異世界転移!?~俺だけかと思ったら廃村寸前の俺の田舎の村ごとだったやつ

真義あさひ

文字の大きさ
108 / 216
第二章 異世界ど田舎村を救え!

その頃、日本では~side元カノ、ネット掲示板への書き込み ※プチざまぁ回

しおりを挟む
 結局、霊能者の叔母の力でもどうにもならず私は週末を無駄に過ごして東京に戻ってきた。

「ユウキ君、ネット掲示板に書き込みしてるっていうけど……どうしたらいいのかしら」

 ネット掲示板など見たことも使ったこともなかったので、探し方がわからない。

 カフェスペースでの休憩中、スマホを見ながら溜め息をついていると。

「あれ、野口先輩じゃないスか。どうしたんです、浮かない顔して。美人が台無しですよ?」

 ユウキ君が面倒を見ていた後輩の鈴木君が声をかけてきた。
 私はこの余計な口を聞く後輩君が好きではない。会えば毎回イラッとさせることを言ってくるからだ。
 だけどできるだけ態度には出さないよう努力していた。

「あのね。ユウキ君が大変なことになってるって、帰省して叔母に週刊誌を見せられて私、初めて知って……」
「え!? 今さらですよ、情報遅すぎません!?」

 ちょっと失礼に感じるほど驚かれた。

「……もう別れた人のことだったから。それに私、テレビあまり見ないし、週刊誌も買ったことなかったもの」

 俗なものはあまり好きじゃない。

「まあ別れた相手なんてかんで捨てたティッシュみたいなもんスもんね。わざわざ拾い直すとか気持ち悪いスもんね」
「………………」

 私はユウキ君と再構築したかったからイラッときたけど、笑顔を保って逆に鈴木君に聞いてみることにした。

「週刊誌に書かれてたネット掲示板って、あれどうやって見たらいいかわかる?」
「野口先輩、そういうの見ない人でしたか?」
「ええ。話だけは聞いたことあるのだけど」

 すると鈴木君はその場でネット掲示板の見方や使い方を簡単に教えてくれた。
 閲覧用のアプリをダウンロードして『村ごと異世界転移したけど質問ある?』スレを登録するところまでやってもらえた。

「ほら、このイッチと名乗ってるのが御米田先輩です」
「ここに書き込んだら、ユウキ君と会話できるの?」
「野口先輩だって言わないほうがいいですね。匿名掲示板で身バレすると厄介ですから」



 それから数日、私はユウキ君が立てたネット掲示板のスレッドを追い続けた。
 ユウキ君の書き込みは名前欄に『1』とあるから追いやすい。他の人たちは彼をイッチと呼んでいる。

 汚い言葉の書き込みが多くてげんなりしたけど、イッチユウキ君の書き込みは私と付き合ってたときの彼の文章とほとんど同じで和んだわ。
 彼、簡潔に書いてるように見せて理屈っぽい性格が出るようで、ちょっと回りくどい書き方するのよね。

 スマホを持って社内のカフェスペースに行くと、また例の鈴木君に会った。
 あちらも私を見つけて、相変わらずの何を考えてるかわからない顔で寄ってくる。

「どうです、野口先輩。掲示板の見方に慣れましたか?」
「ええ。ようやく最新のスレッドにたどり着いたところ」
「今のところ毎週新しい板立ってますからね。イッチ先輩を追うのも大変でしょ。先輩、何か書き込みしてみたらどうですか?」
「えっ。で、でも」
「大丈夫ですって。だってユウキ先輩のこと気になってるんでしょ? 捨てた元カレだけどやっぱ惜しくなりません?」
「……そうね」

 悔しいけど鈴木君の言う通りだ。
 私は見た目が良いし、男の人からモテるタイプだ。今も社内外からアプローチを受けていて悩んでいるところ。
 ……でもユウキ君や八十神先輩ほどのクラスとなると、なかなかいないのよね……
 この間なんて一緒に銀座を歩いていて、私を車道側で歩かせて平気な顔してる男がいてビックリしたわ。ユウキ君はもちろん八十神先輩だって、さりげなく私を車道から遠ざけてくれてたのに。

