黒狼陛下は人質皇子に抱かれたい

こじまき

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おまけ:待て【ガイセル目線】

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俺はヴァルグランドの統治権をウィリアスに譲った。アウィーナが摂政として実務を握り、聡明さを存分に発揮してヴァルグランドを豊かな国として治めてくれている。

ルキウスの子どもであるユリウスは、しばらくヴァルグランドに留めておくことにした。カエルンブリアに連れ帰ればいらぬ政争の火種になりかねないし、もうここには彼の父も母もいないのだから。

アウィーナはルキウスにそっくりなユリウスを「あんなクソ野郎にはしない」と、温かく育てている。本当に彼女には頭が上がらない。

そして俺はといえば、カエルンブリアの第二軍団長を拝命した。カエルンブリアやその代帝に害をもたらしそうな連中を排除する軍団だ。

マクシスは俺を宮殿内に置いておきたがったし本音では俺も彼にそばにいたかったが、それは肩身が狭い。それに毎日抱き潰されるだけの日々を過ごすと、自分がルキウスのようにマクシスに歪んだ執着を向けてしまいそうで怖かった。

結局はグレンクスが「何か仕事をしたい」という俺の気持ちを汲んで、第二軍団長に推薦してくれた。グレンクスも俺と同じ危惧を抱いていたのかもしれない。

カエルンブリアに入り込んだスパイ連中の掃討作戦を終え、一カ月ぶりに帰って来た王宮。

マクシスは今も北の離宮にいる。

「マクシス、ただいま」
「おかえり、ガイセル」

マクシスがぎゅっと俺を抱きしめてくれて、帰ってきたのだと実感する。いつもならこのままベッドに連れていかれるはず。「汗をかいている」と言っても「先に風呂へ」と言っても、「我慢できないから」と無理やりに…

なのに、彼は「執務があるから」と机に戻った。予期せず手持ち無沙汰になった俺はまず身体をきれいにしてから、カエルンブリア軍全体の責任者も兼ねるグレンクスに提出する書類を自分の机で準備する。報告書を書きながら、同じ部屋にいるマクシスのことが気になって仕方ない。チラチラと彼を見るけど、彼は真剣に書類に目を通してはサインしていて、まったく俺のことを見てくれない。

「陛下」
「ああ、フェリクスか。ここにあるものは終わった」
「かしこまりました」

背の低い童顔の文官がやってきて、マクシスが決裁した書類を運んでいく。マクシスが文官の名前を呼んだことが、小さな針になって心に刺さる。普段は宮廷人に興味を示さないマクシスなのに。もしかして俺がいない間に、フェリクスとやらがマクシスの相手をしていたのか?あのマルチーズのような文官が、彼とセックスしてる?

嫉妬で涙が出そうになったとき、「終わった」とマクシスが呟いた。もう外は夕方になっている。ようやく抱いてもらえる。

と思ったら、マクシスは「食事にしよう」と言う。確かに腹は空いている。けれどいつもは「空腹時のほうが快楽が増す」と言って、食事の前にセックスするのに。今日はもう抱いてもらえないのかもしれない。だとしたら、この渇きをどうしたらいいのだろう。

掃討作戦の様子を報告しながら、表面上は和やかな食事が終わる。マクシスは「風呂にしよう」と北の離宮に新しく掘らせた露天温泉に浸かりに行く。一緒に風呂に入れば、そこで抱いてもらえるのかもしれない。風呂ならキスに邪魔な眼鏡も外すから、キスもいっぱいしてもらえる。

でもそれもだめだった。マクシスは俺の身体を流してくれた。けれど勃起している俺のペニスを、ただただ優しく撫でて洗っただけだった。

「マクシス…なんで?」
「ん?」
「なんで抱いてくれないっ?」

マクシスは何も答えない。涙が溢れてくる。

「あの文官の…フェリクスを抱いてるっ…?俺のこと…もう飽きた?」

マクシスはふっと笑う。

「飽きたのはガイセルじゃない?」

そんなわけない。どうしてそんなことを言うのか。混乱する俺の耳に口を寄せて、マクシスは「使っちゃだめだってあれほど言ったのに、木型を持って行っただろ」と囁く。

「どうしても我慢できなくて…っ」
「ガイセルのテントから毎晩声が漏れてるって報告が来てた。そんなに木型が好きなら、ずっと木型でヤッていればいい。僕なんていらないじゃないか」

木型に嫉妬してるわけじゃない。お仕置きだ。言いつけを守らなかったから、お仕置きされているんだ。

「ごめんなさいっ…お願い、抱いて…金狼陛下のを挿れてくださいっ」
「じゃあまず木型でやってみて」

露天温泉の横でマクシスが差し出した木型に腰を落として、いつもテントでやっているように、脚をM字に開いて腰を上下させながら、乳首とペニスを刺激する。慣れ親しんだ刺激。気持ちいいけどどこか物足りない刺激。

「あっ♡まくしす…まくしすっ♡♡気持ちいっ」

ふるっと身体を振るわせて達すると、マクシスが勃起したペニスを露わにして近づいてくる。ようやく抱いてもらえる。思い切り突いてもらえる。

そう思ったら、マクシスは温泉の縁に腰掛けて、自分のペニスを指さす。

「座って。木型だと思ってやってみて。僕は動かないから」

そんな。でも言われたとおりにやるしかない。俺はマクシスに向かい合って彼のペニスに乗って、また乳首と自分のペニスをいじる。マクシスのものが入ってるのに、動いてくれないからどんなに頑張っても奥まで届かない。それに乳首もペニスも、マクシスにいじってほしい。

彼の目はじっと俺を観察している。俺はどんな顔をしているのだろう。

「あっ…♡お願いまくしす、も無理、触ってっ、いっぱい突いてっ♡♡」
「もう木型使わないって、約束できる?」
「うんっ♡♡我慢するからっ、絶対我慢するからっ♡」
「帰ってきてから僕とセックスしてイキ狂えるように、離れてる間はオナニー我慢できる?」
「うんっ♡これからはマクシスのペニスでだけイキ狂うっ♡♡」
「わかった」

マクシスが動き始めて、俺は彼にしがみついた。散々我慢させられた俺の奥深い場所は、ようやく来てくれたペニスに歓喜してイキ狂おうとする。

「あああああっ♡いい、いいっ…深いっ♡奥来てるっ♡♡気持ちいっ気持ちいっ気持ちいっ」

俺たちの間で赤とアイスブルーのネックレスが揺れる。

「もっと♡もっともっともっと♡♡」

けれどマクシスは動きを止める。嫌だ。もっと奥に欲しい。奥奥奥。「なんで?ね、なんで?」と聞きながら俺は自分で動く。角度を変えてみても、やっぱり自分じゃ行けないところがある。

「まくしす、自分じゃ無理でっ…」
「涙も涎も出てる。可愛い。本当に雌の犬みたい」
「ん♡俺はまくしすの雌犬っ♡」
「そうだよね」

マクシスは俺に温泉の縁に手をつくように言い、後ろから湯を跳ね上げながら激しく突く。俺のペニスを握りながら。俺は片手で体を支えながら、片手で乳首をいじる。

「んあっ♡んんんっ♡これっ♡♡これ欲しかったっ…イクイクイクッ…イクイク!!」

絶頂に達してくったりと温泉の中に倒れそうになった俺を、マクシスが支えてくれる。

「まだできる?」
「うん…まだイキ狂えるから…頑張るから…いっぱいシて…?」

鬼畜で優しい金狼陛下と雌犬になってしまった黒狼の夜は、まだまだこれからだ。
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