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23 二人の色【ガイセル目線】
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「邪魔したか?」
自分でもわかるほど声が冷たかった。ボシュカが慌てて机の上を隠す。隠されたら見なければ。彼女の腕を乱暴に払いのけると、アクセサリーのカタログ。お互いの瞳の色や好きな色、あるいは誕生石を連ねてつくるネックレスやブレスレットのカタログだった。拳が硬くなって爪が手のひらに食い込む。
「ボシュカ、マクシスと話がある」
ボシュカはマクシスの肩に手を置いてから下がった。部屋に静寂が戻る。聞きたくなくても、聞く必要がある。
「ボシュカを愛してるのか?」
「いいえ…?」
「いいえ」という言葉を信じたいけれど、できない。今この目で二人が楽しそうに額をくっつけるようにして笑い合っているのを見たのだから。
「じゃあこれは何だっ!?何なんだ!」
俺はカタログをテーブルの上から跳ねのける。
「俺のことを愛してると言って、俺はっ…嬉しくて…なのにあれはベッドの上でだけのことだったのか!?」
「ガイセル、誤解が…」
「信じられない!愛してるなんて言葉!俺の気も知らないで…っ」
マクシスが伸ばしてくれた手を、俺は振り払う。マクシスの目が変わった。「じゃあガイセルは僕の気持ちをわかっているのですか?」という問いが、冷たい声で放たれる。
「ガイセルが若い兵士に祝福を授けているとき、僕がどんな気持ちなのか」
「それは…あれは仕事じゃないか」
「いくら仕事でも…ガイセルも勃つのでしょう。それで甘い言葉を兵士に囁いてあげるのでしょう。それにたまには…若い兵士を可愛いとかかっこいいとか、思うことだってあるでしょう?」
マクシスの声が震えて、目には涙が潤み始める。彼を傷つけて、幻滅されるのが怖い。彼が離れてしまうのが、何より怖い。
「違う!」
俺は説明する。若い兵士に祝福を授けるとき、いつもマクシスのことを想像していると。そうしないと勃たないと。
「俺ひとりの意思で、祝福の授与を止めることはできない。だが幻滅しないでくれ。愛してるんだ、マクシス…」
マクシスは俺に近づいて、抱きしめてくれた。それだけで身体の力がすべて抜けていきそうだ。
「見てください」
アクセサリーの注文書。
「赤いガーネットとアイスブルーのサファイアを使ったネックレスを作ってくれ」と。宝石の比率まで細かく指定してある。
俺の色とマクシスの色。二人の色を組み合わせたネックレス…
「俺と、マクシスの…?」
「ええ。もうすぐガイセルの誕生日ですから。ボシュカさんにアドバイスをもらいながら考えたんです。彼女はおしゃれなので」
ほっとして情けなくて、脚の力が抜けて、俺はへなへなと床に座り込んだ。黒狼がこんな風に床にへたり込むなんて、あってはならないのに。
「僕はあなたを永遠に愛してます、ガイセル」
マクシスにキスをもらいながら、俺の頬には安堵の涙が流れた。
自分でもわかるほど声が冷たかった。ボシュカが慌てて机の上を隠す。隠されたら見なければ。彼女の腕を乱暴に払いのけると、アクセサリーのカタログ。お互いの瞳の色や好きな色、あるいは誕生石を連ねてつくるネックレスやブレスレットのカタログだった。拳が硬くなって爪が手のひらに食い込む。
「ボシュカ、マクシスと話がある」
ボシュカはマクシスの肩に手を置いてから下がった。部屋に静寂が戻る。聞きたくなくても、聞く必要がある。
「ボシュカを愛してるのか?」
「いいえ…?」
「いいえ」という言葉を信じたいけれど、できない。今この目で二人が楽しそうに額をくっつけるようにして笑い合っているのを見たのだから。
「じゃあこれは何だっ!?何なんだ!」
俺はカタログをテーブルの上から跳ねのける。
「俺のことを愛してると言って、俺はっ…嬉しくて…なのにあれはベッドの上でだけのことだったのか!?」
「ガイセル、誤解が…」
「信じられない!愛してるなんて言葉!俺の気も知らないで…っ」
マクシスが伸ばしてくれた手を、俺は振り払う。マクシスの目が変わった。「じゃあガイセルは僕の気持ちをわかっているのですか?」という問いが、冷たい声で放たれる。
「ガイセルが若い兵士に祝福を授けているとき、僕がどんな気持ちなのか」
「それは…あれは仕事じゃないか」
「いくら仕事でも…ガイセルも勃つのでしょう。それで甘い言葉を兵士に囁いてあげるのでしょう。それにたまには…若い兵士を可愛いとかかっこいいとか、思うことだってあるでしょう?」
マクシスの声が震えて、目には涙が潤み始める。彼を傷つけて、幻滅されるのが怖い。彼が離れてしまうのが、何より怖い。
「違う!」
俺は説明する。若い兵士に祝福を授けるとき、いつもマクシスのことを想像していると。そうしないと勃たないと。
「俺ひとりの意思で、祝福の授与を止めることはできない。だが幻滅しないでくれ。愛してるんだ、マクシス…」
マクシスは俺に近づいて、抱きしめてくれた。それだけで身体の力がすべて抜けていきそうだ。
「見てください」
アクセサリーの注文書。
「赤いガーネットとアイスブルーのサファイアを使ったネックレスを作ってくれ」と。宝石の比率まで細かく指定してある。
俺の色とマクシスの色。二人の色を組み合わせたネックレス…
「俺と、マクシスの…?」
「ええ。もうすぐガイセルの誕生日ですから。ボシュカさんにアドバイスをもらいながら考えたんです。彼女はおしゃれなので」
ほっとして情けなくて、脚の力が抜けて、俺はへなへなと床に座り込んだ。黒狼がこんな風に床にへたり込むなんて、あってはならないのに。
「僕はあなたを永遠に愛してます、ガイセル」
マクシスにキスをもらいながら、俺の頬には安堵の涙が流れた。
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