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5 ルゥは反則
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アビゲイルとユリアの言葉通り、留学帰りのルロイはあっという間に社交界の人気者になった。
容姿端麗で、礼儀正しくて女性の扱いが上手く、話題が豊富で、しかも王太子とは無二の親友で側近。
女性陣は放っておくはずがない。
パーティーでも競馬でも劇場でも、ルロイの周りには老若男女問わず人だかりができる。今はオペラ座のロビーでファンたちの相手をしている。
(ふ、ふーん…)
「気にしない」と目を逸らしたとき、薔薇を贈ってきたエールブロー侯爵令息フィリップがやってきた。柔らかい茶色の髪に茶色の目、お坊ちゃん然としたふくよかな顔に、いかにも人の良い笑みを浮かべている。
「ヴィクトリア!」
「フィリップ様、ご機嫌よう」
「先日贈った薔薇は気に入ってくれた?我が家の庭で見事に咲いたものだけを、百本選ばせたんだよ」
「ええ、とても。香りも形も見事で、使用人たちもうっとりとしておりましたわ。あんなに大きくて素敵な花束を下さるのはフィリップ様だけです」
「喜んでもらえて嬉しいよ」
フィリップはまたふにゃりと笑う。ヴィクトリアは彼の笑顔を「可愛い」と思うが、それは犬や猫に向ける類の感情に近い。
(マルチーズみたい)
「先日宝石商が君の瞳のように美しいブルーサファイアを持ってきたんだ。それでアクセサリーを作ったら、身に着けてくれる?」
(薔薇よりよっぽどいいわ。使わなくなったら売れるし)
ヴィクトリアはにっこりと微笑んで、「まあ!素敵ですわ。私、青は大好きですの」と返し、フィリップはその笑顔に頬を染める。
そこへランプレヒト公爵レナードもやってくる。
ヴィクトリアより二回り年上の公爵。
歳のわりに金髪には艶と張りがあり、肌色も良い。恰幅が良く、いかにも育ちが良いというオーラを前面に出している。
レナードよりも身分が低いフィリップは、彼女をレナードに譲った。
「私のヴィクトリア、あのパールは気に入った?」
「ええ、とっても」
「つけてくればよかったのに。今日のドレスに似合いそうじゃないか」
ヴィクトリアは薄い藤色のドレスを着ている。レナードが言う通り、パールがよく似合うだろう。
(パールは日光や皮脂ですぐくすんじゃうのよね。だから、いつか売ることを考えると未使用の方が)
そんなことをレナードに言えるはずはない。
「レナード様にいただいたものですもの…大事にしておきたくて。一日に何度も箱を開けては閉め、開けては閉めて眺めてはおりますけれど」
そう言って恥じらうような表情を作るヴィクトリアを、レナードは「愛おしくて堪らない」という目で見る。
「まったく、ヴィクトリアは。じゃあ今度はもっと使いやすいものを贈ろう。馬車はどうかな」
途端にヴィクトリアの顔が輝いた。
「ま、馬車だなんて素敵!これまでどなた様からもいただいたことがございません」
「決まりだ。私の紋章とヴィクトリアの紋章を入れてあげるからね。室内を宝石で飾るのもいいな」
「素敵ですわ。レナード様しか作れない馬車ですわね」
(ちょうど買い替え時だったのよね。経費を節約できるわ。中の宝石は外して売ってもいい)
そう彼女が考えた時、場の雰囲気が変わって王太子ギルバートが現れた。
金髪に緑の目。端正で男らしく、どことなく厳しさも感じさせる顔立ち。
(素敵だわ…それに安定している。まさに最高の物件。目指すならやっぱり彼でなきゃ)
