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2 仮面舞踏会
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胸元が大きく開いた青いドレスに身を包んで仮面舞踏会の会場に到着したヴィクトリアは、仮面の下から周りを見回す。そして一人の男性に目を付けた。
王太子と同じ金髪、着ているものはずば抜けて質が良く、とどめにボタンには王太子の持ち物につくお印…背中合わせの二頭の馬。
(私の目はごまかせませんわ、ギルバート王太子殿下…)
常に彼の目につくところにいるようにして品をつくっていると、彼がやってきてヴィクトリアにダンスを申し込んだ。
(釣れた…!)
二人は踊り始める。
「この髪型は目立ちますね。『海の恋物語』風?」
「ええ、よくおわかりですわね」
「最新流行の小説ですからね。お似合いですよ」
「ありがとうございます」
ぐいと腰を引き寄せられ、力強いリードだ。身体が密着する。
(仮面舞踏会だからかしら、とても積極的ね。なんにせよ距離を縮める絶好のチャンスよね)
「ダンスがお上手ですね」
「いえ、あなた様こそ。ところで、話し方に訛りがありますのね。ご留学でも?」
「ええ、最近まで」
「まあ、どちらに?」
「シュラーベンです」
(殿下の留学先もシュラーベン…やはりこの人はギルバート殿下…!)
踊りながら、二人の会話は弾む。流行りの哲学や詩、果ては先週の競馬のことまで。
「もうあの詩集をお読みになりました?」
「ええ、けれどいい詩は二、三編といったところで、なぜみんながあんなに騒ぐのか…」
「ええ、私もまったく同意見ですわ」
「じゃあ、どの詩は良かった?」
「『葡萄と酒』でしょうか」
「ああ、私もあれは好きですよ」
二人とも「この人とは気があう」という気分になったところで、彼が言った。
「外でもう少しお話しませんか?あなたのことをもっと知りたい」
「ええ、喜んで」
二人は噴水が設けられた池のそばのベンチに座って話し続ける。
ヴィクトリアは愉快でたまらない。彼もきっと話題が豊富なこの仮面の女のことを好ましく思っているだろう。
(そろそろ仮面を外して素顔を晒し、アピールしたほうがいいかも)
そう思った時、「部屋に行きましょう」と彼が誘った。つまり、セックスしようという意味だ。
(意外なほど積極的だけれど望むところだわ。既成事実を作ってやる。これで私が王太子妃よ。絶対に逃さないわ)
「嫌ですか?」
「いいえ、あなた様となら…」
ヴィクトリアは処女だが、望む男を手に入れるために練習は重ねてきた。
ひそかに高級娼婦に弟子入りして、男の悦ばせ方を伝授してもらっていたのだ。
「下手くそ」「歯を立てるな」「それなら道端の穴に突っ込むほうがマシ」などと、泣いてしまうくらい厳しく叱られながら特訓してきた。だから自信はある。
(ついに教わったことを生身の人間に実践する日が来たのね。それも、本命中の本命に。必ず虜にしてみせるわ。カーラ様、私、頑張りますから!)
心の中で師匠に宣言したヴィクトリアは男に手を引かれて、会場と同じ敷地にある建物に準備されている部屋に向かう。
仮面舞踏会で意気投合したカップルのために、いくつか寝室が用意されているのだ。
部屋に入って仮面をとろうとしたヴィクトリアを男が制する。
「待って、仮面はそのままで」
「え?」
「その方が興奮します」
「かしこまりました」
「で、最中、あなたのことはどう呼べばいいでしょうか」
「ヴィ…いえ、アビーとお呼びくださいませ」
(ごめん、アビー!とっさに…)
「わかった。では私はギルです」
(『ギルバート』そのものじゃない)
ほくそ笑みながら、「私、普段は絶対にこんなこといたしませんの。けれど今夜は運命的な…」とセリフを口にするヴィクトリアに、彼が口づける。
最初から深い。口の奥まで舐められて、息ができなくなりそうだ。
(負けてられないわ。師匠、お力を!)
