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21 完成記念式典
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「ようやくお披露目できて、とても嬉しいですわ」
「ああ、私もとても嬉しい。そして、我が娘が誇らしいよ」
「ええ。病気やケガで苦しむ貧しい人たちが、救われますように…」
病院が入る建物を背にしつらえられたステージに立って、お父様と会話を交わす。
準備を進めてきた「貧しい人たちのための病院」が遂に完成し、今日これから、完成記念式典が開かれるのだ。
病院として使える既存の大きな建物を改装し、医師や看護師を集めて開院にこぎつけた。
「たくさんの国民が集まってくれましたわね」
「ああ。王族が出席する式典に一般市民が参加できるのは、わが国では異例だからな」
「そうですの。どうりで護衛の数が多いと思いましたわ。レオナルドも私たちのそばで目を光らせていますし」
「ああ、だから安心だ」
式典が始まると、まず設立者である私からの挨拶だ。
「病院に行けなくて亡くなる人を減らしたいという願い」と「これからも王宮は国民のために働いていくという決意」を述べる。
思いを共にするレオナルドが涙ぐんでいるのが見える。「中古」のアイデアをくれた、この病院の立役者であるアビーも泣いている。
(みんなのおかげだわ)
聴衆からもすすり泣きが聞こえる。
(パリス様も来てくださればよかったのに)
パリス様は完全にへそを曲げているのか、ゲストとして招待したいという私の提案をにべもなく断った。
呆れると同時に、ほんの少しだけ胸が痛む。
そのとき。
「今さらこんな病院をつくって何になる!息子が帰ってくるわけじゃない!」
叫び声がして、何かが私めがけて飛んできた。
動けない。
「王妃様、あぶない!」
ビシャッ…
「王妃様、お怪我はありませんか?」
気づいたらステージの上で、レオナルドに抱かれて横になっていた。レオナルドの左肩に黄色いものがべっとりついている。卵だ。
「大丈夫よ」
良かった…
ほっとすると同時に、まだレオナルドにギュッと抱かれていることに気づき、「レオナルド、もう大丈夫だから、離していただいて結構よ」と慌てて伝える。
助けてもらったのに、レオナルドが近くにいるとどうしても私の首を跳ねた彼のイメージが浮かんできてしまう。
(怖い…)
私は身震いする。
「王妃様…」
「リリー!大丈夫だったか?」
お父様が青い顔で近寄り、レオナルドを押しのけて私の顔を覗き込む。心配そうに私の顔や体をさすり、どこにもけががないことを確かめると、しっかりと私を抱きしめた。
ステージ裏に控えていたアビーが「王妃様!王妃様!」と叫びながら走り寄ってくるのも見える。
「ケガがなくて本当によかった。リリーに何かあったら…」
「大袈裟ですわ。ほら…王妃は無事だと知らせなければ」
立ち上がって、心配そうな聴衆の前で笑顔を見せる。
動揺しているときでも笑顔を作れるのは、幼少期からの訓練の賜物だ。
ステージ裏では「犯人を捕らえろ!」と警備兵たちがせわしなく走り回っていた。
「ああ、私もとても嬉しい。そして、我が娘が誇らしいよ」
「ええ。病気やケガで苦しむ貧しい人たちが、救われますように…」
病院が入る建物を背にしつらえられたステージに立って、お父様と会話を交わす。
準備を進めてきた「貧しい人たちのための病院」が遂に完成し、今日これから、完成記念式典が開かれるのだ。
病院として使える既存の大きな建物を改装し、医師や看護師を集めて開院にこぎつけた。
「たくさんの国民が集まってくれましたわね」
「ああ。王族が出席する式典に一般市民が参加できるのは、わが国では異例だからな」
「そうですの。どうりで護衛の数が多いと思いましたわ。レオナルドも私たちのそばで目を光らせていますし」
「ああ、だから安心だ」
式典が始まると、まず設立者である私からの挨拶だ。
「病院に行けなくて亡くなる人を減らしたいという願い」と「これからも王宮は国民のために働いていくという決意」を述べる。
思いを共にするレオナルドが涙ぐんでいるのが見える。「中古」のアイデアをくれた、この病院の立役者であるアビーも泣いている。
(みんなのおかげだわ)
聴衆からもすすり泣きが聞こえる。
(パリス様も来てくださればよかったのに)
パリス様は完全にへそを曲げているのか、ゲストとして招待したいという私の提案をにべもなく断った。
呆れると同時に、ほんの少しだけ胸が痛む。
そのとき。
「今さらこんな病院をつくって何になる!息子が帰ってくるわけじゃない!」
叫び声がして、何かが私めがけて飛んできた。
動けない。
「王妃様、あぶない!」
ビシャッ…
「王妃様、お怪我はありませんか?」
気づいたらステージの上で、レオナルドに抱かれて横になっていた。レオナルドの左肩に黄色いものがべっとりついている。卵だ。
「大丈夫よ」
良かった…
ほっとすると同時に、まだレオナルドにギュッと抱かれていることに気づき、「レオナルド、もう大丈夫だから、離していただいて結構よ」と慌てて伝える。
助けてもらったのに、レオナルドが近くにいるとどうしても私の首を跳ねた彼のイメージが浮かんできてしまう。
(怖い…)
私は身震いする。
「王妃様…」
「リリー!大丈夫だったか?」
お父様が青い顔で近寄り、レオナルドを押しのけて私の顔を覗き込む。心配そうに私の顔や体をさすり、どこにもけががないことを確かめると、しっかりと私を抱きしめた。
ステージ裏に控えていたアビーが「王妃様!王妃様!」と叫びながら走り寄ってくるのも見える。
「ケガがなくて本当によかった。リリーに何かあったら…」
「大袈裟ですわ。ほら…王妃は無事だと知らせなければ」
立ち上がって、心配そうな聴衆の前で笑顔を見せる。
動揺しているときでも笑顔を作れるのは、幼少期からの訓練の賜物だ。
ステージ裏では「犯人を捕らえろ!」と警備兵たちがせわしなく走り回っていた。
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