ヴィクトリアはレナードに「お化粧直しをしてまいります」と断って、ギルバートに近づく。と、ギルバートはルロイに声をかけた。
「ルロイ、ここへ」
「はい、殿下」
いつもは「ルロイ」「ギル」と呼び合う仲だが、人前ではさすがにルロイもギルバートのことを敬称で呼ぶ。
ルロイがファンに別れを告げてギルバートのほうへ歩き出したとき、その横にヴィクトリアがすっと並んだ。
ルロイが小声でヴィクトリアに話しかける。
「なんだ、リア」
「殿下とお近づきになりたいのよ。私のことを殿下に紹介してちょうだい」
「なんで俺がそんなこと」
「こないだのお詫びをするつもりはないの!?」
「詫び!?リアも楽しんでただろ」
「楽しんでない!私はあなたに騙された被害者よ」
小声で喧嘩しながら、もうギルバートの前まで来てしまった。
「ルロイ、そちらの美しい彼女は?」
「ノーフォーク卿の幼馴染で、ダービートン伯爵家のヴィクトリアでございます。ぜひお見知りおきを」
「ああ…君がヴィクトリアか。ルロイから話は聞いていた」
「まあ…どんなお話を?」
「変なこと言ってないでしょうね」と口だけの笑顔でルロイを睨みながら、ヴィクトリアは聞く。
ギルバートはほんの少しだけ笑ってこう言った。
「君のいいところだ。逆境に打ち勝つ強さを持つ…まさに"勝利"という名前通りの女性だと」
「光栄ですわ」
「あ、で、ルロイ」とすぐにギルバートは話題を変えてしまう。
「さっき外務大臣とシュラーベンとの同盟の件で話をした。条約を見直したいから資料をまとめておいてくれるか?明日確認したい」
「かしこまりました」
「頼んだぞ。では私は王宮に戻る」
「え、殿下、もう?」というヴィクトリアの呟きは宙に消え、ギルバートは馬車に乗ってさっさと帰っていった。
「本命が帰ったな」
「そうね。私ももうここには用はない…じゃなかった。レナード様が待ってるんだったわ。行かなきゃ」
レナードの元に戻ろうとするヴィクトリアだが、ルロイがヴィクトリアの腰に手を回して離さない。
「離してよ。叫ぶわよ」
「やれるもんならやってみろよ」
そう言いながら、ルロイはヴィクトリアの首筋のほくろに唇を近づける。
「…!」
息を止めて少し身体を反らして身構えるヴィクトリアに、ルロイはふっと笑いの乗った息を漏らした。
(情事の時はあんなに積極的に強請ってくるのに。純情と淫乱が混沌としているところが可愛いよ、リア。あ…これヤバいな)
ルロイはヴィクトリアの耳に口を寄せる。耳を舐めたいという欲望に駆られるが、さすがに人前でそれはひっぱたかれるかもしれないので我慢だ。できるだけ低い声で囁く。
「…なあリア、さっきの礼をするつもりはないのか?」
ヴィクトリアはブルッと身を震わせて、自分の中に芽生えそうな小さな欲望の芽を潰しにかかる。「そんな気はさらさらない」というような雰囲気を声に乗せようと努力する。
「礼?これでおあいこでしょ。っていうか、まだ謝罪には足りないくらいだわ」
「そうか。じゃあギルの性癖を教えてやるよ。特ダネだろ」
「なに、性癖って…?」
「ここじゃ話せない。個室へ」
そういってルロイはやすやすと劇場内の王族控室へヴィクトリアを連れ込んだ。
「こんなところ、入っていいの?」
「俺はギルの側近だから顔パスだよ」
「で、殿下の性癖ってな…んんんっ」
いきなりキスで口を塞がれる。拒否すべきだと思っても、先日の快感が頭に蘇って、ねっとりした舌を振り払えない。
(だめなのに…キスだけで気持ちいい…身体の熱が…)
「情報なんてあるわけないだろ。リア、ちょろすぎるぞ。それともわかってて誘いに乗ったか?」