ヴィクトリアも舌を入れ返す。彼の舌に舌を絡め、引き抜いては唾液で糸を引かせる。
「積極的ですね、アビー」
「どうしてかしら。今までこんなことはしたことがございませんのに。でも今夜は…」
「私に欲情してくれている?」
「ええ、きっと。こういう女性はお嫌い?」
「いや、好みですよ」
彼はまたキスをした。
「昔からずっとね」
「んんっ」
また舌を深く入れられる。
ねっとりと舐めまわされて、体温が上がって頭がふわふわして、ヴィクトリアの唇から吐息が漏れる。
「その声いいですね。仮面の中の目も蕩けててそそられます。さて、下はどうなってますか?」
立ったままドレスのスカート部分をめくられて指で確認される。優しく触られて腰が浮く。
「ああっ、ギル様…」
「もう蕩けてますよ。すぐにでも挿れられそうなくらい。どうしたいですか?」
「い…挿れてくださいませ…」
ヴィクトリアにそう言わせたのに、ギルは「やっぱりだめです」と笑った。
「叫びだしたくなるくらいギリギリまで我慢してもらいますよ。まずは指です」
「あっ…いっ」
立ったまま、キスしながら、指を中に挿れられる。
(痛い…怖い…でも我慢しなきゃ…)
「痛い?」
「少し…」
「じゃあ優しくしますね」
中で指を曲げられ、優しくトントンと壁を叩かれ、そしてゆっくり擦られる。
「怖い?少し震えてる」
「あっ…大丈夫…ですわ…」
「こんなに積極的なのに、処女なんですか?」
「運命の方のために、貞操を守ってきたので…」
ギルはふっと笑う。
「じゃあ私があなたの運命の人?それは気分がいいな」
そして長い中指で中を、太い親指で外を。
「ああっ…」
「外も一緒に擦りますね。気持ち良くなるから、リラックスして」
(ああ、何だかこの声安心する…)
耳元で「可愛い声で、こちらまで興奮します」「あなたが出している水音をちゃんと聞いて」と囁かれながら続けられているうちに、下腹部に熱が集まっていく。
「あ…あ…ギル様…何だか熱くて…」
「気持ちいいですか?」
「わからな…あ…何か変で…」
「締まってますよ」
ギルは擦り続ける。
「ああ…ギル様、ほんとにおかしいっ…脚が…も…立てなくてっ」
「支えてますからいいですよ、イって」
「ああっ…」
荒く息をするヴィクトリアに、ギルは「指だけでイキましたね」と笑う。
(イった…?こんな簡単に?こんな簡単に、怖いくらい気持ちよくなれるものなの?)
王太子と同じ金髪、着ているものはずば抜けて質が良く、とどめにボタンには王太子の持ち物につくお印…背中合わせの二頭の馬。
(私の目はごまかせませんわ、ギルバート王太子殿下…)
常に彼の目につくところにいるようにして品をつくっていると、彼がやってきてヴィクトリアにダンスを申し込んだ。
(釣れた…!)
二人は踊り始める。
「この髪型は目立ちますね。『海の恋物語』風?」
「ええ、よくおわかりですわね」
「最新流行の小説ですからね。お似合いですよ」
「ありがとうございます」
ぐいと腰を引き寄せられ、力強いリードだ。身体が密着する。
(仮面舞踏会だからかしら、とても積極的ね。なんにせよ距離を縮める絶好のチャンスよね)
「ダンスがお上手ですね」
「いえ、あなた様こそ。ところで、話し方に訛りがありますのね。ご留学でも?」
「ええ、最近まで」
「まあ、どちらに?」
「シュラーベンです」
(殿下の留学先もシュラーベン…やはりこの人はギルバート殿下…!)
