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聖剣、魔剣、どっちが正解?
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「失礼だが、貴殿はSランクがどのようなものか理解していないものと思われる」
静かにルシウスが説明していった。
SランクやSSランクは、凡人では決して辿り着けない境地の実力者たちで、一国に何十人といない。
そのため、騎士はともかく、冒険者ランクSは王侯貴族たちとは違ったルールのもとに存在する。
(国家権力の支配による強制力を受けない、だったべな。男子たる者、一度は憧れる。それが孤高の冒険者ランクSだっぺ)
そこからひとつ上がってSSランクになると、逆に今度は所属する国からの指名依頼の請負義務が発生する。
なので、権力と関わりたい者は積極的にSSランクに上がって地位や名声を追求していく。
「冒険者ランクSの私を、一国の王族という理由だけで従えることはできません。貴殿からの求婚はお断り致します」
「は? 本気で言っているのか? このパルテニスはタイアド王国の王族ぞ? このアケロニア王国よりはるかに巨大な大国の王族からのプロポーズを断るなど許されるわけがない!」
あ、これ頭の悪いやつだ、とその場にいた者は誰もが思った。
先ほど、懇切丁寧にルシウスが説明した冒険者ランクSの内容がまったく理解されていない。
「そもそも先王の時代から戦争一つできぬ弱者の国こそ、このアケロニア王国ではないか! そんな臆病者の国にお前のような美しい者はもったいない! Sランクというなら尚更だ!」
(あんれ? なんか地響きのような音がすっぺな?)
ゴゴゴゴゴ……と鈍い音が鳴っている。
どこからだろう? とユキレラが辺りを見回すと、何とご主人様から全身、ネオンブルーに輝く魔力が吹き出している。
地響き音はルシウスから発生している!
そして他国の王族様(笑)はまだ何か喚きたてていたが、いろいろな方位に飛び火する感じに無礼や侮辱の嵐で、隣のグレイシア王太女を始めとして国内の貴族の皆さんはもう全然顔が笑っていない。
「黙れ」
一際低い声でルシウスが恫喝した。
「私のみならず、偉大なる先王ヴァシレウス大王陛下まで侮辱するとは万死に値する。その罪、ここで私に斬られても文句は言えぬぞ!?」
ハッと気づくと、ルシウスの両手の中には両刃の透明でキラキラ輝く魔法剣がある。
ユキレラも先日、ルシウスの兄伯爵様から頂戴したものと同じ、金剛石製のアレだ。
だが、ルシウスのものはキラキラ光を乱反射するだけでなく、刀身全体が純白に光り輝いていた。
「魔王剣、出たー!」
「もう、違いましてよ! 自ら光り輝く武具は聖なる魔力の象徴!」
周りの皆さんが良い感じにしたり顔で解説してくれるので、すんなり状況把握ができたユキレラだ。
「ルシウス様は聖剣使いだものね」
「あ、オネスト君」
いつの間にやらユキレラの側に来ていたのは、今回の主催者、宰相家の次男でセフレ君ことオネスト君だ。
一見、銀髪で銀縁眼鏡の似合うクールビューティーな若き紳士だが、本命に告白ひとつできずにいるチキン君である。
「オネスト君。あれ放っておいていいんですか? 一応相手、タイアド王国の王族様ですよね?」
「タイアド王国の王族だからいいんじゃないか。これで完全にあの忌まわしき大国と国交断絶できる」
「はあ、そうですか」
ルシウスのたった一本の魔法剣は、夜会の大広間を建物ごと振動させる、高密度の魔力発生器だった。
光り輝く金剛石の魔法剣は、ルシウスが唯一持つ武器で聖剣だという。
(もおおー! ルシウス様、そういう大事なことはちゃんと話しとけーユキレラ泣いちゃうっぺや!)
「……ここまでだな」
隣のグレイシア王太女様が呟いて、カツカツ、とドレスと同じ真っ赤な高いヒールを鳴らしてルシウスとタイアド王国の王族の元へ向かった。
「仮にも友好国の夜会で、大したお振る舞いですな、パルテニス殿下。ですが今宵を祝福しよう。貴殿の行いのお陰で我らアケロニア王国はタイアド王国という膿を切り捨てることができる」
パチッと王太女が指を鳴らすと、衛兵、いや騎士たちが王族と、彼と同じタイアド王国からの視察団員たちを拘束した。
「連れて行け!」
「な、何を! ああ、麗しの君! どうか私と一緒に!」
王族の男が往生際悪くルシウスへ手を飛ばす。
ルシウスは剣を片手に持ち替えて、その手を取った!
