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第二章 異世界ど田舎村を救え!
俺、異世界で川釣り
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「わああ……おしゃかなしゃん、まだかな、まだかな~♪」
もなか川の川原で、今日もうちの幼女がめんこい。
俺の失恋でヒビ割れ砕けかけた繊細なハートの荒廃を、妹として引き取った四歳のピナレラちゃんは無邪気さで癒してくれている。
キラキラ輝く柘榴色のお目々で焚き火の前にしゃがみ込み、串刺しの焼き魚を見つめている様子も。
樹々の隙間から漏れる陽の光が、ピナレラちゃんのキャラメル色のオカッパ髪を明るく金色に輝かせている様子も。
ああ尊い、異世界幼女尊い……
「あの。ユウキさん、顔がとても危ないです。今にもチョコレートが溶けて崩れ落ちそうな顔してます」
同じく弟として引き取ったユキりんことユキリーンが冷静に突っ込みをいれてきた。川べりで釣竿を握る俺の代わりに、先に釣り上げた川魚を焚き火で焼きながら。
この子は美少女顔だがれっきとした十四歳の男の子だ。柔らかなショコラブラウンの髪とアメジストの瞳の、麗しの美少年だっぺ。
最近ちょっとだけ懐いてきてくれた気がする。ほんとちょっとだけ。こうして川釣りにも付き合ってくれる程度には。
今日は朝からいつもより早起きして、倉庫からキャンプ用品と釣り具を引っ張り出してきた。
異世界のど田舎村に村ごと転移してきた、俺たちのもなか村。
俺は村長に就任したとはいっても、元々領主のブランチウッド男爵モーリスさんが屋敷を構えて安定した運営を行なっていた村だ。村民も数十名ほどで全員家族のようなもの。
村長の仕事より、まずは村に慣れてくれと言われて、もなか村、ど田舎村両方の見回りと農業の手伝い、空き家の管理を中心に行なっている。
今日はもなか村側を重点に見回り、その足で山中の、もなか川の渓流に釣りに来たのだ。
村ごと、田畑ごと、山ごと、川ごと丸ごと転移してきたため、川の中の魚を始めとした生き物もそのままだ。
さすがに水源はど田舎村のものに変わったが、今のところ川の生態系に変化は見られない。
俺、御米田ユウキ、二十八歳。
脱サラして東北の田舎に帰省して〝もなか村〟村役場のバイトになった……
と思ったら村ごと異世界転移して、現地のアケロニア王国、アルトレイ公領内の僻村〝ど田舎村〟の村長になりました。
村ごととはいえ、転移してきたのは俺、俺の父方の空ばあちゃん、親戚の村長と勉さんの四人だけだったんだが。
元々廃村待ったなしの限界集落だったもなか村は、住人水増し偽装をしてギリギリ存続していたと異世界転移後に露呈。
しかも、俺たち四人は元々こっちの異世界にルーツのある人間だったとも判明した。
驚いたことに全員、アケロニア王国の王族にゆかりがあった。
黒髪と黒目の組み合わせは、この世界だとアケロニア王族にしかない特徴なのだそうだ。別々にならいるが、国内ではほぼゼロだそうで。
なので領主の男爵は俺たち、特にまだ三十路手前で髪が真っ黒な俺を見て腰を抜かしかけたそうな。
ばあちゃんも目は黒い。もう八十過ぎだから髪は真っ白だ。村長と勉さんは白髪混じりだがやはり黒い髪が残っている。
空ばあちゃんは、この地を元々治めていたアルトレイ大公令嬢クーティア。紛れもない王家の血筋のお姫様だった。
ばあちゃんは子供の頃、うっかり迷い込んだダンジョンから次元の歪みを通じて戦争中の日本の東北もなか村に転移してしまったらしい。
そこで俺のじいちゃんと出会って保護され、年頃になって愛情が芽生え結婚し、親父と叔父さんの男子二人を儲けた。さらに孫の俺が生まれるに至る。
ちなみに一番好きなおにぎりは塩むすび。
村長、高橋清治はクーティア令嬢の教育係だった神官セージ。王家の遠縁でもある。
クーティア令嬢が行方不明になったと知り慌てて追いかけて、自分も日本に転移してしまった人だ。
転移したとき日本はもう戦争は終わっていて、クーティア令嬢より十以上年上だったはずの彼は、ばあちゃんより二十近く年下になっていたそうだ。異世界転移には時間の歪みもあるみたいだな……
もなか村は農村で食い物に困らなかったこともあり、戦争で後継ぎを失った家の養子になって、のちに村長になった。
好きなおにぎりは、梅干し入りおにぎりの出汁茶漬け。
目と足が悪く長年障害者年金と生活保護で暮らしていた藤田勉、通称勉さんはウェイザー公爵令息ベントリー。
勉さんはクーティア令嬢のアルトレイ大公家の騎士団長だったと聞いてべっくらこいた。
日本人の平均ぐらいの身長だし、長年目や足を悪くしていたこともあって痩せぎすの人だ。まさかそんな強者だったとは……
ど田舎村特産の薬草を使った中級ポーションで目と足はだいぶ治癒したようだ。それでも騎士団長の頃のように剣を振るうには足の踏ん張りがきかないと悔しそうに言っていた。
ベントリーの実家ウェイザー公爵家は過去に王女が降嫁した、王家の近い親戚だそうだ。長男じゃなかったからクーティア令嬢の父大公の元で、騎士団長と令嬢の護衛を兼ねていたらしい。
彼もまたそのクーティア令嬢がダンジョンに消えた後を追って日本へ転移してきた。ばあちゃん、村長よりさらにあとの時代だったようで、三人の中で一番年上だったはずの彼が今では一番年下だ。
