私、貧乏貴族となんて結婚しないから!

こじまき

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12 いい思い出にしましょう

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ヴィクトリアが目を覚ました時、馬車は止まっていた。真上にルロイの顔。

「起きたか?」
「どうしてあなたの貧乏くさい馬車の中で、しかもあなたの膝の上で寝てるの!?」
「覚えてないのか。酔いつぶれて帰ろうとしたけど新しい馬車が壊れて、公爵に送り届けるよう頼まれたんだよ」
「え、で、じゃあ、着いたの?」

ヴィクトリアは身体を起こして窓の外を見る。ダービートン伯爵邸とノーフォーク伯爵邸がある高級住宅地・ベソスガーデンではない。

「ここはどこ?」
「二人きりになれる場所」
「答えになってな…」

ルロイはヴィクトリアにキスした。穏やかなキスだったはずが、どんどん熱を帯びてくる。キスしたまま、ルロイは花弁に手を伸ばす。

「やめて。私婚約したのよ。見てたでしょう」
「まだ正式な婚約じゃない。手続きしてないんだから」
「屁理屈はやめてよ。それにあなたにはエリザベス様がいるじゃない」

ヴィクトリアはルロイを手で力いっぱい押して遠ざけながら、「エリザベス様のことは大切に想っているから、こんないやらしいこと彼女にはしないんでしょう!私はただの性欲処理担当なの?冗談じゃないわ!」と叫ぶ。

言葉にすると、その言葉が彼女自身を切り刻むようだ。心臓がズキリズキリと痛む。

(そのせいで私はこんなに傷ついて…ばかみたいだわ)

「エリザベス様のことは愛してない」
「はん!どうやって信じろって言うのよ」

「こうやって」とルロイはまたヴィクトリアにキスする。優しいキスだ。愛情に満ちていると思いたくなるような。ヴィクトリアはルロイの身体を押す。

「だめ。信じられないわ」

ルロイはヴィクトリアの頬を両手で挟んで、真っ直ぐ目を見つめる。

「エリザベス様のことはやむを得なかった。必要だったからしただけだ」
「それはどういう…」
「詳しくは言えないが、ギルに頼まれた仕事だよ。もうすぐ終わる。信じてくれ」
「無理よ」
「どうしたら信じてくれるんだ?」
「仕事の内容を教えて」
「それは無理だ。ギルや陛下の安全に関わる」
「じゃあエリザベス様の悪口を言ってみてよ。できないでしょ?」
「ああ、そんなことなら簡単だ。あの女には欠点しかない」

ルロイは立て板に水を流すようにエリザベスの欠点を挙げていく。

いいのは見た目と家柄だけで、素行が悪い。ちょっと気に入らないことがあっただけで、侍女や他の令嬢に当たり散らす。エリザベス付きの侍女は、服に隠れる部分に傷や痣を作っている。などなど…

「それに、彼女は俺を愛してない。彼女にとって俺はただの飾りだよ」
「気づいてたの」
「もちろんだ。俺を舐めるなよ」

「なあ、これで信じてくれるか?」と問いかけるルロイの目を見たヴィクトリアは、「彼は真実を言っている」と理解して、頷いた。

「俺とエリザベス嬢のこと、傷ついたか?」
「…ええ」

そう答えたら、一気に感情が溢れてきた。酔いに任せて本音をぶちまける。

「傷ついたわ!ルロイのバカ、ルロイが全部悪いのよ。そうよ…全部ルロイが悪い。ルロイが帰ってきてから狂い始めたの。こんなにかっこよくなって、セックスも気持ち良くて、私のこと愛してるなんて言って。時にはちゃんと怒ってくれて、庇ってくれたり、私のこと理解してくれたり。そんなことされたら、私だって好きになっちゃうでしょ?それなのに貧乏なんて!あなたが貧乏でさえなければ全て解決なのに!どうしてくれるのよ…」

ヴィクトリアが息継ぎもせずに早口で一気に吐き出してゼイゼイ息をすると、ルロイが彼女を抱きしめた。

「リア…リアも俺のこと愛してくれてるんだな?」
「だったらどうなの?何も変わらないわ。あなたとは結婚できないんだもの。私はレナード様の妻になるのよ」

「リアが俺のこと愛してるってわかったら、今までとは大違いだよ」とルロイはヴィクトリアのスカートに手を入れた。ヴィクトリアは今度は受け入れる。

「嫌がらないのか?」
「ええ、酔ってるから。お酒のせいよ。でも今日が最後」

(そう、酔ってるから…感情と欲望に忠実なの。いいでしょ?でも、本当に今日で最後にしなきゃ)

キスされながら花弁をこすられて、リアの唇から酒の匂いの吐息が漏れる。

「悲しいこと言うな」
「仕方がないことよ…ん」
「諦められない。どうしても俺じゃだめなのか?愛し合ってるのに?」
「だめなの。諦めて」

一瞬の間があって、ヴィクトリアは言った。

「ルロイ、私は婚約するの。今日が本当に最後。いい思い出にしましょう」

「ね?」と悲しそうに首を傾げられて、ルロイは胸の痛みをこらえながら「ああ、わかった」と頷く。二人とも「いい思い出になんてできるはずがない。きっと思い出すたび辛くて堪らなくなる」とわかっていながら。