「ば、ばか…ルロイのばか…」
ほんの少し期待する気持ちがなかったわけではないヴィクトリアは、羞恥心に頬を染める。
「お化粧崩れちゃう…キスしないでっ」
あとでレナードの元に戻らなければならないのだ。彼はきっと、ヴィクトリアのことをいつまでも待っている。
「キス以外ならいいのか?」
「嫌って言ってもやるんでしょ!早くしてよ、戻らないといけないんだから」
「ムードのない誘い方だな」
「ルロイが悪いのよ」
「とりあえず後ろ向いて壁に手を付け」
ルロイは壁に手を突いたヴィクトリアに身体を重ねて、「このドレス似合ってるな」と言いながら、ドレスのスカートをまくり、彼女の腰を支え、以前のように自分のものを太ももでゆっくりと擦る。ヴィクトリアのそこは、すでに濡れていた。
「あああ…んんっ」
「好きだな、これ」
「好きじゃないっ」
「身体はそう言ってないけど?素直に言わないと終わらないぞ」
(ああ、ルロイの意地悪。そういうところが嫌なのよ)
「ああもうっ…好きよ、すっごく好き」
「どういうところが?」
「ルロイので擦られて、熱くてぬるぬるして気持ちいいところが好きなのっ」
「よく言えました」
ルロイのゆっくりとした動きに合わせて、ヴィクトリアの腰も動く。
(ああ…腰が動いちゃう。なんでこんなにゆっくりなの?ルロイったら焦らしてるでしょう)
ヴィクトリアは後ろを振り向いて、涙を溜めた目で「ね、ルロイ、焦らさないで」と懇願する。ルロイはゾクリと反応しながらも「終わったらランプレヒト公爵のところに帰るんだろ」と聞いた。
「そうよ。待ってくださってるんだもの」
「可哀想な公爵。ヴィクトリアがこんなことしてるとも知らないで」
「言わないでっ」
「あんな中年のどこがいい」
「優しくて何でも買ってくださるのよ。今度は馬車をプレゼントしてくださる約束なんだから。あなたには無理でしょ」
「ったく…」
「ねぇ、つべこべ言わずにとにかく挿れて!早く終わらせてよっ」
(早く戻らなきゃいけないのよ)
「まだだめだ」
(まだ帰さない。このままずっと俺といてくれよ、リア)
「ルロイ、お願いよ」
「まだだって」
「お願い…もうルロイが欲しいの。ルロイのでイキたいのよ」
もっと焦らそうと思っていたのに、彼女の切ない声と振り返りざまの表情に耐えきれなくなって、ルロイはヴィクトリアにキスしながら男根をヴィクトリアの中に刺す。
「んん…ああ…これっ…当たるところが…」
「いい?」とルロイは唇が触れそうな距離でヴィクトリアに聞く。
「うん、すごくいい…好きぃ」
「ああリア…その可愛い声最高だよ」
(可愛いとか言わないで。私のこと好きでもないくせに。ただの幼馴染で、ただの悪ふざけのくせに)
猛ったルロイに突き上げられて、ヴィクトリアは快感のあまり飛びそうになる意識を必死でつなぎとめる。
「は…ふ…」
「イキそう?」
「ん…頭ふわふわ…怖いの…」
「怖がるな、身を任せろ」
「ル…ロイは…?」
「俺も気持ちいいよ」
「もう一緒にイキましょ、ね?」
(早くして、早く来て)
「待て、まだ楽しみたい」
「ね…ルゥ、お願いよ」
後ろを向いて涙目で昔の呼び方で呼ばれて、ルロイのものが大きくなる。ヴィクトリアの背中にぴったりと身体を重ねて、さらに速く奥まで突く。
「あっん…ルゥ、お腹が…」
「リアのせいだ。リアが煽るから」
ルロイは壁についているヴィクトリアの手に自分の手を重ねて握りしめ、最後の一振りを深くまで差し込んだ。
「ああっ、奥…!ルゥ、ルゥッ!私イクっ…!」
(最高に気持ちいい…ルロイとなのに…だめなのに…だめだから興奮してるのかしら?)
