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18 ずっと一緒に
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「リア、本気か!?ここに残るだって?」
思わず叫んでしまったルロイは、傷の痛みに顔を歪める。
「そうよ。調理兵が不足しているんですって。私、料理は早くて上手いのよ。それに、掃除や洗濯もできるわ。元下働きだから」
「いや、だからってこんなところで働くなんて。男でも倒れるくらい大変だぞ」
「男漁りで舞踏会をはしごして徹夜だってしたわ。体力には自信があるの」
「それに、この病院が攻撃される可能性だってある。危険すぎる」
「だったら尚更よ。ルロイだけ置いていけない」
ヴィクトリアは、まだ渋い顔をするルロイの手を握る。
「ルロイ、私に"辛い思いはさせない"って言ってくれたの覚えてる?その…あの…初めて…した日に」
「ああ、もちろん覚えてる」
「私にとっては愛する人と離れ離れになる"孤独"がなにより辛いことだってわかったの。だから一人にしないで。一緒にいさせて」
「死ぬときは一緒よ」とヴィクトリアはルロイの頬に手をやる。
ジェームズにも「私も一緒に残るよ。私だけ帰ればアリステアに殺されてしまうから」と同調されて、ルロイは頷いた。
翌日からヴィクトリアはくるくると働いた。
掃除、洗濯、調理兵の補助。ジェームズも傷病者の運搬や水汲みなどをこなす。
ヴィクトリアは「私が作ったと思うと、ご飯が美味しいでしょ」とルロイに笑いかける。
「リア、どんどん痩せてきてないか?それに、美しかった手が荒れて。こんなことになってまでそばにいてくれなくていいんだ。リアには安全なところにいてほしい」
「そう思うなら、早く良くなって。そしたら一緒に帰れるわ」
「なあ…寄宿学校の下働きだったときのことを思い出して、辛くならないのか?」
ヴィクトリアは「不思議なことに、ならないわ」と答えた。
「今は愛する人のために働いているんだもの。同じことをしていても、意味が違うのよ」
キスしてから「次の仕事があるから、もう行くわ。また来るわね」と出ていくヴィクトリアを見送って、ルロイは「早く回復しろ、俺の身体」と呟いた。
ヴィクトリアの存在が励みになって、ルロイは医師や衛生兵も驚くほどみるみる回復した。
部隊を離れて帰還する許可が下り、ヴィクトリアとジェームズとともに王都に帰ることになった。
「美しく賢いヴィクトリア、本当に帰ってしまうのか?心が痛むよ」に病院長がヴィクトリアに悲しそうな表情を向け、ルロイに「軍医殿、私が寝ている間にヴィクトリアにちょっかい出してないでしょうね?」と睨まれる。
病院長は「どうだろう。これほどの女性だからね」といたずらっぽく笑う。
衛生兵や調理兵たちは「ヴィクトリア様、行かないでください。俺たちのオアシス」と、ヴィクトリアとの別れを惜しんでいる。
「俺には誰も別れの挨拶を言わないのか?」
「はいはい、さようなら」
「おい!」
「冗談だよ、ボウルズ大尉」と病院長が真面目な顔になった。
「君は驚異的に回復したが、まだ無理は禁物だ。休み休み帰るようにな。帰還後もしばらくはゆっくり過ごしなさい。この美しい婚約者のためにも」
「ええ、わかっています。軍医殿、あなたは命の恩人です。本当にお世話になりました」
「ヴィクトリアも君の命の恩人だよ。忘れないで」
「ええ。これからずっと、いつもそばで感謝し続けます」
ルロイはヴィクトリアの頬にキスをして彼女と一緒に馬に乗り、出発した。
「ねえルロイ」
「何だ?」
「馬はちゃんと三頭いたのに、なんで私と一緒に乗ってるの?」
「リアを一人にしないように」
ルロイはまたヴィクトリアの匂いを嗅ぐ。
「まだ夢じゃないかって気がするよ」
「夢じゃないわ。これからはずっと一緒よ」
「そうだな」
「ところで、帰ったら結婚の準備をしないといけないわね」
「ああ」
「私、婚約指輪はとびきり大きなダイヤモンドじゃないと満足できないわ」
「100年待ってくれ」
