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チキン野郎にご主人様は渡しません!(※ユキレラ、番犬度アップ!)
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子爵邸に戻ってきてから、ユキレラのご主人様ルシウスは、兄伯爵から回される仕事量が増えた。
その中には王家からの依頼も多数混ざっていて、子爵邸にいたときより忙しいぐらいだった。
それでもルシウスは兄から仕事を言い渡されるたびに嬉しそうにしていたので、ユキレラに言えることは何もなかった。
過密スケジュールを上手く調整して、ちゃんと毎食ごはんを食べさせることだけは怠らなかった。そのぐらい。
(あー。この人、同類だべ。オレと同じ超尽くし系タイプ)
相変わらず、ルシウスと一緒にいるようになってから、それとな~く粉をかけ続けていても、まったく気づいてくれない。
彼の湖面の水色の瞳に映る人は、いつでもたったひとりだけだ。
同じようにルシウスにまったく気づいてもらえない同志はわりといて、たまに声をかけては互いに慰め合って報われぬ想いを共有する。
彼らも、ルシウスが兄伯爵に抱いている想いには何となく気づいている様子。
「不毛ですよねえ。……そろそろオレらもやめます?」
この関係。セフレっていうんですけどね。
「い、いや、私は君を通じてルシウス様の空気を感じていたいんだ!」
「空気ぃ? 匂いなんかは香水も違いますけど?」
聖者だというご主人様は自前で森林浴みたいな良い匂いがするが、ユキレラは適当にハーブ入りの石鹸で身体を洗うぐらいだ。
こんな自虐的な遊び、そろそろフェードアウトしたいなーとユキレラも思うようになってきたのだが、セフレの皆さんがまたなかなか切れてくれない。
「この手が、日頃からあの方に触れているのだと思うと、手放したくない」
とセフレのひとり、宰相令息様がユキレラの手を取って、そっと口付けてきた。
ベッドの上で、相手の口の中とか、人には言えない股の奥なんかに突っ込んで散々泣かせたゴールドフィンガー付き。
彼はユキレラたちとは違って混じりけのない銀髪で、普段は銀縁眼鏡をかけたまさにクールなインテリ様。
そんな彼はルシウスと学園の同級生で、在学時には小柄で自信のない態度が原因でいじめられていたところを助けられたという。
そのときからずっとルシウス一筋で、ファンクラブまで立ち上げていたそうな。
そこまで関わっていたなら友人なのか? と訊けば、「そんな、私如きがとんでもない!」ときた。
後にルシウスに確認してみると、最初は同じクラスで友人のつもりだったが、後から信者化してしまって、一緒にランチを食べることも恐れ多いと辞退されるような仲だったらしい。
(いやいやいや。それどんな仲だっぺ? しかも何で侯爵家の宰相令息が伯爵令息のルシウス様を『恐れ多い』?)
意味がわからない。
貴族制度の意味とは? 逆ならまだわかるけれど。
言うまでもないが、家の格的には侯爵家のほうが伯爵家より上である。
ユキレラの場合は、ルシウスの側から積極的に関わってくれたので、今この立ち位置なわけだが。
ところが、ルシウスに近づきたいが恐れ多すぎて側使えのユキレラを代用にしている彼らの多くは、遠くからルシウスを見ているだけで、積極的に関わろうとしないチキン野郎どもだった。
そう、チキン野郎などにキラキラ輝く麗しのご主人様はもったいない。
だから番犬ユキレラは、おいしくチキンを今日ももぐもぐ頂戴している。
まだしばらく、ご主人様を崇拝する信者のセフレたちを切れそうになかった。
その中には王家からの依頼も多数混ざっていて、子爵邸にいたときより忙しいぐらいだった。
それでもルシウスは兄から仕事を言い渡されるたびに嬉しそうにしていたので、ユキレラに言えることは何もなかった。
過密スケジュールを上手く調整して、ちゃんと毎食ごはんを食べさせることだけは怠らなかった。そのぐらい。
(あー。この人、同類だべ。オレと同じ超尽くし系タイプ)
相変わらず、ルシウスと一緒にいるようになってから、それとな~く粉をかけ続けていても、まったく気づいてくれない。
彼の湖面の水色の瞳に映る人は、いつでもたったひとりだけだ。
同じようにルシウスにまったく気づいてもらえない同志はわりといて、たまに声をかけては互いに慰め合って報われぬ想いを共有する。
彼らも、ルシウスが兄伯爵に抱いている想いには何となく気づいている様子。
「不毛ですよねえ。……そろそろオレらもやめます?」
この関係。セフレっていうんですけどね。
「い、いや、私は君を通じてルシウス様の空気を感じていたいんだ!」
「空気ぃ? 匂いなんかは香水も違いますけど?」
聖者だというご主人様は自前で森林浴みたいな良い匂いがするが、ユキレラは適当にハーブ入りの石鹸で身体を洗うぐらいだ。
こんな自虐的な遊び、そろそろフェードアウトしたいなーとユキレラも思うようになってきたのだが、セフレの皆さんがまたなかなか切れてくれない。
「この手が、日頃からあの方に触れているのだと思うと、手放したくない」
とセフレのひとり、宰相令息様がユキレラの手を取って、そっと口付けてきた。
ベッドの上で、相手の口の中とか、人には言えない股の奥なんかに突っ込んで散々泣かせたゴールドフィンガー付き。
彼はユキレラたちとは違って混じりけのない銀髪で、普段は銀縁眼鏡をかけたまさにクールなインテリ様。
そんな彼はルシウスと学園の同級生で、在学時には小柄で自信のない態度が原因でいじめられていたところを助けられたという。
そのときからずっとルシウス一筋で、ファンクラブまで立ち上げていたそうな。
そこまで関わっていたなら友人なのか? と訊けば、「そんな、私如きがとんでもない!」ときた。
後にルシウスに確認してみると、最初は同じクラスで友人のつもりだったが、後から信者化してしまって、一緒にランチを食べることも恐れ多いと辞退されるような仲だったらしい。
(いやいやいや。それどんな仲だっぺ? しかも何で侯爵家の宰相令息が伯爵令息のルシウス様を『恐れ多い』?)
意味がわからない。
貴族制度の意味とは? 逆ならまだわかるけれど。
言うまでもないが、家の格的には侯爵家のほうが伯爵家より上である。
ユキレラの場合は、ルシウスの側から積極的に関わってくれたので、今この立ち位置なわけだが。
ところが、ルシウスに近づきたいが恐れ多すぎて側使えのユキレラを代用にしている彼らの多くは、遠くからルシウスを見ているだけで、積極的に関わろうとしないチキン野郎どもだった。
そう、チキン野郎などにキラキラ輝く麗しのご主人様はもったいない。
だから番犬ユキレラは、おいしくチキンを今日ももぐもぐ頂戴している。
まだしばらく、ご主人様を崇拝する信者のセフレたちを切れそうになかった。
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