「!」
「「「キャーイヤー! ルシウスさまああああ!」」」
男女様々な悲鳴が上がったが、心配は不要だった。
ルシウスは王族男性の手を掴んで固定したのだ。
そして素早く、剣の柄で男の額を打った。
トン、と軽い音だった。
しかし次の瞬間、不埒な男は泡を吹いて背後から床に倒れ込んだ。
「邪念だらけじゃないか。これじゃあ、目が覚めても大して変わらないな」
周囲が声を潜めている。
「浄化……」
「聖剣の破邪の審判……」
これはもう、子爵邸に帰ったら洗いざらい秘密を吐いてもらうぞ、とユキレラは心に誓った。
(ご主人様、怖すぎるっぺえ。魔剣とか聖剣とかどうなってん? このユキレラ、どこまでもお供したいので秘密はなしにしてくんろー!)
結局、ルシウスを侮辱した他国の王族はアケロニア王国に出禁となった。
ついでに、彼の出身であるタイアド王国とは正式に国交断絶と相成った。
元から交流のあった民間レベルの商取引などはそのまま継続できるが、当然ながらタイアド王国側の商品には、関税の税率が上げられることになる。
「タイアド王国は元から長くなかった。あとは衰退するだけさ」
夜会の後、友人知人たちの集まりに行くたびに、あの王族男性からの公開プロポーズ及び公開お仕置きをネタにされて、最近のご主人様ルシウスはずっとご機嫌斜めだ。
ブスッとしていても、ユキレラのご主人様は麗しい。
人伝てで夜会の話を聞いた兄伯爵様から揶揄われたときだけは、困ったように可愛らしく笑っていたけれども。
子爵邸に戻ってくるなり、ちょっとユキレラに八つ当たりしてくるのが、可愛くて可愛くてもう。
だが、そんなご主人様も今年19歳。
いつまでも可愛い子供でいられなくなる出来事がその後、起こるのである。
静かにルシウスが説明していった。
SランクやSSランクは、凡人では決して辿り着けない境地の実力者たちで、一国に何十人といない。
そのため、騎士はともかく、冒険者ランクSは王侯貴族たちとは違ったルールのもとに存在する。
(国家権力の支配による強制力を受けない、だったべな。男子たる者、一度は憧れる。それが孤高の冒険者ランクSだっぺ)
そこからひとつ上がってSSランクになると、逆に今度は所属する国からの指名依頼の請負義務が発生する。
なので、権力と関わりたい者は積極的にSSランクに上がって地位や名声を追求していく。
「冒険者ランクSの私を、一国の王族という理由だけで従えることはできません。貴殿からの求婚はお断り致します」
「は? 本気で言っているのか? このパルテニスはタイアド王国の王族ぞ? このアケロニア王国よりはるかに巨大な大国の王族からのプロポーズを断るなど許されるわけがない!」
あ、これ頭の悪いやつだ、とその場にいた者は誰もが思った。
先ほど、懇切丁寧にルシウスが説明した冒険者ランクSの内容がまったく理解されていない。
「そもそも先王の時代から戦争一つできぬ弱者の国こそ、このアケロニア王国ではないか! そんな臆病者の国にお前のような美しい者はもったいない! Sランクというなら尚更だ!」
(あんれ? なんか地響きのような音がすっぺな?)
ゴゴゴゴゴ……と鈍い音が鳴っている。
どこからだろう? とユキレラが辺りを見回すと、何とご主人様から全身、ネオンブルーに輝く魔力が吹き出している。
地響き音はルシウスから発生している!
