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第三章 異世界転移の謎を解け!
俺、鮭は秋の味覚です
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夏にカズアキが御米田家に合流して以降、俺の夢の内容が変化してきている。
毎日寝る前に王様とウパルパ様に日々の感謝と良縁祈願をしていたが、効果が薄い。
それに以前のように直接会って意思の疎通がしにくくなってきた。
たまに見えたかと思ったら、王様が勇者君を抱いて泣いてる悲しい光景だったりする。
あるいは、全然違う人たちの夢だ。
そこはいつも夕方の陽が落ちる寸前の海辺だった。
砂浜にミルクティ色をした癖毛の男が座り込み、声をあげて泣いていた。
確かこの童顔の青年は異世界転移したとき、次元の狭間でお茶してた三人組の一人だ。宇宙人……かと思っていたが異世界の神人様だったか。
後から知ったが医聖という聖者で、名前は確か……アヴァロニス。王様から貰ったチート大剣に祝福を込めた聖者の一人として名前が刻まれていた人物だ。
彼は次元の狭間で俺にこんな預言をくれていた……
『君はこの世界で大切な人を救わねばならない。その使命を果たしたとき、元の世界に戻るか、この世界に残るか。選択の機会が与えられるだろう』
今ならこの預言がカズアキを指したものだとわかる。
「大丈夫ですか。えっと……」
「救えなかった」
「え?」
男は俺を見ることもせず、虚ろな眼差しで下を向いている。
「助けられなかった。もうこの世界は終わりだ」
「え? ……えっ!?」
男の目の前の砂浜には白骨化した遺体があった。
薄汚れた、元は純白だったろうワンピースをまとっている。青銀の長い髪が遺体の頭皮から伸びて砂の上に広がっていた。
ち、ちょっと待て、そのワンピースや髪色には見覚えあるぞ!?
男は泣き続ける。
なす術もなく男の傍らに立ち続けた俺は、完全に陽が落ちた後の海が、男に近い砂浜側からどす黒く染まっていくのをただ見てるしかなかった……
☆ ☆ ☆
「……縁起の悪そうな夢だったな」
起きてみれば外はまだ薄暗かったが、いつもの小鳥たちの合唱が始まりつつある。平和など田舎村の御米田家の自室だった。
だが俺のパジャマは首周りがじっとり冷たく嫌な汗で湿っていた。夢見が悪い。
とりあえず日課の健康体操だ。夢で王様から教わったこの体操、心身を整えるにはもってこいだ。簡単なのにやるとスッキリするし。
家の中を探るとまだ誰も起きた気配がない。
子供たちやばあちゃんを起こして、一緒に身体を動かすとしよう。
稲刈りにひと段落つくのと前後して、ど田舎村の川では鮭漁が解禁された。
あっちの川も海と繋がってて、夏の終わりから秋にかけて鮭が遡上してくるのだ。
そういえば前に気の早い時知らずをお裾分けで美味しくいただいたっけ。
「鮭。鮭が、この村でも……!」
で。故郷では鮭がソウルフードだったというユキりんのテンションが上げ上げになった。
普段はちょっとクールな男を気取ってるユキりんが、食い物ではしゃいでいるのはとても可愛い。中二の年だもんな。お年頃だがまたまだ子供だべ。
カズアキが合流してからというもの、奴隷商に捕まってたとき逃げる手助けをしてもらったそうでユキりんが懐いていた。
同い年なんだが最初のうちは『魔術師様』と呼んで敬語を使ってたぐらいだ。
俺と違って異世界転移チートを持っていたカズアキは、次元の狭間にいた宇宙人……じゃなくて神人三人組の一人、美少女魔王のお姉様にペンライトを武器のセイバーに加工してもらっていた。
しかも勇者しか持たない黄金の魔力にまで覚醒していた。ずるい。まあさすが勇者君の前世というか。
ユキりんは元々魔法剣士の家系の子で、本人も魔力で編んだ魔法槍の使い手だ。
そんな二人が再会したもんだから、力を持て余して村の自警団に協力するだけでなく、ダンジョンのある隣町まで出掛けては冒険者活動するまでになった。
ばあちゃんは危ないからやめてけれって頼んでたけど、冒険者は手っ取り早く即金性があるしなあ。
俺も夢の王様から貰った大剣があったし、ど田舎村で元騎士団長だったという勉さんや現役騎士でもある男爵のモーリスさんから戦い方を習っていた。
もう少し練度が上がったら、二人と一緒にダンジョンに潜ってみたいもんだ。
話を戻そう。――鮭だ。
秋の鮭漁の話を聞いてからソワソワしてたユキりんは、隣町の冒険者ギルドで『鮭漁の手伝い』依頼を見つけて飛び上がるほど喜んだとカズアキが言っていた。
報酬は鮭漁に関わった時間給プラス獲れた鮭の加工品のお土産付き。切り身とか食べやすく切ってもらったやつだな。
最初はスーパーで買えるワンパック程度の量だったんだが……
これを全部、現物支給にしてもらって、依頼が終わるまでひたすら鮭漁だけに集中していた。
で、今に至る。
ただいま、御米田家には一尾丸ごとの鮭が三十本以上ある……!
「ふあああ……しゃけしゃんがいっぱい!」
「あれまあ」
「こりゃ、やりすぎだろ。ユキりん」
荷車に木箱を載せて、中に氷と鮭がみっちり詰まっている。
木箱は中身ごと透明な樹脂に封入されていた。ユキりんの実家、リースト一族のお家芸魔法だ。そのまんま〝魔法樹脂〟という。
封入された物品は時間が停止する。食品は劣化せず新鮮なまま保持できるお役立ち魔法だ。いいなあ俺も魔法使いたい。
「魔法樹脂が使えると申告したら、報酬が倍に上乗せになったんです」
「上乗せ分も現物支給で貰ってきたのかあ」
どんだけ鮭好きなんだよっていう。
「どうするんだ、こんなに」
「まずはサーモンステーキですね。新鮮なのをぶ厚く切って、クウさんに焼いてもらいましょう」
「残りは?」
「塩焼き。醤油で前に鶏肉を食べた照り焼きと同じ味付けも多分合います。すごく合います。マリネにしてサラダも良いです。チーズと合わせてグラタンなどはどうでしょうか? パスタもお勧めです。クリームはもちろんトマトソースも……。紙で野菜と一緒に包み焼きもね。前に食べさせてもらったオニギリやカレーもいいかも!」
「わかった、わがった! とりあえず鮭料理だな!」
「アッ、それと!」
まだまだメニューを挙げたがったユキりんが、ばあちゃんを見た。
「んだ、わがってますよ、ユキリーンちゃん」
「……はい!」
ビシッとノリ良く親指を立てたばあちゃんと、喜色満面のユキりん。え、何がどうわかったの……?
→ユキリーンの実家には美味しい鮭料理があるらしい……
毎日寝る前に王様とウパルパ様に日々の感謝と良縁祈願をしていたが、効果が薄い。
それに以前のように直接会って意思の疎通がしにくくなってきた。
たまに見えたかと思ったら、王様が勇者君を抱いて泣いてる悲しい光景だったりする。
あるいは、全然違う人たちの夢だ。
そこはいつも夕方の陽が落ちる寸前の海辺だった。
砂浜にミルクティ色をした癖毛の男が座り込み、声をあげて泣いていた。
確かこの童顔の青年は異世界転移したとき、次元の狭間でお茶してた三人組の一人だ。宇宙人……かと思っていたが異世界の神人様だったか。
後から知ったが医聖という聖者で、名前は確か……アヴァロニス。王様から貰ったチート大剣に祝福を込めた聖者の一人として名前が刻まれていた人物だ。
彼は次元の狭間で俺にこんな預言をくれていた……
『君はこの世界で大切な人を救わねばならない。その使命を果たしたとき、元の世界に戻るか、この世界に残るか。選択の機会が与えられるだろう』
今ならこの預言がカズアキを指したものだとわかる。
「大丈夫ですか。えっと……」
「救えなかった」
「え?」
男は俺を見ることもせず、虚ろな眼差しで下を向いている。
「助けられなかった。もうこの世界は終わりだ」
「え? ……えっ!?」
男の目の前の砂浜には白骨化した遺体があった。
薄汚れた、元は純白だったろうワンピースをまとっている。青銀の長い髪が遺体の頭皮から伸びて砂の上に広がっていた。
ち、ちょっと待て、そのワンピースや髪色には見覚えあるぞ!?