ルロイから身体を離して息を整えたヴィクトリアは、そそくさと化粧を直して「これで最後だからね!」とルロイに言い残してレナードの元に戻った。
ヴィクトリアが「お化粧室で気分が悪くなってしまって」と遅くなった言い訳をすると、レナードは心配して、「早く屋敷に帰った方がいい」と促した。
(今日もやってしまった…ルロイも私も最低だわ。彼は悪ふざけをやめず、私は覚えてしまった快楽に抗えない…)
「しばらくルロイには会わないようにしないと」
そのころ、ルロイはルロイで頭を抱えていた。
「ルゥは反則だろ…あの涙目と声を思い出すだけでまた勃ってくる」
容姿端麗で、礼儀正しくて女性の扱いが上手く、話題が豊富で、しかも王太子とは無二の親友で側近。
女性陣は放っておくはずがない。
パーティーでも競馬でも劇場でも、ルロイの周りには老若男女問わず人だかりができる。今はオペラ座のロビーでファンたちの相手をしている。
(ふ、ふーん…)
「気にしない」と目を逸らしたとき、薔薇を贈ってきたエールブロー侯爵令息フィリップがやってきた。柔らかい茶色の髪に茶色の目、お坊ちゃん然としたふくよかな顔に、いかにも人の良い笑みを浮かべている。
「ヴィクトリア!」
「フィリップ様、ご機嫌よう」
「先日贈った薔薇は気に入ってくれた?我が家の庭で見事に咲いたものだけを、百本選ばせたんだよ」
「ええ、とても。香りも形も見事で、使用人たちもうっとりとしておりましたわ。あんなに大きくて素敵な花束を下さるのはフィリップ様だけです」
「喜んでもらえて嬉しいよ」
フィリップはまたふにゃりと笑う。ヴィクトリアは彼の笑顔を「可愛い」と思うが、それは犬や猫に向ける類の感情に近い。
(マルチーズみたい)
「先日宝石商が君の瞳のように美しいブルーサファイアを持ってきたんだ。それでアクセサリーを作ったら、身に着けてくれる?」
(薔薇よりよっぽどいいわ。使わなくなったら売れるし)
ヴィクトリアはにっこりと微笑んで、「まあ!素敵ですわ。私、青は大好きですの」と返し、フィリップはその笑顔に頬を染める。
そこへランプレヒト公爵レナードもやってくる。
ヴィクトリアより二回り年上の公爵。
歳のわりに金髪には艶と張りがあり、肌色も良い。恰幅が良く、いかにも育ちが良いというオーラを前面に出している。
レナードよりも身分が低いフィリップは、彼女をレナードに譲った。
「私のヴィクトリア、あのパールは気に入った?」
「ええ、とっても」
「つけてくればよかったのに。今日のドレスに似合いそうじゃないか」
ヴィクトリアは薄い藤色のドレスを着ている。レナードが言う通り、パールがよく似合うだろう。
(パールは日光や皮脂ですぐくすんじゃうのよね。だから、いつか売ることを考えると未使用の方が)
そんなことをレナードに言えるはずはない。
「レナード様にいただいたものですもの…大事にしておきたくて。一日に何度も箱を開けては閉め、開けては閉めて眺めてはおりますけれど」
そう言って恥じらうような表情を作るヴィクトリアを、レナードは「愛おしくて堪らない」という目で見る。
「まったく、ヴィクトリアは。じゃあ今度はもっと使いやすいものを贈ろう。馬車はどうかな」
途端にヴィクトリアの顔が輝いた。
「ま、馬車だなんて素敵!これまでどなた様からもいただいたことがございません」
「決まりだ。私の紋章とヴィクトリアの紋章を入れてあげるからね。室内を宝石で飾るのもいいな」
「素敵ですわ。レナード様しか作れない馬車ですわね」
(ちょうど買い替え時だったのよね。経費を節約できるわ。中の宝石は外して売ってもいい)
そう彼女が考えた時、場の雰囲気が変わって王太子ギルバートが現れた。
金髪に緑の目。端正で男らしく、どことなく厳しさも感じさせる顔立ち。
(素敵だわ…それに安定している。まさに最高の物件。目指すならやっぱり彼でなきゃ)