そして他国の王族様(笑)はまだ何か喚きたてていたが、いろいろな方位に飛び火する感じに無礼や侮辱の嵐で、隣のグレイシア王太女を始めとして国内の貴族の皆さんはもう全然顔が笑っていない。
「黙れ」
一際低い声でルシウスが恫喝した。
「私のみならず、偉大なる先王ヴァシレウス大王陛下まで侮辱するとは万死に値する。その罪、ここで私に斬られても文句は言えぬぞ!?」
ハッと気づくと、ルシウスの両手の中には両刃の透明でキラキラ輝く魔法剣がある。
ユキレラも先日、ルシウスの兄伯爵様から頂戴したものと同じ、金剛石製のアレだ。
だが、ルシウスのものはキラキラ光を乱反射するだけでなく、刀身全体が純白に光り輝いていた。
「魔王剣、出たー!」
「もう、違いましてよ! 自ら光り輝く武具は聖なる魔力の象徴!」
周りの皆さんが良い感じにしたり顔で解説してくれるので、すんなり状況把握ができたユキレラだ。
「ルシウス様は聖剣使いだものね」
「あ、オネスト君」
いつの間にやらユキレラの側に来ていたのは、今回の主催者、宰相家の次男でセフレ君ことオネスト君だ。
一見、銀髪で銀縁眼鏡の似合うクールビューティーな若き紳士だが、本命に告白ひとつできずにいるチキン君である。
「オネスト君。あれ放っておいていいんですか? 一応相手、タイアド王国の王族様ですよね?」
「タイアド王国の王族だからいいんじゃないか。これで完全にあの忌まわしき大国と国交断絶できる」
「はあ、そうですか」
ルシウスのたった一本の魔法剣は、夜会の大広間を建物ごと振動させる、高密度の魔力発生器だった。
光り輝く金剛石の魔法剣は、ルシウスが唯一持つ武器で聖剣だという。
(もおおー! ルシウス様、そういう大事なことはちゃんと話しとけーユキレラ泣いちゃうっぺや!)
「……ここまでだな」
隣のグレイシア王太女様が呟いて、カツカツ、とドレスと同じ真っ赤な高いヒールを鳴らしてルシウスとタイアド王国の王族の元へ向かった。
「仮にも友好国の夜会で、大したお振る舞いですな、パルテニス殿下。ですが今宵を祝福しよう。貴殿の行いのお陰で我らアケロニア王国はタイアド王国という膿を切り捨てることができる」
パチッと王太女が指を鳴らすと、衛兵、いや騎士たちが王族と、彼と同じタイアド王国からの視察団員たちを拘束した。
「連れて行け!」
「な、何を! ああ、麗しの君! どうか私と一緒に!」
王族の男が往生際悪くルシウスへ手を飛ばす。
ルシウスは剣を片手に持ち替えて、その手を取った!
「!」
「「「キャーイヤー! ルシウスさまああああ!」」」
男女様々な悲鳴が上がったが、心配は不要だった。
ルシウスは王族男性の手を掴んで固定したのだ。
そして素早く、剣の柄で男の額を打った。
トン、と軽い音だった。
しかし次の瞬間、不埒な男は泡を吹いて背後から床に倒れ込んだ。
「邪念だらけじゃないか。これじゃあ、目が覚めても大して変わらないな」
周囲が声を潜めている。
「浄化……」
「聖剣の破邪の審判……」
これはもう、子爵邸に帰ったら洗いざらい秘密を吐いてもらうぞ、とユキレラは心に誓った。
(ご主人様、怖すぎるっぺえ。魔剣とか聖剣とかどうなってん? このユキレラ、どこまでもお供したいので秘密はなしにしてくんろー!)
結局、ルシウスを侮辱した他国の王族はアケロニア王国に出禁となった。
ついでに、彼の出身であるタイアド王国とは正式に国交断絶と相成った。
元から交流のあった民間レベルの商取引などはそのまま継続できるが、当然ながらタイアド王国側の商品には、関税の税率が上げられることになる。
「タイアド王国は元から長くなかった。あとは衰退するだけさ」
夜会の後、友人知人たちの集まりに行くたびに、あの王族男性からの公開プロポーズ及び公開お仕置きをネタにされて、最近のご主人様ルシウスはずっとご機嫌斜めだ。
ブスッとしていても、ユキレラのご主人様は麗しい。
人伝てで夜会の話を聞いた兄伯爵様から揶揄われたときだけは、困ったように可愛らしく笑っていたけれども。
子爵邸に戻ってくるなり、ちょっとユキレラに八つ当たりしてくるのが、可愛くて可愛くてもう。
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いつまでも可愛い子供でいられなくなる出来事がその後、起こるのである。
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