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27 来襲と逃亡【グレンクス目線】
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私ことカエルンブリア帝国第一軍団長グレンクスは、帝国の行く末を憂いていた。
帝兄マクシス殿下が帰還して以降、皇帝陛下と皇后陛下は揃って北の離宮に入り浸り、爛れた生活を送っている。あの無表情な帝兄殿下のどこにそれほどの魅力があるのか、先日などは「三人で一緒に過ごした」とまで聞いて、眩暈がした。皇帝陛下が帝兄殿下に挿れ、皇后陛下が帝兄殿下の股に顔を埋めるのだと。
異性愛者であり、幼いころからの許嫁である妻ひとりとしか愛を交わしていない私には、倒錯しすぎていて理解が及ばない。
「神よ、どうかカエルンブリアをお救いください」
願いは届かなかった。
突如として響いた角笛。西の地平を埋め尽くす黒い波。それは深い深いノル川を渡河して侵攻してきたケニ族の大軍だった。ノル川を渡河するなど誰も思いつかない。東側の街道方面を警戒していた第一軍団は後手に回り、ケニ族は帝都防衛用の砦をあっさり攻略して帝都に迫った。
皇帝陛下と皇后陛下に報告すると、この若い夫婦は蒼ざめ、椅子から立ち上がり、すぐに動いた。「帝都を捨てて船で逃げる」と。帝都に残って指揮を執ってほしいとどれだけ進言しても、二人を引き止めることはできなかった。
このままでは悠久の歴史を誇る帝都グリアは本当に陥落し、帝都民は虐殺され、生き残った者もケニ族の奴隷になる。そんなことはあってはならない。皇帝が逃げ出してつくった新都になんの意味と権威がある。カエルンブリアの首都はここグリアでなくてはならないのだ。
北の離宮のドアを叩く。先帝陛下によく似たアイスブルーの目が、眼鏡越しに私を見つめる。無表情だが覚悟を決めた人間の強さがある
「グレンクス将軍」
「単刀直入に申し上げます。帝都はケニ族に包囲されており、皇帝ご夫妻はすでに逃…避難されました。宮殿に残っている皇族は帝兄殿下ただおひとりでいらっしゃいます」
「僕に指揮を執れというのですか」
「ええ。殿下、帝都グリアは守らなくてはなりません」
「今の状況でできることは限られていると思いますが、やってみましょう」
あの弱くておどおどしていた帝兄殿下のどこにそんな力が眠っていたのか、帝兄殿下は宝物庫を開けさせてケニ族に差し出す宝物を選び出した。かつてケニや周辺部族から略奪した宝物を中心に、思わずケニの族長が目を奪われてしまいそうな量を。
「ケニの族長に、停戦をもちかけます」
帝兄マクシス殿下が帰還して以降、皇帝陛下と皇后陛下は揃って北の離宮に入り浸り、爛れた生活を送っている。あの無表情な帝兄殿下のどこにそれほどの魅力があるのか、先日などは「三人で一緒に過ごした」とまで聞いて、眩暈がした。皇帝陛下が帝兄殿下に挿れ、皇后陛下が帝兄殿下の股に顔を埋めるのだと。
異性愛者であり、幼いころからの許嫁である妻ひとりとしか愛を交わしていない私には、倒錯しすぎていて理解が及ばない。
「神よ、どうかカエルンブリアをお救いください」
願いは届かなかった。
突如として響いた角笛。西の地平を埋め尽くす黒い波。それは深い深いノル川を渡河して侵攻してきたケニ族の大軍だった。ノル川を渡河するなど誰も思いつかない。東側の街道方面を警戒していた第一軍団は後手に回り、ケニ族は帝都防衛用の砦をあっさり攻略して帝都に迫った。
皇帝陛下と皇后陛下に報告すると、この若い夫婦は蒼ざめ、椅子から立ち上がり、すぐに動いた。「帝都を捨てて船で逃げる」と。帝都に残って指揮を執ってほしいとどれだけ進言しても、二人を引き止めることはできなかった。
このままでは悠久の歴史を誇る帝都グリアは本当に陥落し、帝都民は虐殺され、生き残った者もケニ族の奴隷になる。そんなことはあってはならない。皇帝が逃げ出してつくった新都になんの意味と権威がある。カエルンブリアの首都はここグリアでなくてはならないのだ。
北の離宮のドアを叩く。先帝陛下によく似たアイスブルーの目が、眼鏡越しに私を見つめる。無表情だが覚悟を決めた人間の強さがある
「グレンクス将軍」
「単刀直入に申し上げます。帝都はケニ族に包囲されており、皇帝ご夫妻はすでに逃…避難されました。宮殿に残っている皇族は帝兄殿下ただおひとりでいらっしゃいます」
「僕に指揮を執れというのですか」
「ええ。殿下、帝都グリアは守らなくてはなりません」
「今の状況でできることは限られていると思いますが、やってみましょう」
あの弱くておどおどしていた帝兄殿下のどこにそんな力が眠っていたのか、帝兄殿下は宝物庫を開けさせてケニ族に差し出す宝物を選び出した。かつてケニや周辺部族から略奪した宝物を中心に、思わずケニの族長が目を奪われてしまいそうな量を。
「ケニの族長に、停戦をもちかけます」
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