僕から君へ

雪桜

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パーカーとマフラー

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家に帰ると真っ先にベッドへと向かった。

「はぁ…」

寝っ転がり、ふとため息をこぼす。
家の中の静かさが虚しさを駆り立てた。
水を飲もうと居間へと向かった。そのついでといってはなんだが、姉の仏壇にも手を合わせようと思った。
だが、唐突な目眩が僕を襲う。
ばたりとその場に倒れ込むも、意識はあった。

「最近寝てないからかな、ははっ」

なんて、冗談のように枯れかけた声で呟く。
そしてそのまま寝た。

翌朝起きるとソファの上にいた。

「大丈夫かい?あんた」

声のする方を向くまでもない。母だ。

「あぁ、だいじょーぶ、平気だ」

そういって起き上がろうとするも体が妙にだるかった。昨日寒い中外を歩いたからだろう。
そう思った途端にあることを思い出した。

「まったく、無理に起きようとするんじゃないわよ」

「待って!母さん!」

「何よ」

「少しだけ、外に出させてくれ!」

そうだ、昨日見たあの女の子だ。無性に心配になった。

「いいけど、あんた自分で歩けるの?」

確かに言われてみればそうだ。だが、

「行ける。根性で行く。」

そう言うと母に笑われた。

「なーに、あんたらしくないこと言ってぇ!熱あるのよ?早く帰ってきなさいね?帰ってこなくても連絡くらいよこしなさいよ?」

そう言うと快く送り出してくれた。
根性で行く、といったものの、意識が朦朧としてきた。
あともう少し、あともう少しで公園だ。

「あ…」

彼女はそこにいた。
彼女はこちらを向きはっとした顔でこう言った。

「もしかして、このパーカーとマフラーきみの?」

その言葉を聞き、元気そうなのを知れて妙に安心した。そしてその場に倒れた。
大丈夫?という心配そうな声だけが薄れゆく意識の中でしっかりと反響した。
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