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【番外編】夏ももう終わりなのだ
ウパルパ最強伝説はここから始まるのだ!
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一方、ピアディの保護者筆頭を争う聖剣の聖者様と聖女様の心中は穏やかではない。
「まだ……まだ結婚などは早いと思うのですが、どう思いますかルシウスさん!?」
「そもそも違う種族で番えるのだろうか……?」
深刻そうに保護者たちが相談し合っているのをよそに、ピアディはもうすっかり元通りのご機嫌ウパルパだ。
「ぷぅ(うんめい、われ新たなぶきを探しにお出かけするのだ。冒険フェイズつーなのだ、ねくすとすてーじなのだ)」
「ピュイッ(いこう、いこう、ピアディ、ぼうけん!)」
スイカの果汁でべたべたになった顔を雛竜にぺろぺろと舐め取られながら、ピアディは決意した。
「ぷぅ!(最強ウパルパにわれはなる!)」
二足歩行できるようになった後ろ足ですくっと立ち、ぽんぽんの胸とお腹を勇ましく張った。半透明の身体をぷるぷるぽよんと震えさせて。
「ピャウー(ぼくもさいきょうドラゴンなるー)」
生まれたばかりの頃はピアディと同じぐらいの大きさだった雛竜も、毎日おいしい果物や草を食べ続けて、あっという間にピアディを上回る大きさまで育った。
お父さんのユキノ君みたいな大きなドラゴンになるまでは数年かかるが、ピアディを抱っこできるサイズに育つまでは半年もかからないそうだ。
真っ白な羽毛に覆われた背中の翼が動き出す。まだまだ柔らかすぎてなかなかお父さんのユキノ君のようには飛べなかった雛竜だったが……
ふよ、ふよ……
「ぷぅ!(うんめい、すごいのだ、とべたのだ!)」
「ピュフー!(これでピアディといっしょにおそといけるね!)」
まだちょっと飛び方がぎこちなかったけれど、間違いなく雛竜は空中に浮かんでいる!
だが、そのままよちよち、ふよふよとピアディと雛竜がテーブルを降りてお外に遊びに行こうとしたところを、がしっとまとめて掴まれた。
誰の手に? 聖女様だ。
「お外で元気に遊ぶのは良いことです。でも! こんなに可愛い子が二人だけでお出かけしたら、どんな危険があることか!」
「うむ。お供を必ず一人は連れて行きなさい」
聖剣の聖者様も二人だけのお出かけは許してくれなかった。
「ぷぅ(でもお~おとうたんもねえやも、いそがしいのではないの?)」
「ピュイッ(ないのー?)」
「そうなんですよね……今はどうしても首都の地下ダンジョン整備のお仕事にかかりきりで」
本当なら聖女様だってピアディたちと一緒に海で遊びたかったのだ。だけどお仕事が忙しくてなかなか。
「仕方ない。お前たちが留守の間は、私が二匹まとめて預かろう」
「えっ、ジューア様がですか? ご迷惑ではありませんか?」
可愛い盛りとはいえ、遊びたい盛り、暴れたい盛りのウパルパと雛竜のお世話をお任せしても良いものだろうか?
(もふもふちゃんはともかく、ピアディちゃんはなかなかの悪戯好き。だ、大丈夫なのでしょうか?)
心配する皆に見送られて、魔王おばばに抱っこされてピアディと雛竜は去っていった。多分、お庭にあるおばばの工房に連れていかれたのだろう。
結局その後、おばばの修行が厳しくてピアディは何度も何度も逃げ出してしまう。
けれどそれなりに毎日楽しく過ごしては愉快な仲間たち、もとい保護者の皆を振り回すのだった。
※ドリンク用のココナッツってこういうの。
「まだ……まだ結婚などは早いと思うのですが、どう思いますかルシウスさん!?」
「そもそも違う種族で番えるのだろうか……?」
深刻そうに保護者たちが相談し合っているのをよそに、ピアディはもうすっかり元通りのご機嫌ウパルパだ。
「ぷぅ(うんめい、われ新たなぶきを探しにお出かけするのだ。冒険フェイズつーなのだ、ねくすとすてーじなのだ)」
「ピュイッ(いこう、いこう、ピアディ、ぼうけん!)」
スイカの果汁でべたべたになった顔を雛竜にぺろぺろと舐め取られながら、ピアディは決意した。
「ぷぅ!(最強ウパルパにわれはなる!)」
二足歩行できるようになった後ろ足ですくっと立ち、ぽんぽんの胸とお腹を勇ましく張った。半透明の身体をぷるぷるぽよんと震えさせて。
「ピャウー(ぼくもさいきょうドラゴンなるー)」
生まれたばかりの頃はピアディと同じぐらいの大きさだった雛竜も、毎日おいしい果物や草を食べ続けて、あっという間にピアディを上回る大きさまで育った。
お父さんのユキノ君みたいな大きなドラゴンになるまでは数年かかるが、ピアディを抱っこできるサイズに育つまでは半年もかからないそうだ。
真っ白な羽毛に覆われた背中の翼が動き出す。まだまだ柔らかすぎてなかなかお父さんのユキノ君のようには飛べなかった雛竜だったが……
ふよ、ふよ……
「ぷぅ!(うんめい、すごいのだ、とべたのだ!)」
「ピュフー!(これでピアディといっしょにおそといけるね!)」
まだちょっと飛び方がぎこちなかったけれど、間違いなく雛竜は空中に浮かんでいる!
だが、そのままよちよち、ふよふよとピアディと雛竜がテーブルを降りてお外に遊びに行こうとしたところを、がしっとまとめて掴まれた。
誰の手に? 聖女様だ。
「お外で元気に遊ぶのは良いことです。でも! こんなに可愛い子が二人だけでお出かけしたら、どんな危険があることか!」
「うむ。お供を必ず一人は連れて行きなさい」
聖剣の聖者様も二人だけのお出かけは許してくれなかった。
「ぷぅ(でもお~おとうたんもねえやも、いそがしいのではないの?)」
「ピュイッ(ないのー?)」
「そうなんですよね……今はどうしても首都の地下ダンジョン整備のお仕事にかかりきりで」
本当なら聖女様だってピアディたちと一緒に海で遊びたかったのだ。だけどお仕事が忙しくてなかなか。
「仕方ない。お前たちが留守の間は、私が二匹まとめて預かろう」
「えっ、ジューア様がですか? ご迷惑ではありませんか?」
可愛い盛りとはいえ、遊びたい盛り、暴れたい盛りのウパルパと雛竜のお世話をお任せしても良いものだろうか?
(もふもふちゃんはともかく、ピアディちゃんはなかなかの悪戯好き。だ、大丈夫なのでしょうか?)
心配する皆に見送られて、魔王おばばに抱っこされてピアディと雛竜は去っていった。多分、お庭にあるおばばの工房に連れていかれたのだろう。
結局その後、おばばの修行が厳しくてピアディは何度も何度も逃げ出してしまう。
けれどそれなりに毎日楽しく過ごしては愉快な仲間たち、もとい保護者の皆を振り回すのだった。
※ドリンク用のココナッツってこういうの。
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