踊りながら、二人の会話は弾む。流行りの哲学や詩、果ては先週の競馬のことまで。
「もうあの詩集をお読みになりました?」
「ええ、けれどいい詩は二、三編といったところで、なぜみんながあんなに騒ぐのか…」
「ええ、私もまったく同意見ですわ」
「じゃあ、どの詩は良かった?」
「『葡萄と酒』でしょうか」
「ああ、私もあれは好きですよ」
二人とも「この人とは気があう」という気分になったところで、彼が言った。
「外でもう少しお話しませんか?あなたのことをもっと知りたい」
「ええ、喜んで」
二人は噴水が設けられた池のそばのベンチに座って話し続ける。
ヴィクトリアは愉快でたまらない。彼もきっと話題が豊富なこの仮面の女のことを好ましく思っているだろう。
(そろそろ仮面を外して素顔を晒し、アピールしたほうがいいかも)
そう思った時、「部屋に行きましょう」と彼が誘った。つまり、セックスしようという意味だ。
(意外なほど積極的だけれど望むところだわ。既成事実を作ってやる。これで私が王太子妃よ。絶対に逃さないわ)
「嫌ですか?」
「いいえ、あなた様となら…」
ヴィクトリアは処女だが、望む男を手に入れるために練習は重ねてきた。
ひそかに高級娼婦に弟子入りして、男の悦ばせ方を伝授してもらっていたのだ。
「下手くそ」「歯を立てるな」「それなら道端の穴に突っ込むほうがマシ」などと、泣いてしまうくらい厳しく叱られながら特訓してきた。だから自信はある。
(ついに教わったことを生身の人間に実践する日が来たのね。それも、本命中の本命に。必ず虜にしてみせるわ。カーラ様、私、頑張りますから!)
心の中で師匠に宣言したヴィクトリアは男に手を引かれて、会場と同じ敷地にある建物に準備されている部屋に向かう。
仮面舞踏会で意気投合したカップルのために、いくつか寝室が用意されているのだ。
部屋に入って仮面をとろうとしたヴィクトリアを男が制する。
「待って、仮面はそのままで」
「え?」
「その方が興奮します」
「かしこまりました」
「で、最中、あなたのことはどう呼べばいいでしょうか」
「ヴィ…いえ、アビーとお呼びくださいませ」
(ごめん、アビー!とっさに…)
「わかった。では私はギルです」
(『ギルバート』そのものじゃない)
ほくそ笑みながら、「私、普段は絶対にこんなこといたしませんの。けれど今夜は運命的な…」とセリフを口にするヴィクトリアに、彼が口づける。
最初から深い。口の奥まで舐められて、息ができなくなりそうだ。
(負けてられないわ。師匠、お力を!)
ヴィクトリアも舌を入れ返す。彼の舌に舌を絡め、引き抜いては唾液で糸を引かせる。
「積極的ですね、アビー」
「どうしてかしら。今までこんなことはしたことがございませんのに。でも今夜は…」
「私に欲情してくれている?」
「ええ、きっと。こういう女性はお嫌い?」
「いや、好みですよ」
彼はまたキスをした。
「昔からずっとね」
「んんっ」
また舌を深く入れられる。
ねっとりと舐めまわされて、体温が上がって頭がふわふわして、ヴィクトリアの唇から吐息が漏れる。
「その声いいですね。仮面の中の目も蕩けててそそられます。さて、下はどうなってますか?」
立ったままドレスのスカート部分をめくられて指で確認される。優しく触られて腰が浮く。
「ああっ、ギル様…」
「もう蕩けてますよ。すぐにでも挿れられそうなくらい。どうしたいですか?」
「い…挿れてくださいませ…」
ヴィクトリアにそう言わせたのに、ギルは「やっぱりだめです」と笑った。
「叫びだしたくなるくらいギリギリまで我慢してもらいますよ。まずは指です」
「あっ…いっ」
立ったまま、キスしながら、指を中に挿れられる。
(痛い…怖い…でも我慢しなきゃ…)
「痛い?」
「少し…」
「じゃあ優しくしますね」
中で指を曲げられ、優しくトントンと壁を叩かれ、そしてゆっくり擦られる。
「怖い?少し震えてる」
「あっ…大丈夫…ですわ…」
「こんなに積極的なのに、処女なんですか?」
「運命の方のために、貞操を守ってきたので…」
ギルはふっと笑う。
「じゃあ私があなたの運命の人?それは気分がいいな」
そして長い中指で中を、太い親指で外を。
「ああっ…」
「外も一緒に擦りますね。気持ち良くなるから、リラックスして」
(ああ、何だかこの声安心する…)
耳元で「可愛い声で、こちらまで興奮します」「あなたが出している水音をちゃんと聞いて」と囁かれながら続けられているうちに、下腹部に熱が集まっていく。
「あ…あ…ギル様…何だか熱くて…」
「気持ちいいですか?」
「わからな…あ…何か変で…」
「締まってますよ」
ギルは擦り続ける。
「ああ…ギル様、ほんとにおかしいっ…脚が…も…立てなくてっ」
「支えてますからいいですよ、イって」
「ああっ…」
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