ヴィクトリアがルロイのベルトを外す。ぶるんとそそり立ったものがでてくる。

「舐めていい?」

ヴィクトリアはルロイの脚の間にしゃがみこんで、口に含み、舐め、吸う。

「ああ…気持ちいいよ、リア…」

その声に刺激されて、ヴィクトリアは玉の部分も口に含んだ。

「ふあっ」とルロイが声をあげて、ヴィクトリアの頭に手をやる。

「まずい、それ…気持ちいい…ああ、リア…好きだ、リア…」

舌で転がし、ルロイに十分声をあげさせたところで、ヴィクトリアはそそり立つものに戻る。深く早く上下に動くと、ルロイの声が余裕を失っていく。目を閉じて快楽に耐えているルロイを見ていると、ヴィクトリアの中に悦びが湧いてくる。

(気持ちよくなって、ルロイ。私のこと忘れないで)

「ルゥ、イって」
「くっリアッ」

ヴィクトリアの口に、どくどくと精が放たれる。ドレスに溢さないように受け止めてのみ込む。

「ルゥ呼びはずるい」と放心しているかのようなルロイに「もう終わりなの?」と意地悪に笑いかけると、ルロイの目に光が戻ってきた。

「俺はやられたらやり返すぞ」

そういってルロイはヴィクトリアを座らせ、太腿の間に顔を埋めた。わざと大きく水音を立てて舐め始める。

「あああっ」

大きく声をあげてしまってから、ヴィクトリアは「御者は?」と聞く。

「離れているから大丈夫だ。我慢するな」
「あああっんん…」
「それでいい。もっと声を聞かせてくれ。全部記憶するから、愛してるから」

(酔ってるから?前舐められた時よりずっとずっと気持ちいい。ああっ、今度は吸ってる!?)

ジュルジュルという音が響く。

「あっああっ…」
「どんどん溢れてくる」
「言わないでっ…ああっ舌が中にっ」
「そうだよ」

リロイの黒髪を掴みながら、ビクビクとヴィクトリアの身体が痙攣する。

(気持ちいい…おかしくなりそう…)

「指挿れるぞ」
「んんっ」

中と外を同時に攻められて、ヴィクトリアは声を我慢できない。馬車の中に彼女の濡れた声が充満する。

「ルゥ、お願い…」
「何?」
「もう挿れて」
「どうしようかな」
「お願いよ。もう欲しいの」

ルロイはヴィクトリアを自分の上に向かい合わせに座らせる。ズプリと刺されて、ヴィクトリアは快感に震える。ルロイの頭に腕を回して、ルロイの突き上げを堪能する。

「あああっ」

(なんて気持ちいいの…ルロイ、愛してる。きっと、愛してるからこんなに気持ちいいのよ)

「リア、腰動いてる。やらしい」
「ひ…あ…気持ちいいのっ」
「俺も」
「ああっん…気持ちいっ」
「名前呼んでくれ、リア」
「ルゥ、ルゥ…」
「もっと」
「ルゥ好きぃ、愛してるっ」
「俺も好きだ。俺のほうがもっと好きだ」

「ルゥ、キスして」という言葉に、ルロイはゾクゾクしながらヴィクトリアにキスする。舌を絡めてキスしながら、ヴィクトリアは腰を振る。

「ん…ふ…」
「ああ、リア、その腰の動きいいよ」
「あ…ん…」

(気持ちいいところに当てたいの)

「ああっ」
「いいとこ当たった?」
「ん…」
「ここ?」
「はああああっ」
「ここだな。よく締まる」

狙いすまして突かれて、ヴィクトリアは息も絶え絶えになる。

「ルゥ、ルゥッ!刻みつけてっ…忘れないように…!ルゥの形にしてっ」
「ああ、リア…!!可愛すぎる」

ルロイは繋がったままヴィクトリアのドレスの背中の紐を緩める。ヴィクトリアの白く豊満な胸が露わになり、ルロイは乳首に吸い付いた。

「ひぃあ!?」
「いい声」
「あ…ああ…ああ、これ…同時だめ…」
「気持ちいいのか?」
「ひっ…あっ…も…」
「いけよ」
「やだぁ!ルゥも一緒がいいのぉ」
「…わかった。しばらく堪えろよ」
「あんっ」

ヴィクトリアは喘ぎながら、ルロイの耳に舌を入れる。

「ああ…たまらないよ、リア。ゾクゾクする」
「ね、イこ。一緒に…」
「ああ…もうイクぞ」
「ひっんあああああっ」

ヴィクトリアはルロイにしがみついて達する。

(本当に、ルロイと結婚できたらいいのに…彼が貧乏でさえなければ…)

「ルロイ、これで…終わりじゃないわよね?」
「もちろんだ。この程度で俺の愛が伝わるとは思えないしな」

二人は何度も何度も体位を変えては交わって、屋敷に帰り着くことには明け方になっていた。

「さよなら、ルロイ」
「リア…」

(私のこと、忘れないで。っていうのは我儘よね。でも、私のことを心の片隅でもいいから生かしておいてほしい。だって、あなたはきっといつまでも私の心の中にいる)
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