ヴィクトリアはレナードに「お化粧直しをしてまいります」と断って、ギルバートに近づく。と、ギルバートはルロイに声をかけた。
「ルロイ、ここへ」
「はい、殿下」
いつもは「ルロイ」「ギル」と呼び合う仲だが、人前ではさすがにルロイもギルバートのことを敬称で呼ぶ。
ルロイがファンに別れを告げてギルバートのほうへ歩き出したとき、その横にヴィクトリアがすっと並んだ。
ルロイが小声でヴィクトリアに話しかける。
「なんだ、リア」
「殿下とお近づきになりたいのよ。私のことを殿下に紹介してちょうだい」
「なんで俺がそんなこと」
「こないだのお詫びをするつもりはないの!?」
「詫び!?リアも楽しんでただろ」
「楽しんでない!私はあなたに騙された被害者よ」
小声で喧嘩しながら、もうギルバートの前まで来てしまった。
「ルロイ、そちらの美しい彼女は?」
「ノーフォーク卿の幼馴染で、ダービートン伯爵家のヴィクトリアでございます。ぜひお見知りおきを」
「ああ…君がヴィクトリアか。ルロイから話は聞いていた」
「まあ…どんなお話を?」
「変なこと言ってないでしょうね」と口だけの笑顔でルロイを睨みながら、ヴィクトリアは聞く。
ギルバートはほんの少しだけ笑ってこう言った。
「君のいいところだ。逆境に打ち勝つ強さを持つ…まさに"勝利"という名前通りの女性だと」
「光栄ですわ」
「あ、で、ルロイ」とすぐにギルバートは話題を変えてしまう。
「さっき外務大臣とシュラーベンとの同盟の件で話をした。条約を見直したいから資料をまとめておいてくれるか?明日確認したい」
「かしこまりました」
「頼んだぞ。では私は王宮に戻る」
「え、殿下、もう?」というヴィクトリアの呟きは宙に消え、ギルバートは馬車に乗ってさっさと帰っていった。
「本命が帰ったな」
「そうね。私ももうここには用はない…じゃなかった。レナード様が待ってるんだったわ。行かなきゃ」
レナードの元に戻ろうとするヴィクトリアだが、ルロイがヴィクトリアの腰に手を回して離さない。
「離してよ。叫ぶわよ」
「やれるもんならやってみろよ」
そう言いながら、ルロイはヴィクトリアの首筋のほくろに唇を近づける。
「…!」
息を止めて少し身体を反らして身構えるヴィクトリアに、ルロイはふっと笑いの乗った息を漏らした。
(情事の時はあんなに積極的に強請ってくるのに。純情と淫乱が混沌としているところが可愛いよ、リア。あ…これヤバいな)
ルロイはヴィクトリアの耳に口を寄せる。耳を舐めたいという欲望に駆られるが、さすがに人前でそれはひっぱたかれるかもしれないので我慢だ。できるだけ低い声で囁く。
「…なあリア、さっきの礼をするつもりはないのか?」
ヴィクトリアはブルッと身を震わせて、自分の中に芽生えそうな小さな欲望の芽を潰しにかかる。「そんな気はさらさらない」というような雰囲気を声に乗せようと努力する。
「礼?これでおあいこでしょ。っていうか、まだ謝罪には足りないくらいだわ」
「そうか。じゃあギルの性癖を教えてやるよ。特ダネだろ」
「なに、性癖って…?」
「ここじゃ話せない。個室へ」
そういってルロイはやすやすと劇場内の王族控室へヴィクトリアを連れ込んだ。
「こんなところ、入っていいの?」
「俺はギルの側近だから顔パスだよ」
「で、殿下の性癖ってな…んんんっ」
いきなりキスで口を塞がれる。拒否すべきだと思っても、先日の快感が頭に蘇って、ねっとりした舌を振り払えない。
(だめなのに…キスだけで気持ちいい…身体の熱が…)
「情報なんてあるわけないだろ。リア、ちょろすぎるぞ。それともわかってて誘いに乗ったか?」
「ば、ばか…ルロイのばか…」
ほんの少し期待する気持ちがなかったわけではないヴィクトリアは、羞恥心に頬を染める。
「お化粧崩れちゃう…キスしないでっ」
あとでレナードの元に戻らなければならないのだ。彼はきっと、ヴィクトリアのことをいつまでも待っている。
