死に戻りの世間知らず王妃は、断罪を回避するために全力でやり直します!

こじまき

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23 取り合う資格などない

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「王妃様には驚かされます。あんなふうに、あの一件をおさめてしまうなんて」

王妃執務室で、レオナルドが言う。

私に卵を投げつけた男性は、牢に入ったものの、死罪は免れた。

私は今回ばかりはパリス様の「ゆるさ」に心底感謝した。

「おさめようと思ったわけではなかったの。ただ本当に私は…ただ彼に赦してほしかった」

(赦されるものではないけれど)

私が手に顎を乗せていると、レオナルドが聞く。

「王妃様は、あの一件が王都にどう伝わっているかご存じですか」
「いいえ?」
「王妃様の寛容さと、民に寄り添おうとする慈愛が、民の心を動かしているようです。王妃様の人気が高まっており、王妃様の願いを聞き入れた国王陛下の評価も高まっていると聞いております」

私は心底ほっとする。

断頭台から数歩くらいは離れただろうか。

「知らせてくれて、ありがとう」

レオナルドが安心したようにふっと笑った。

なんだか急にやる気が湧いてきた。

「私の領地から得られる収入を上げたいのだけれど、何かいい方法はあるかしら?もちろん、民に重税を課す方法は却下よ」
「プフェには温泉がございますね。資源を活かして観光業に力を入れてみてはいかがかと」
「素敵だわ。まずは成功している温泉施設の例を調べなきゃ」

数年ぶりにすっかり常連になった図書館で、司書に欲しい資料を知らせて、私専用の椅子に座ろうとしたとき。

ぐらっと視界が揺れた。

(え…?)

身体が床に落ちた衝撃を感じる。自分の意思では、指一本動かせない。

「王妃様、王妃様っ!」

レオナルドの声が聞こえるけれど、目の前が真っ白になって、何も見えない。

「レオナルド…?何も見えないの…動けない、怖い…」

(死ぬの…?)

「運びます」

力強い腕に抱きかかえられる感触があって、ほんのりと香水が香る。

(ああ、なんだか…きっと大丈夫…)

ーーー

「リリー!何があった!?」

私はレオナルドの腕の中で、目を開けられないままパリス様の声を聞いている。

「図書館でお倒れになったのです。宮廷医に見せるために、寝室にお運びを」
「…代われ。夫婦の寝室に運ぶ」
「陛下、今は王妃様の取り合いをしている場合では…一刻も早く運びませんと」
「取り合いだと?お前に俺とリリーを取り合う資格などないだろう!リリーは王妃で、俺の妻だぞ!!」

私の身体が、レオナルドからパリス様の腕の中へを移される感触。

レオナルドとはまた違うしなやかな筋肉の感触と、少し甘い匂い。

乾いた布に手が触れて、ベッドに降ろされたとわかる。

「パリス様…?」
「ああ、ここにいる」
「運んでいただいて、ありがとうございます」
「当然のことだ」

(どうして…あんな別れ方をして以来口も聞いていなくて、エドナと一緒に庭を歩いていたのに…)

額に唇が触れる感覚。

「パリス、様…?」
「医者が来るからな。大丈夫だから」

(こうやってずっと、俺の手の届くところで休んでいればいい)
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