ヴィクトリアは1番彼女らしく、ふふんと笑う。
「いいわよ。じゃあ100年一緒にいられるわね」
思わず叫んでしまったルロイは、傷の痛みに顔を歪める。
「そうよ。調理兵が不足しているんですって。私、料理は早くて上手いのよ。それに、掃除や洗濯もできるわ。元下働きだから」
「いや、だからってこんなところで働くなんて。男でも倒れるくらい大変だぞ」
「男漁りで舞踏会をはしごして徹夜だってしたわ。体力には自信があるの」
「それに、この病院が攻撃される可能性だってある。危険すぎる」
「だったら尚更よ。ルロイだけ置いていけない」
ヴィクトリアは、まだ渋い顔をするルロイの手を握る。
「ルロイ、私に"辛い思いはさせない"って言ってくれたの覚えてる?その…あの…初めて…した日に」
「ああ、もちろん覚えてる」
「私にとっては愛する人と離れ離れになる"孤独"がなにより辛いことだってわかったの。だから一人にしないで。一緒にいさせて」
「死ぬときは一緒よ」とヴィクトリアはルロイの頬に手をやる。
ジェームズにも「私も一緒に残るよ。私だけ帰ればアリステアに殺されてしまうから」と同調されて、ルロイは頷いた。
翌日からヴィクトリアはくるくると働いた。
掃除、洗濯、調理兵の補助。ジェームズも傷病者の運搬や水汲みなどをこなす。
ヴィクトリアは「私が作ったと思うと、ご飯が美味しいでしょ」とルロイに笑いかける。
「リア、どんどん痩せてきてないか?それに、美しかった手が荒れて。こんなことになってまでそばにいてくれなくていいんだ。リアには安全なところにいてほしい」
「そう思うなら、早く良くなって。そしたら一緒に帰れるわ」
「なあ…寄宿学校の下働きだったときのことを思い出して、辛くならないのか?」
ヴィクトリアは「不思議なことに、ならないわ」と答えた。
「今は愛する人のために働いているんだもの。同じことをしていても、意味が違うのよ」
キスしてから「次の仕事があるから、もう行くわ。また来るわね」と出ていくヴィクトリアを見送って、ルロイは「早く回復しろ、俺の身体」と呟いた。
ヴィクトリアの存在が励みになって、ルロイは医師や衛生兵も驚くほどみるみる回復した。
部隊を離れて帰還する許可が下り、ヴィクトリアとジェームズとともに王都に帰ることになった。
「美しく賢いヴィクトリア、本当に帰ってしまうのか?心が痛むよ」に病院長がヴィクトリアに悲しそうな表情を向け、ルロイに「軍医殿、私が寝ている間にヴィクトリアにちょっかい出してないでしょうね?」と睨まれる。
病院長は「どうだろう。これほどの女性だからね」といたずらっぽく笑う。
衛生兵や調理兵たちは「ヴィクトリア様、行かないでください。俺たちのオアシス」と、ヴィクトリアとの別れを惜しんでいる。
「俺には誰も別れの挨拶を言わないのか?」
「はいはい、さようなら」
「おい!」
「冗談だよ、ボウルズ大尉」と病院長が真面目な顔になった。
「君は驚異的に回復したが、まだ無理は禁物だ。休み休み帰るようにな。帰還後もしばらくはゆっくり過ごしなさい。この美しい婚約者のためにも」
「ええ、わかっています。軍医殿、あなたは命の恩人です。本当にお世話になりました」
「ヴィクトリアも君の命の恩人だよ。忘れないで」
「ええ。これからずっと、いつもそばで感謝し続けます」
ルロイはヴィクトリアの頬にキスをして彼女と一緒に馬に乗り、出発した。
「ねえルロイ」
「何だ?」
「馬はちゃんと三頭いたのに、なんで私と一緒に乗ってるの?」
「リアを一人にしないように」
ルロイはまたヴィクトリアの匂いを嗅ぐ。
「まだ夢じゃないかって気がするよ」
「夢じゃないわ。これからはずっと一緒よ」
「そうだな」
「ところで、帰ったら結婚の準備をしないといけないわね」
「ああ」
「私、婚約指輪はとびきり大きなダイヤモンドじゃないと満足できないわ」
「100年待ってくれ」
ヴィクトリアは1番彼女らしく、ふふんと笑う。
「いいわよ。じゃあ100年一緒にいられるわね」
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