2 / 3
パーカーとマフラー
しおりを挟む
家に帰ると真っ先にベッドへと向かった。
「はぁ…」
寝っ転がり、ふとため息をこぼす。
家の中の静かさが虚しさを駆り立てた。
水を飲もうと居間へと向かった。そのついでといってはなんだが、姉の仏壇にも手を合わせようと思った。
だが、唐突な目眩が僕を襲う。
ばたりとその場に倒れ込むも、意識はあった。
「最近寝てないからかな、ははっ」
なんて、冗談のように枯れかけた声で呟く。
そしてそのまま寝た。
翌朝起きるとソファの上にいた。
「大丈夫かい?あんた」
声のする方を向くまでもない。母だ。
「あぁ、だいじょーぶ、平気だ」
そういって起き上がろうとするも体が妙にだるかった。昨日寒い中外を歩いたからだろう。
そう思った途端にあることを思い出した。
「まったく、無理に起きようとするんじゃないわよ」
「待って!母さん!」
「何よ」
「少しだけ、外に出させてくれ!」
そうだ、昨日見たあの女の子だ。無性に心配になった。
「いいけど、あんた自分で歩けるの?」
確かに言われてみればそうだ。だが、
「行ける。根性で行く。」
そう言うと母に笑われた。
「なーに、あんたらしくないこと言ってぇ!熱あるのよ?早く帰ってきなさいね?帰ってこなくても連絡くらいよこしなさいよ?」
そう言うと快く送り出してくれた。
根性で行く、といったものの、意識が朦朧としてきた。
あともう少し、あともう少しで公園だ。
「あ…」
彼女はそこにいた。
彼女はこちらを向きはっとした顔でこう言った。
「もしかして、このパーカーとマフラーきみの?」
その言葉を聞き、元気そうなのを知れて妙に安心した。そしてその場に倒れた。
大丈夫?という心配そうな声だけが薄れゆく意識の中でしっかりと反響した。
「はぁ…」
寝っ転がり、ふとため息をこぼす。
家の中の静かさが虚しさを駆り立てた。
水を飲もうと居間へと向かった。そのついでといってはなんだが、姉の仏壇にも手を合わせようと思った。
だが、唐突な目眩が僕を襲う。
ばたりとその場に倒れ込むも、意識はあった。
「最近寝てないからかな、ははっ」
なんて、冗談のように枯れかけた声で呟く。
そしてそのまま寝た。
翌朝起きるとソファの上にいた。
「大丈夫かい?あんた」
声のする方を向くまでもない。母だ。
「あぁ、だいじょーぶ、平気だ」
そういって起き上がろうとするも体が妙にだるかった。昨日寒い中外を歩いたからだろう。
そう思った途端にあることを思い出した。
「まったく、無理に起きようとするんじゃないわよ」
「待って!母さん!」
「何よ」
「少しだけ、外に出させてくれ!」
そうだ、昨日見たあの女の子だ。無性に心配になった。
「いいけど、あんた自分で歩けるの?」
確かに言われてみればそうだ。だが、
「行ける。根性で行く。」
そう言うと母に笑われた。
「なーに、あんたらしくないこと言ってぇ!熱あるのよ?早く帰ってきなさいね?帰ってこなくても連絡くらいよこしなさいよ?」
そう言うと快く送り出してくれた。
根性で行く、といったものの、意識が朦朧としてきた。
あともう少し、あともう少しで公園だ。
「あ…」
彼女はそこにいた。
彼女はこちらを向きはっとした顔でこう言った。
「もしかして、このパーカーとマフラーきみの?」
その言葉を聞き、元気そうなのを知れて妙に安心した。そしてその場に倒れた。
大丈夫?という心配そうな声だけが薄れゆく意識の中でしっかりと反響した。
0
あなたにおすすめの小説
友達婚~5年もあいつに片想い~
日下奈緒
恋愛
求人サイトの作成の仕事をしている梨衣は
同僚の大樹に5年も片想いしている
5年前にした
「お互い30歳になっても独身だったら結婚するか」
梨衣は今30歳
その約束を大樹は覚えているのか
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
幼馴染の許嫁
山見月 あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。
彼は、私の許嫁だ。
___あの日までは
その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった
連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった
連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった
女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース
誰が見ても、愛らしいと思う子だった。
それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡
どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服
どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう
「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」
可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる
「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」
例のってことは、前から私のことを話していたのか。
それだけでも、ショックだった。
その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした
「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」
頭を殴られた感覚だった。
いや、それ以上だったかもしれない。
「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」
受け入れたくない。
けど、これが連の本心なんだ。
受け入れるしかない
一つだけ、わかったことがある
私は、連に
「許嫁、やめますっ」
選ばれなかったんだ…
八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる