32 / 44
チキン野郎にご主人様は渡しません!(※ユキレラ、番犬度アップ!)
しおりを挟む
子爵邸に戻ってきてから、ユキレラのご主人様ルシウスは、兄伯爵から回される仕事量が増えた。
その中には王家からの依頼も多数混ざっていて、子爵邸にいたときより忙しいぐらいだった。
それでもルシウスは兄から仕事を言い渡されるたびに嬉しそうにしていたので、ユキレラに言えることは何もなかった。
過密スケジュールを上手く調整して、ちゃんと毎食ごはんを食べさせることだけは怠らなかった。そのぐらい。
(あー。この人、同類だべ。オレと同じ超尽くし系タイプ)
相変わらず、ルシウスと一緒にいるようになってから、それとな~く粉をかけ続けていても、まったく気づいてくれない。
彼の湖面の水色の瞳に映る人は、いつでもたったひとりだけだ。
同じようにルシウスにまったく気づいてもらえない同志はわりといて、たまに声をかけては互いに慰め合って報われぬ想いを共有する。
彼らも、ルシウスが兄伯爵に抱いている想いには何となく気づいている様子。
「不毛ですよねえ。……そろそろオレらもやめます?」
この関係。セフレっていうんですけどね。
「い、いや、私は君を通じてルシウス様の空気を感じていたいんだ!」
「空気ぃ? 匂いなんかは香水も違いますけど?」
聖者だというご主人様は自前で森林浴みたいな良い匂いがするが、ユキレラは適当にハーブ入りの石鹸で身体を洗うぐらいだ。
こんな自虐的な遊び、そろそろフェードアウトしたいなーとユキレラも思うようになってきたのだが、セフレの皆さんがまたなかなか切れてくれない。
「この手が、日頃からあの方に触れているのだと思うと、手放したくない」
とセフレのひとり、宰相令息様がユキレラの手を取って、そっと口付けてきた。
ベッドの上で、相手の口の中とか、人には言えない股の奥なんかに突っ込んで散々泣かせたゴールドフィンガー付き。
彼はユキレラたちとは違って混じりけのない銀髪で、普段は銀縁眼鏡をかけたまさにクールなインテリ様。
そんな彼はルシウスと学園の同級生で、在学時には小柄で自信のない態度が原因でいじめられていたところを助けられたという。
そのときからずっとルシウス一筋で、ファンクラブまで立ち上げていたそうな。
そこまで関わっていたなら友人なのか? と訊けば、「そんな、私如きがとんでもない!」ときた。
後にルシウスに確認してみると、最初は同じクラスで友人のつもりだったが、後から信者化してしまって、一緒にランチを食べることも恐れ多いと辞退されるような仲だったらしい。
(いやいやいや。それどんな仲だっぺ? しかも何で侯爵家の宰相令息が伯爵令息のルシウス様を『恐れ多い』?)
意味がわからない。
貴族制度の意味とは? 逆ならまだわかるけれど。
言うまでもないが、家の格的には侯爵家のほうが伯爵家より上である。
ユキレラの場合は、ルシウスの側から積極的に関わってくれたので、今この立ち位置なわけだが。
ところが、ルシウスに近づきたいが恐れ多すぎて側使えのユキレラを代用にしている彼らの多くは、遠くからルシウスを見ているだけで、積極的に関わろうとしないチキン野郎どもだった。
そう、チキン野郎などにキラキラ輝く麗しのご主人様はもったいない。
だから番犬ユキレラは、おいしくチキンを今日ももぐもぐ頂戴している。
まだしばらく、ご主人様を崇拝する信者のセフレたちを切れそうになかった。
その中には王家からの依頼も多数混ざっていて、子爵邸にいたときより忙しいぐらいだった。
それでもルシウスは兄から仕事を言い渡されるたびに嬉しそうにしていたので、ユキレラに言えることは何もなかった。
過密スケジュールを上手く調整して、ちゃんと毎食ごはんを食べさせることだけは怠らなかった。そのぐらい。
(あー。この人、同類だべ。オレと同じ超尽くし系タイプ)
相変わらず、ルシウスと一緒にいるようになってから、それとな~く粉をかけ続けていても、まったく気づいてくれない。
彼の湖面の水色の瞳に映る人は、いつでもたったひとりだけだ。
同じようにルシウスにまったく気づいてもらえない同志はわりといて、たまに声をかけては互いに慰め合って報われぬ想いを共有する。
彼らも、ルシウスが兄伯爵に抱いている想いには何となく気づいている様子。
「不毛ですよねえ。……そろそろオレらもやめます?」
この関係。セフレっていうんですけどね。
「い、いや、私は君を通じてルシウス様の空気を感じていたいんだ!」
「空気ぃ? 匂いなんかは香水も違いますけど?」
聖者だというご主人様は自前で森林浴みたいな良い匂いがするが、ユキレラは適当にハーブ入りの石鹸で身体を洗うぐらいだ。
こんな自虐的な遊び、そろそろフェードアウトしたいなーとユキレラも思うようになってきたのだが、セフレの皆さんがまたなかなか切れてくれない。
「この手が、日頃からあの方に触れているのだと思うと、手放したくない」
とセフレのひとり、宰相令息様がユキレラの手を取って、そっと口付けてきた。
ベッドの上で、相手の口の中とか、人には言えない股の奥なんかに突っ込んで散々泣かせたゴールドフィンガー付き。
彼はユキレラたちとは違って混じりけのない銀髪で、普段は銀縁眼鏡をかけたまさにクールなインテリ様。
そんな彼はルシウスと学園の同級生で、在学時には小柄で自信のない態度が原因でいじめられていたところを助けられたという。
そのときからずっとルシウス一筋で、ファンクラブまで立ち上げていたそうな。
そこまで関わっていたなら友人なのか? と訊けば、「そんな、私如きがとんでもない!」ときた。
後にルシウスに確認してみると、最初は同じクラスで友人のつもりだったが、後から信者化してしまって、一緒にランチを食べることも恐れ多いと辞退されるような仲だったらしい。
(いやいやいや。それどんな仲だっぺ? しかも何で侯爵家の宰相令息が伯爵令息のルシウス様を『恐れ多い』?)
意味がわからない。
貴族制度の意味とは? 逆ならまだわかるけれど。
言うまでもないが、家の格的には侯爵家のほうが伯爵家より上である。
ユキレラの場合は、ルシウスの側から積極的に関わってくれたので、今この立ち位置なわけだが。
ところが、ルシウスに近づきたいが恐れ多すぎて側使えのユキレラを代用にしている彼らの多くは、遠くからルシウスを見ているだけで、積極的に関わろうとしないチキン野郎どもだった。
そう、チキン野郎などにキラキラ輝く麗しのご主人様はもったいない。
だから番犬ユキレラは、おいしくチキンを今日ももぐもぐ頂戴している。
まだしばらく、ご主人様を崇拝する信者のセフレたちを切れそうになかった。
26
あなたにおすすめの小説
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
姉の男友達に恋をした僕(番外編更新)
turarin
BL
侯爵家嫡男のポールは姉のユリアが大好き。身体が弱くて小さかったポールは、文武両道で、美しくて優しい一つ年上の姉に、ずっと憧れている。
徐々に体も丈夫になり、少しずつ自分に自信を持てるようになった頃、姉が同級生を家に連れて来た。公爵家の次男マークである。
彼も姉同様、何でも出来て、その上性格までいい、美しい男だ。
一目彼を見た時からポールは彼に惹かれた。初恋だった。
ただマークの傍にいたくて、勉強も頑張り、生徒会に入った。一緒にいる時間が増える。マークもまんざらでもない様子で、ポールを構い倒す。ポールは嬉しくてしかたない。
その様子を苛立たし気に見ているのがポールと同級の親友アンドルー。学力でも剣でも実力が拮抗する2人は一緒に行動することが多い。
そんなある日、転入して来た男爵令嬢にアンドルーがしつこくつきまとわれる。その姿がポールの心に激しい怒りを巻き起こす。自分の心に沸き上がる激しい気持に驚くポール。
時が経ち、マークは遂にユリアにプロポーズをする。ユリアの答えは?
ポールが気になって仕方ないアンドルー。実は、ユリアにもポールにも両方に気持が向いているマーク。初恋のマークと、いつも傍にいてくれるアンドルー。ポールが本当に幸せになるにはどちらを選ぶ?
読んでくださった方ありがとうございます😊
♥もすごく嬉しいです。
不定期ですが番外編更新していきます!
使用人と家族たちが過大評価しすぎて神認定されていた。
ふわりんしず。
BL
ちょっと勘とタイミングがいい主人公と
主人公を崇拝する使用人(人外)達の物語り
狂いに狂ったダンスを踊ろう。
▲▲▲
なんでも許せる方向けの物語り
人外(悪魔)たちが登場予定。モブ殺害あり、人間を悪魔に変える表現あり。
【完結】雨降らしは、腕の中。
N2O
BL
獣人の竜騎士 × 特殊な力を持つ青年
Special thanks
表紙:meadow様(X:@into_ml79)
挿絵:Garp様(X:garp_cts)
※素人作品、ご都合主義です。温かな目でご覧ください。
冷血宰相の秘密は、ただひとりの少年だけが知っている
春夜夢
BL
「――誰にも言うな。これは、お前だけが知っていればいい」
王国最年少で宰相に就任した男、ゼフィルス=ル=レイグラン。
冷血無慈悲、感情を持たない政の化け物として恐れられる彼は、
なぜか、貧民街の少年リクを城へと引き取る。
誰に対しても一切の温情を見せないその男が、
唯一リクにだけは、優しく微笑む――
その裏に隠された、王政を揺るがす“とある秘密”とは。
孤児の少年が踏み入れたのは、
権謀術数渦巻く宰相の世界と、
その胸に秘められた「決して触れてはならない過去」。
これは、孤独なふたりが出会い、
やがて世界を変えていく、
静かで、甘くて、痛いほど愛しい恋の物語。
悪役令息の兄って需要ありますか?
焦げたせんべい
BL
今をときめく悪役による逆転劇、ザマァやらエトセトラ。
その悪役に歳の離れた兄がいても、気が強くなければ豆電球すら光らない。
これは物語の終盤にチラッと出てくる、折衷案を出す兄の話である。
魔王さまのヒミツ♡
黒木 鳴
BL
歴代最年少で魔王の地位に就いたレイには隠し通さなければならない秘密がある。それは……「魔王もうやだぁぁぁ~~!!下剋上こわいよぉぉぉーーー!!!」その実態が泣き虫ポンコツ魔王だということ。バレれば即・下剋上を挑まれることは必至!なので先々代の魔王を父に持ち、悪魔公爵ジェラルドが膝を折ったという2枚看板を武器にクールな魔王を演じている。だけどその実力を疑う者たちも出てきて……?!果たしてレイの運命は……?!溺愛腹黒系悪魔×初心な小悪魔系吸血鬼。お茶目なパパんも大活躍!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる