異世界転移!?~俺だけかと思ったら廃村寸前の俺の田舎の村ごとだったやつ

真義あさひ

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第三章 異世界転移の謎を解け!

その頃、日本では~side 鈴木2

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「鈴木君が御米田カズアキ君の弟……だったのか……」

 みどり社長行きつけの鮨屋でオレは渋々、改めて事情を話した。
 さすがの八十神も呆然としてますわ。
 お社長もこの話は初めて聞いたようで、いつもうるさいおばちゃんが静かで落ち着かねッス。

「オサム君は、カズアキの父親違いの弟でな。まあ、その……母親が浮気して」
「なるほど……」

 その辺は伯父さんも言いにくそうだ。別に気にしねえのにな。今さらだよ。

「鈴木ってことは、母方の?」
「いいえぇ。両親が離婚後、母方に引き取られたけどその後母親が再婚したんスよ。その相手の苗字っス」
「そうだったのか。このこと、御米田は?」
「知りません。ゲンキ伯父さんにも言わないよう頼んでます」

 言えるわけねえわ。今でこそあんな図太いユウキ先輩も、カズアキお兄ちゃんが亡くなったときはトラウマものの衝撃を受けたと聞いている。
 毎年田舎で会ってたのに従兄弟の異変に気づけなかったと、葬式からしばらく夜うなされてたと伯父さんが言っていた。
 ……大半はあの母親ババアのせいだよな。叔母が毒親だったなんて普通思わねえもんな。

 多分、教えてもユウキ先輩の態度が変わることはなかったと思う。
 けどオレを見るたび、お兄ちゃんはともかく、クソババアまで思い出させたくなかったんだよ!

「そうか、鈴木君の性格は複雑な家庭環境のせいか……」
「余計なお世話ッス」

 せっかくの江戸前鮨が不味くなるでしょ。
 明日も仕事のオレ以外は皆ビールと一緒に摘まんでいる。
 ……お、穴子美味い。

「オサムはユキちゃんにゾッコンだもんね」
「そりゃもう大好きな先輩なんで。……両親が離婚する前は会ったことなかったですけどね。お兄ちゃんから〝従兄弟のユウ君〟の話はよく聞いてたんですよ」

 まあ、『同い年なのに兄貴風吹かせてくる』と愚痴もありましたがね。
 頭もいいし運動も得意で、すごい田舎に住んでるのに友達も多い。そのわりに、変なとこ抜けてて見てて楽しいとよく言ってたっけ。

 嘘みたいな偶然で同じ会社に入って縁ができて、本当にその通りの兄貴肌で面白かったんですよ。



 夜の九時過ぎの鮨屋は客もまばらだ。

「八十神先輩。さっきの話。異世界の王様がユウキ先輩ってどういうこと?」
「……向こうの世界には〝夢見の術〟という魔法があってね……。夢を通じて過去未来、様々な可能性の世界に飛べる魔法で」

 本人も説明しにくそうだった。
 けど突っ込みながら聞き出してみると。

 異世界アケロニア王国の王様と部下が、夢の世界を通じて、ユウキ先輩と八十神として日本に来ていた。
 そのとき夢が変換機能を発揮して、王様も部下も御米田ユウキ、八十神アキラそれぞれ日本人として生きてる設定の肉付けを行ったと。

「何だよそれ。じゃあオレたちはよくわかんない夢の中の住人だってことかよ」
「いいや。僕や御米田は別の世界から来ているが、ここはここで一つの確立された世界だ。パラレルワールドとでも言おうか」

 ユウキ先輩や八十神は、異世界とこの世界の両方に自分がいるんだそうだ。どういうことよ。

「もしかしたら、君も違う世界にもう一人いるかもしれないよ」
「……それもいいですけど。異世界人だっていうなら何か証拠見せてくださいよ。話だけじゃどう信じたらいいかわかんねっス」
「なるほど。では、わかりやすいのを一つ」

 言って八十神はテーブルの上、全員の食べかけの鮨の上から軽く右回りに手を翳した。
 八十神の手が光ってる。何かの手品か……とオレたちが見てる前で、鮨やビール、水まで光りだした。
 かなり明るい。内側に電球が入って物そのものを発光させてるような明るさだ。手品を仕込める隙はなかった。間違いない。

「これで異世界人の魔法の証明になるかと」

 光はすぐに収まったがまだ薄ぼんやりと光ったままだ。

「お。味が変わったな」
「ネタもシャリも濃厚になっどる。すごかっぺ」

 オレも、光ったまんまの飾り切りの入った赤貝の鮨を食った。
 うお、煮切った醤油タレや赤酢のシャリの旨みがドカンと来る。赤貝もここまで濃厚な味のネタじゃないのに。すげえ。

「鉄火巻きなら四つあるから味の比較ができますね。一番右の味を更に変えてみます」

 今度は人差し指で各人の鉄火巻きのうち、一つだけ指先で左回りの円を上から描いた。
 見る見るうちに鮨から光が抜けて、元度通りになった。
 どうぞと言われて、オレたちは鉄火巻きにお醤油ちょんと付けて食った、が……

「味が抜けとるね。山葵も無ぐなっだわ」
「不毛な味になったね……」
「………………」

 具の赤マグロも、山葵も、酢飯も気が抜けちまってる。これじゃその辺のスーパーの鮨以下だ。

 ビールや水で口直しした後、今度はまだ光ったままの残りの鉄火巻きを食った。
 ……うわ。豊洲とか市場直送で食う高級マグロの味がする……!

 オレたちは面白くなって、他の鮨も食べ比べてみた。
 鮨どころかガリや醤油までグレードアップしてやがる。
 お社長やゲンキ伯父さんが追加で頼んだ刺身や日本酒も、八十神が何もしないものと、光らせたものは明らかに味が違っていた。

「これは何の魔法なんです?」
「単に魔力を入れたり、抜いたりしただけ。ここは魔法のない世界だけど、このくらいの魔力なら使えるみたいだ」

 そう言って八十神はお社長のグラスにビールを注いだ後、料理の上でパッと瓶から手を離した。
 落ちる、と誰もがギクっとした目の前で、落下したビール瓶は止まった。空中で。

「ゲンキさん、ビール如何ですか?」
「あ、ああ……いただこう」

 誰も持ってないビール瓶がふよふよと鮨や料理の上を飛んで、ゲンキ伯父さんのグラスにビールを注ぎ、またふよふよと飛んで八十神の手に戻った。

「異世界人……本物かよ」

 魔力とやらを使ってる間、八十神の髪が金色に、目が青く変わっていた。
 ビール瓶をテーブルに置いた今はまた元の茶色の髪と目に戻っている。

 そんなの見せられたら、さすがのオレも疑い続けるのは難しっスわ……




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