黒狼陛下は人質皇子に抱かれたい

こじまき

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32 狂愛の終わり【ガイセル目線】

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手首足首を縛られて投げ入れられた鉄格子の中。ガチャリと重い音がして、ルキウスが入ってくる。

「お前、黒狼のくせにマクシスに抱き潰されているそうだな」

いきなりそれか。ルキウスの手が顎に触れ、ぞわりと不快な波が身体を這う。

「お前のせいでマクシスは変わってしまったのか。お前を抱くまでは私に従順で、先から汁を垂れ流して挿れてくれと泣いていたのに…お前を抱いてからあいつは…!」

異母兄への歪んだ執着に反吐が出そうになる。

「俺を餌に、マクシスをおびき寄せるつもりか」
「そうだ。マクシスが来るまでお前が代わりに相手しろ」

手首足首を縛られたまま仰向けにされ、脚を頭の位置までもってこられる。ここ数日何度もマクシスを受け入れてきたアナルは、意思に反してすっぽりとルキウスをも受け入れてしまう。ルキウスの息遣いが荒くなってくる。

「どうして私だけじゃないんだ。どうして私を求めない…っ!私に乞うてくれっ…求めてくれっ…」

ルキウスは目を閉じて、瞼の裏にマクシスを思い描いているのだろう。閉じた目の横から涙が流れる。

「あっ…マクシス、マクシスッ…兄上っ…ああっ」

哀れなやつだ。力でねじ伏せても、心まで征服はできないのに。そうやってねじ伏せて組み敷こうとすればするほど、心は離れるのに。

「終わりだと思うな。まだだ」

ルキウスは何とかして俺を勃起させようとするけれど、何も感じない。ただ痛くて辛くて、早く終わってほしいと思うだけだ。マクシスもきっとそうだったのだろう。ずっとこうやって耐えてきたのだろう。もっと早く助け出してあげたかった。俺の目からも涙が流れる。

ただただ体と心の痛みに耐えていると、「おい」と聞きなれた、けれど聞きなれない怒気を含んだ声がした。首をねじると、鉄格子の入り口にマクシスが立っている。

来てくれた。

「マクシスッ」
「マクシス」

俺とルキウスが同時に反応して、ルキウスが俺からペニスを抜いて狂った喜びに満ちた顔でマクシスに近づこうとしたとき…イルドロアが光ってルキウスの首が飛んだ。鉄の匂いが広がる。マクシスへの歪んだ愛を伝えることもなく、あまりにもあっけなくルキウスは死んだ。

俺に短剣を突きつけるでもすればよかったのに。そんな判断力すら失っていたのか。

鉄格子の外に出ると、あたりは血の海だった。ルキウスに従っていた神聖トルクキア帝国暗部の遺体が、そこかしこに散らばっている。

「マクシスがやったのか?」
「グレンクスが精鋭を出してくれたので」

そのグレンクスが返り血を浴びた姿で「殲滅を完了いたしました」と報告する。俺が攫われたと聞いてマクシスが見たこともない形相で怒り、「全員切り捨てろ」と厳命したのだと。金狼陛下を敬愛する今のカエルンブリア軍に、命令に逆らう者はいない、とグレンクスは得意げに付け加えた。

「おおげさです、グレンクス」
「いえ、しかしあのお顔は…まさに怒れる狼でした」

その言葉がなぜか俺は嬉しくなって、マクシスの胸にそっと頬を摺り寄せた。
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