男は泣き続ける。
なす術もなく男の傍らに立ち続けた俺は、完全に陽が落ちた後の海が、男に近い砂浜側からどす黒く染まっていくのをただ見てるしかなかった……
☆ ☆ ☆
「……縁起の悪そうな夢だったな」
起きてみれば外はまだ薄暗かったが、いつもの小鳥たちの合唱が始まりつつある。平和など田舎村の御米田家の自室だった。
だが俺のパジャマは首周りがじっとり冷たく嫌な汗で湿っていた。夢見が悪い。
とりあえず日課の健康体操だ。夢で王様から教わったこの体操、心身を整えるにはもってこいだ。簡単なのにやるとスッキリするし。
家の中を探るとまだ誰も起きた気配がない。
子供たちやばあちゃんを起こして、一緒に身体を動かすとしよう。
稲刈りにひと段落つくのと前後して、ど田舎村の川では鮭漁が解禁された。
あっちの川も海と繋がってて、夏の終わりから秋にかけて鮭が遡上してくるのだ。
そういえば前に気の早い時知らずをお裾分けで美味しくいただいたっけ。
「鮭。鮭が、この村でも……!」
で。故郷では鮭がソウルフードだったというユキりんのテンションが上げ上げになった。
普段はちょっとクールな男を気取ってるユキりんが、食い物ではしゃいでいるのはとても可愛い。中二の年だもんな。お年頃だがまたまだ子供だべ。
カズアキが合流してからというもの、奴隷商に捕まってたとき逃げる手助けをしてもらったそうでユキりんが懐いていた。
同い年なんだが最初のうちは『魔術師様』と呼んで敬語を使ってたぐらいだ。
俺と違って異世界転移チートを持っていたカズアキは、次元の狭間にいた宇宙人……じゃなくて神人三人組の一人、美少女魔王のお姉様にペンライトを武器のセイバーに加工してもらっていた。
しかも勇者しか持たない黄金の魔力にまで覚醒していた。ずるい。まあさすが勇者君の前世というか。
ユキりんは元々魔法剣士の家系の子で、本人も魔力で編んだ魔法槍の使い手だ。
そんな二人が再会したもんだから、力を持て余して村の自警団に協力するだけでなく、ダンジョンのある隣町まで出掛けては冒険者活動するまでになった。
ばあちゃんは危ないからやめてけれって頼んでたけど、冒険者は手っ取り早く即金性があるしなあ。
俺も夢の王様から貰った大剣があったし、ど田舎村で元騎士団長だったという勉さんや現役騎士でもある男爵のモーリスさんから戦い方を習っていた。
もう少し練度が上がったら、二人と一緒にダンジョンに潜ってみたいもんだ。
話を戻そう。――鮭だ。
秋の鮭漁の話を聞いてからソワソワしてたユキりんは、隣町の冒険者ギルドで『鮭漁の手伝い』依頼を見つけて飛び上がるほど喜んだとカズアキが言っていた。
報酬は鮭漁に関わった時間給プラス獲れた鮭の加工品のお土産付き。切り身とか食べやすく切ってもらったやつだな。
最初はスーパーで買えるワンパック程度の量だったんだが……
これを全部、現物支給にしてもらって、依頼が終わるまでひたすら鮭漁だけに集中していた。
で、今に至る。
ただいま、御米田家には一尾丸ごとの鮭が三十本以上ある……!
「ふあああ……しゃけしゃんがいっぱい!」
「あれまあ」
「こりゃ、やりすぎだろ。ユキりん」
荷車に木箱を載せて、中に氷と鮭がみっちり詰まっている。
木箱は中身ごと透明な樹脂に封入されていた。ユキりんの実家、リースト一族のお家芸魔法だ。そのまんま〝魔法樹脂〟という。
封入された物品は時間が停止する。食品は劣化せず新鮮なまま保持できるお役立ち魔法だ。いいなあ俺も魔法使いたい。
「魔法樹脂が使えると申告したら、報酬が倍に上乗せになったんです」
「上乗せ分も現物支給で貰ってきたのかあ」
どんだけ鮭好きなんだよっていう。
「どうするんだ、こんなに」
「まずはサーモンステーキですね。新鮮なのをぶ厚く切って、クウさんに焼いてもらいましょう」
「残りは?」
「塩焼き。醤油で前に鶏肉を食べた照り焼きと同じ味付けも多分合います。すごく合います。マリネにしてサラダも良いです。チーズと合わせてグラタンなどはどうでしょうか? パスタもお勧めです。クリームはもちろんトマトソースも……。紙で野菜と一緒に包み焼きもね。前に食べさせてもらったオニギリやカレーもいいかも!」
「わかった、わがった! とりあえず鮭料理だな!」
「アッ、それと!」
まだまだメニューを挙げたがったユキりんが、ばあちゃんを見た。
「んだ、わがってますよ、ユキリーンちゃん」
「……はい!」
ビシッとノリ良く親指を立てたばあちゃんと、喜色満面のユキりん。え、何がどうわかったの……?
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