「キス以外ならいいのか?」
「嫌って言ってもやるんでしょ!早くしてよ、戻らないといけないんだから」
「ムードのない誘い方だな」
「ルロイが悪いのよ」
「とりあえず後ろ向いて壁に手を付け」
ルロイは壁に手を突いたヴィクトリアに身体を重ねて、「このドレス似合ってるな」と言いながら、ドレスのスカートをまくり、彼女の腰を支え、以前のように自分のものを太ももでゆっくりと擦る。ヴィクトリアのそこは、すでに濡れていた。
「あああ…んんっ」
「好きだな、これ」
「好きじゃないっ」
「身体はそう言ってないけど?素直に言わないと終わらないぞ」
(ああ、ルロイの意地悪。そういうところが嫌なのよ)
「ああもうっ…好きよ、すっごく好き」
「どういうところが?」
「ルロイので擦られて、熱くてぬるぬるして気持ちいいところが好きなのっ」
「よく言えました」
ルロイのゆっくりとした動きに合わせて、ヴィクトリアの腰も動く。
(ああ…腰が動いちゃう。なんでこんなにゆっくりなの?ルロイったら焦らしてるでしょう)
ヴィクトリアは後ろを振り向いて、涙を溜めた目で「ね、ルロイ、焦らさないで」と懇願する。ルロイはゾクリと反応しながらも「終わったらランプレヒト公爵のところに帰るんだろ」と聞いた。
「そうよ。待ってくださってるんだもの」
「可哀想な公爵。ヴィクトリアがこんなことしてるとも知らないで」
「言わないでっ」
「あんな中年のどこがいい」
「優しくて何でも買ってくださるのよ。今度は馬車をプレゼントしてくださる約束なんだから。あなたには無理でしょ」
「ったく…」
「ねぇ、つべこべ言わずにとにかく挿れて!早く終わらせてよっ」
(早く戻らなきゃいけないのよ)
「まだだめだ」
(まだ帰さない。このままずっと俺といてくれよ、リア)
「ルロイ、お願いよ」
「まだだって」
「お願い…もうルロイが欲しいの。ルロイのでイキたいのよ」
もっと焦らそうと思っていたのに、彼女の切ない声と振り返りざまの表情に耐えきれなくなって、ルロイはヴィクトリアにキスしながら男根をヴィクトリアの中に刺す。
「んん…ああ…これっ…当たるところが…」
「いい?」とルロイは唇が触れそうな距離でヴィクトリアに聞く。
「うん、すごくいい…好きぃ」
「ああリア…その可愛い声最高だよ」
(可愛いとか言わないで。私のこと好きでもないくせに。ただの幼馴染で、ただの悪ふざけのくせに)
猛ったルロイに突き上げられて、ヴィクトリアは快感のあまり飛びそうになる意識を必死でつなぎとめる。
「は…ふ…」
「イキそう?」
「ん…頭ふわふわ…怖いの…」
「怖がるな、身を任せろ」
「ル…ロイは…?」
「俺も気持ちいいよ」
「もう一緒にイキましょ、ね?」
(早くして、早く来て)
「待て、まだ楽しみたい」
「ね…ルゥ、お願いよ」
後ろを向いて涙目で昔の呼び方で呼ばれて、ルロイのものが大きくなる。ヴィクトリアの背中にぴったりと身体を重ねて、さらに速く奥まで突く。
「あっん…ルゥ、お腹が…」
「リアのせいだ。リアが煽るから」
ルロイは壁についているヴィクトリアの手に自分の手を重ねて握りしめ、最後の一振りを深くまで差し込んだ。
「ああっ、奥…!ルゥ、ルゥッ!私イクっ…!」
(最高に気持ちいい…ルロイとなのに…だめなのに…だめだから興奮してるのかしら?)
ルロイから身体を離して息を整えたヴィクトリアは、そそくさと化粧を直して「これで最後だからね!」とルロイに言い残してレナードの元に戻った。
ヴィクトリアが「お化粧室で気分が悪くなってしまって」と遅くなった言い訳をすると、レナードは心配して、「早く屋敷に帰った方がいい」と促した。
(今日もやってしまった…ルロイも私も最低だわ。彼は悪ふざけをやめず、私は覚えてしまった快楽に抗えない…)
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