 それからコーヒーを飲む間、そのままカフェスペースで鈴木君の監督のもとネット掲示板に書き込みをいくつか行ってみた。
 ちょっと嫌だったけど鈴木君とスマホのメッセージアプリのフレンドにもなった。今後も書き込みの仕方や内容のアドバイスをしてくれるようだ。

 まず一番初めに私が書き込んだのはこんな内容だった。

『週刊誌には元カノさんと別れたのが退職の理由と書かれてましたが、復縁する気はないのでしょうか?』

 返信は翌日の夜に付いた。
 名前欄には『1』。間違いなくイッチユウキ君だ。

『元カノ? いやあ~異世界に来てショックなこと立て続けに経験して、顔も声も記憶から吹っ飛んじゃったんですよね!』

『もうスマホの連絡先もブロックしちまいましたし。復縁とかちょっと考えられないですね……』

 何気なさを装って私はまたネット掲示板に書き込んだ。
 彼女に未練はないのか、本当にやり直したい気持ちはないのかなど。

 けれどイッチユウキ君の回答はいつも同じだった。

『今、俺には養わなきゃいけない子たちがいるんで』

「ユウキ君。どうして……」



 その後、私は何人か新しい男性とお付き合いしたのだけど、やっぱりユウキ君以上の人は一人もいなかった。
 もう認めないわけにはいかなかった。
 ――私は最高の男を捨ててしまったのだ。

「惜しいことをしたわ。本当にもう復縁は無理なのかしら。異世界から戻ってきたりはしない……?」

 毎日、ネット掲示板を覗くのが習慣になってしまった。
 イッチユウキ君は数日から一週間に一度ほどの頻度で書き込みしている。

『異世界最高です。このままこっちに骨を埋めることになっても本望!』

 嫌よイヤ、帰ってきてユウキ君……!





NEXT→御米田たちは勉ともなか山に登った……

※そういえば八十神は今ごろ何やってるんでしょうね……
しおりを挟む
感想 271

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~

うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」  これしかないと思った!   自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。  奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。  得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。  直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。  このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。  そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。  アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。  助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

異世界召喚されたけどスキルが地味だったので、現代知識とアイテムボックスで絶品料理を作ったら大商会になっちゃいました

黒崎隼人
ファンタジー
手違いで剣も魔法もない異世界に召喚された、しがない日本のサラリーマン、湊カイリ。 彼に与えられたのは、無限に物が入る【アイテムボックス】と、物の名前が分かる【鑑定】という、あまりにも地味な二つのスキルだけだった。 戦闘能力は皆無。途方に暮れるカイリだったが、異世界の食事が絶望的に不味いことを知り、大きなチャンスに気づく。 現代日本の「当たり前」の知識は、この世界ではとんでもない「宝」なのだと! 「醤油?味噌?そんなものがあれば、この世界の食文化はひっくり返るぞ!」 ひょんなことから出会った没落貴族の美少女・リリアナと共に、カイリは現代知識と地味スキルを駆使して屋台から商売をスタート。 絶品料理で人々の胃袋を掴み、さらには便利な生活用品を次々と発明していく。 伝説の神獣の幼体「フェン」やドワーフの鍛冶師など、頼れる仲間たちも加わり、彼らが立ち上げた「サンライズ商会」は瞬く間に大躍進! 迫り来る悪徳商会や腐敗した貴族の妨害も、現代のマーケティング術と知恵で痛快に打ち破る! これは、平凡なサラリーマンが異世界の常識を覆し、食と生活に革命を起こして一代で大商会を築き上げる、痛快成り上がりファンタジー! 美味しい料理と、もふもふな相棒、そして仲間との絆。 人生、逆転できないことなんて何もない!

レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。 おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。 ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。 落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。 機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。 覚悟を決めてボスに挑む無二。 通販能力でからくも勝利する。 そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。 アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。 霧のモンスターには掃除機が大活躍。 異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。 カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。

五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~

よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】 多くの応援、本当にありがとうございます! 職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。 持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。 偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。 「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。 草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。 頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男―― 年齢なんて関係ない。 五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

処理中です...