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31 雌狼の掠奪【ガイセル目線】
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マクシスは代帝になってからも、ボロボロの北の離宮で暮らしている。
いくらグレンクスや宮廷人が皇帝宮に移るように進めても、聞き入れなかった。まるで「急に持ち上げたところで、今までお前たちが僕を蔑んできたことは変わらない」とでも言うように。
客人である俺も北の離宮に泊まっていて、「あばら屋でごめん」とマクシスは言う。野営に慣れてるからボロボロなのはまったく気にならない。
けれど北の離宮の壁は薄くて、俺の甘い嬌声は外で警備している兵士たちにも丸聞こえになる。そう思って声を抑えていたらバレて、激しく突かれた。
理性が飛んで声は漏れ、俺が毎日マクシスに抱かれていること…つまり代帝がヴァルグランドの黒狼を抱いていることが、宮殿内に知れ渡った。そのことでマクシスへの尊敬の念を深めた者もいるらしい。「黒狼を征服しているなど、本物の強者だ」と。マクシスを「金狼」と呼ぶ者まで現れている。
何日もマクシスに抱かれ続けたあと、俺は帰国を申し出た。
「帰る?どうして?」
「急いで出てきたから、アウィーナにいろいろ任せっぱなしだ。ここでマクシスと暮らすにしても、一旦帰っていろんなことを整理しないと。ついてきてくれた兵も休ませてやる必要があるし…」
ベッドにひじをつきながら寂しそうなマクシスの左手を、そっと撫でる。
「指輪も新しいのをつくらないと」
「本当にごめん」
マクシスの指輪はルキウスに奪われた。そんなことはどうでもいい。指輪よりもマクシスのほうが大事なのだから。指輪を差し出して身を守れるなら、何度でも何個でも差し出せばいい。ハジュンに宝物を差し出したように。
そう言うとマクシスはようやく安心したように息をついて、「ガイセルもなにかあったら、そのネックレスを差し出せばいい」と俺の胸を指さす。「これはだめだ」と返すと、ふふっと笑った。
その笑顔が愛しくてキスしたら、すぐにキスが深くなる。舌が糸を引く。組み敷かれて乳首にキスされる。
「あっ♡朝からはっ♡♡昨日の夜いっぱいしたのにっ♡」
「関係ない。しばらく会えなくなるんだから」
俺が完全に雌になったように、マクシスは完全に雄になった。優しくて、ときには少し強引で、強い雄に。昨日俺のアナルを何度も犯したペニスをフェラするよう求められ、彼に頭を押さえつけられてたまらなく興奮する。求めてくれることが何より嬉しい。
「気持ちいい…」
余裕のない声が聞こえると、もっと奥まで咥えたくなる。
「んっんっんっ♡♡口に出してっ♡」
「ああっ、ガイセルッ…」
ーーー
まだ自分の中にマクシスを感じながら、ヴァルグランドへの道を急ぐ。帰ったらカエルンブリアへの移住について、アウィーナと相談しなければいけない。彼女なら応援してくれるとは思うが、アウィーナは補佐する連中の選抜もしておかないと。
《イクよ》
《気持ちいい…》
気が緩むとすぐにマクシスの声が蘇って、股間が熱くなってしまう。ああ、シたい…今すぐ…
「休憩だ」
トイレを装って自分を慰めようとしたとき、木々の陰から数十人の兵士が現れた。神聖トルクキア帝国の暗部…ルキウスか。
「観念して剣を捨てろ」
そう言ってくるということは、殺す気はないようだ。俺を「マクシスを引っ張り出す材料」にするのだろう。そんなことはさせられない。俺は剣を抜いて力の限り振った。しかし多勢に無勢。一騎当千なんていうのは、神話か伝説の世界の話だ。俺はよく訓練された男たちに殴られ、蹴られ、縄をかけられた。
いくらグレンクスや宮廷人が皇帝宮に移るように進めても、聞き入れなかった。まるで「急に持ち上げたところで、今までお前たちが僕を蔑んできたことは変わらない」とでも言うように。
客人である俺も北の離宮に泊まっていて、「あばら屋でごめん」とマクシスは言う。野営に慣れてるからボロボロなのはまったく気にならない。
けれど北の離宮の壁は薄くて、俺の甘い嬌声は外で警備している兵士たちにも丸聞こえになる。そう思って声を抑えていたらバレて、激しく突かれた。
理性が飛んで声は漏れ、俺が毎日マクシスに抱かれていること…つまり代帝がヴァルグランドの黒狼を抱いていることが、宮殿内に知れ渡った。そのことでマクシスへの尊敬の念を深めた者もいるらしい。「黒狼を征服しているなど、本物の強者だ」と。マクシスを「金狼」と呼ぶ者まで現れている。
何日もマクシスに抱かれ続けたあと、俺は帰国を申し出た。
「帰る?どうして?」
「急いで出てきたから、アウィーナにいろいろ任せっぱなしだ。ここでマクシスと暮らすにしても、一旦帰っていろんなことを整理しないと。ついてきてくれた兵も休ませてやる必要があるし…」
ベッドにひじをつきながら寂しそうなマクシスの左手を、そっと撫でる。
「指輪も新しいのをつくらないと」
「本当にごめん」
マクシスの指輪はルキウスに奪われた。そんなことはどうでもいい。指輪よりもマクシスのほうが大事なのだから。指輪を差し出して身を守れるなら、何度でも何個でも差し出せばいい。ハジュンに宝物を差し出したように。
そう言うとマクシスはようやく安心したように息をついて、「ガイセルもなにかあったら、そのネックレスを差し出せばいい」と俺の胸を指さす。「これはだめだ」と返すと、ふふっと笑った。
その笑顔が愛しくてキスしたら、すぐにキスが深くなる。舌が糸を引く。組み敷かれて乳首にキスされる。
「あっ♡朝からはっ♡♡昨日の夜いっぱいしたのにっ♡」
「関係ない。しばらく会えなくなるんだから」
俺が完全に雌になったように、マクシスは完全に雄になった。優しくて、ときには少し強引で、強い雄に。昨日俺のアナルを何度も犯したペニスをフェラするよう求められ、彼に頭を押さえつけられてたまらなく興奮する。求めてくれることが何より嬉しい。
「気持ちいい…」
余裕のない声が聞こえると、もっと奥まで咥えたくなる。
「んっんっんっ♡♡口に出してっ♡」
「ああっ、ガイセルッ…」
ーーー
まだ自分の中にマクシスを感じながら、ヴァルグランドへの道を急ぐ。帰ったらカエルンブリアへの移住について、アウィーナと相談しなければいけない。彼女なら応援してくれるとは思うが、アウィーナは補佐する連中の選抜もしておかないと。
《イクよ》
《気持ちいい…》
気が緩むとすぐにマクシスの声が蘇って、股間が熱くなってしまう。ああ、シたい…今すぐ…
「休憩だ」
トイレを装って自分を慰めようとしたとき、木々の陰から数十人の兵士が現れた。神聖トルクキア帝国の暗部…ルキウスか。
「観念して剣を捨てろ」
そう言ってくるということは、殺す気はないようだ。俺を「マクシスを引っ張り出す材料」にするのだろう。そんなことはさせられない。俺は剣を抜いて力の限り振った。しかし多勢に無勢。一騎当千なんていうのは、神話か伝説の世界の話だ。俺はよく訓練された男たちに殴られ、蹴られ、縄をかけられた。
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