もなか村の住人の家の養子になったのは村長と同じ。
なお、好きなおにぎりは唐揚げときんぴら入りのやつ。
もなか川の川原で、今日もうちの幼女がめんこい。
俺の失恋でヒビ割れ砕けかけた繊細なハートの荒廃を、妹として引き取った四歳のピナレラちゃんは無邪気さで癒してくれている。
キラキラ輝く柘榴色のお目々で焚き火の前にしゃがみ込み、串刺しの焼き魚を見つめている様子も。
樹々の隙間から漏れる陽の光が、ピナレラちゃんのキャラメル色のオカッパ髪を明るく金色に輝かせている様子も。
ああ尊い、異世界幼女尊い……
「あの。ユウキさん、顔がとても危ないです。今にもチョコレートが溶けて崩れ落ちそうな顔してます」
同じく弟として引き取ったユキりんことユキリーンが冷静に突っ込みをいれてきた。川べりで釣竿を握る俺の代わりに、先に釣り上げた川魚を焚き火で焼きながら。
この子は美少女顔だがれっきとした十四歳の男の子だ。柔らかなショコラブラウンの髪とアメジストの瞳の、麗しの美少年だっぺ。
最近ちょっとだけ懐いてきてくれた気がする。ほんとちょっとだけ。こうして川釣りにも付き合ってくれる程度には。
今日は朝からいつもより早起きして、倉庫からキャンプ用品と釣り具を引っ張り出してきた。
異世界のど田舎村に村ごと転移してきた、俺たちのもなか村。
俺は村長に就任したとはいっても、元々領主のブランチウッド男爵モーリスさんが屋敷を構えて安定した運営を行なっていた村だ。村民も数十名ほどで全員家族のようなもの。
村長の仕事より、まずは村に慣れてくれと言われて、もなか村、ど田舎村両方の見回りと農業の手伝い、空き家の管理を中心に行なっている。
今日はもなか村側を重点に見回り、その足で山中の、もなか川の渓流に釣りに来たのだ。
村ごと、田畑ごと、山ごと、川ごと丸ごと転移してきたため、川の中の魚を始めとした生き物もそのままだ。
さすがに水源はど田舎村のものに変わったが、今のところ川の生態系に変化は見られない。
俺、御米田ユウキ、二十八歳。
脱サラして東北の田舎に帰省して〝もなか村〟村役場のバイトになった……
と思ったら村ごと異世界転移して、現地のアケロニア王国、アルトレイ公領内の僻村〝ど田舎村〟の村長になりました。
村ごととはいえ、転移してきたのは俺、俺の父方の空ばあちゃん、親戚の村長と勉さんの四人だけだったんだが。
元々廃村待ったなしの限界集落だったもなか村は、住人水増し偽装をしてギリギリ存続していたと異世界転移後に露呈。
しかも、俺たち四人は元々こっちの異世界にルーツのある人間だったとも判明した。
驚いたことに全員、アケロニア王国の王族にゆかりがあった。
黒髪と黒目の組み合わせは、この世界だとアケロニア王族にしかない特徴なのだそうだ。別々にならいるが、国内ではほぼゼロだそうで。
なので領主の男爵は俺たち、特にまだ三十路手前で髪が真っ黒な俺を見て腰を抜かしかけたそうな。
ばあちゃんも目は黒い。もう八十過ぎだから髪は真っ白だ。村長と勉さんは白髪混じりだがやはり黒い髪が残っている。
空ばあちゃんは、この地を元々治めていたアルトレイ大公令嬢クーティア。紛れもない王家の血筋のお姫様だった。
ばあちゃんは子供の頃、うっかり迷い込んだダンジョンから次元の歪みを通じて戦争中の日本の東北もなか村に転移してしまったらしい。
そこで俺のじいちゃんと出会って保護され、年頃になって愛情が芽生え結婚し、親父と叔父さんの男子二人を儲けた。さらに孫の俺が生まれるに至る。
ちなみに一番好きなおにぎりは塩むすび。
村長、高橋清治はクーティア令嬢の教育係だった神官セージ。王家の遠縁でもある。
クーティア令嬢が行方不明になったと知り慌てて追いかけて、自分も日本に転移してしまった人だ。
転移したとき日本はもう戦争は終わっていて、クーティア令嬢より十以上年上だったはずの彼は、ばあちゃんより二十近く年下になっていたそうだ。異世界転移には時間の歪みもあるみたいだな……
もなか村は農村で食い物に困らなかったこともあり、戦争で後継ぎを失った家の養子になって、のちに村長になった。
好きなおにぎりは、梅干し入りおにぎりの出汁茶漬け。
目と足が悪く長年障害者年金と生活保護で暮らしていた藤田勉、通称勉さんはウェイザー公爵令息ベントリー。
勉さんはクーティア令嬢のアルトレイ大公家の騎士団長だったと聞いてべっくらこいた。
日本人の平均ぐらいの身長だし、長年目や足を悪くしていたこともあって痩せぎすの人だ。まさかそんな強者だったとは……
ど田舎村特産の薬草を使った中級ポーションで目と足はだいぶ治癒したようだ。それでも騎士団長の頃のように剣を振るうには足の踏ん張りがきかないと悔しそうに言っていた。
ベントリーの実家ウェイザー公爵家は過去に王女が降嫁した、王家の近い親戚だそうだ。長男じゃなかったからクーティア令嬢の父大公の元で、騎士団長と令嬢の護衛を兼ねていたらしい。
彼もまたそのクーティア令嬢がダンジョンに消えた後を追って日本へ転移してきた。ばあちゃん、村長よりさらにあとの時代だったようで、三人の中で一番年上だったはずの彼が今では一番年下だ。
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