・きっと女王が帰還した時に、支配した世界を捧げるつもりね」
「大ピンチじゃないですか!」
「その通りよ。でも、そう簡単に世界を支配出来るなんて事は出来ないでしょうね」
「んーと、その物騒な扉を作ったのって誰なんです?」
「扉を作ったのは狂気の女王よ」
え?自分で作った扉なのにすぐ開けられないの?
「ふふっ。とても不思議そうな顔をしているわね。ではそこから詳しく説明してあげましょう」
アリエッタがテーブルに戻り、優雅に紅茶を飲む。
「その昔、一人の女神が何人もの神を殺すという事件が起きました。当然神々も黙っているわけがなく、討伐隊が組まれ、その女神を追い詰めました。ところがその女神はあろうことか私の世界、アリアに逃げ込んだのです」
アリエッタが口を歪める。
「当然私も討伐隊に参加し、その女神を追いました。狂気の女王と呼ばれる理由は、その事件の被害者がみな凄惨な殺され方をしたからです。・・・そして追い詰められた狂気の女王は、異界と繋がる扉を作り出し、そこへ逃げ込みました」
神々を殺しまくったとか、どんだけ凶悪なんですかね・・・。
「しかしその扉は、誰が何をどうやっても開けることが出来なかった。壊すことも出来なかった。そこで神々は最後の手段として、扉に厳重な封印を施すことにしたのです」
「えーと、その神々が扉を閉めることは出来ないのです??」
「もちろん出来ますよ。でもここに来るまで数百年はかかるでしょうね」
「アリエッタ様が閉める事は?」
「封印に関しては、そのスペシャリストの力じゃないと無理です」
「なるほど、そういうことだったのですか。でもなんで勇者は扉を閉めることが可能なのですか?」
「それは封印を施した神の光魔法が問題だったのです。私に光魔法の習得は無理でした。私の世界の住民にも無理でした。光魔法を習得出来るのは、封印を手掛けた神とその世界の住民だけ」
紅茶を一口飲む。・・・もう完全に冷めてしまったようで眉間に皺が寄っている。
「そこで封印の神は私に言いました。封印が弱り、もし扉が開きかけたら私の世界の人間を召喚し、光魔法で扉を閉めさせるがよいと。私の加護を与えれば光の加護を授かるように色々と調整もして下さいました。なので私の加護は勇者にしか授けられないのです。この世界の住民に与えても無意味なのですから」
先に言っといて欲しかったーーーーーー!!!情報むっちゃ遅いよ!!!
「そ、そうだったのですね!オホホホホー。きっとすぐ来ますよ!勇者」
「自分で召喚出来れば楽だったのですけどね。召喚魔法の特性上これは仕方がない事なのです。前回女王が侵入した時は自分で何とかしようと思い、全力で戦った結果世界がめちゃくちゃになってしまい、結局他の神々にも迷惑をかけてしまいました。もうあのような事があってはいけません」
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