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第三章 異世界転移の謎を解け!
俺、痛恨のミス!
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年が明けた。村ごと異世界転移してきて初めて迎える年明けだった。
昨年倒れたばあちゃんは最近ではほとんど眠ったまんまで、俺たちは覚悟しておくよう薬師のおじさんに言われていた。
引き続き男爵の屋敷で治療してもらってるし、俺が作った日本酒ポーション異界最中も飲ませてはいたが……劇的な効果はなかった。
今日も酒造りの後、ばあちゃんの見舞いに来た俺は、寝ているばあちゃんの顔だけ見て帰ることにした。
「ユキちゃん、ちょうどよがっだあ」
「おいユウキ、話あっがらこっち来い」
屋敷の廊下で村長と勉さんに呼び止められた。
「おめえも大変だっだがら、後回しにしでだけんど」
勉さんから書類の入ったケースを渡された。ずっしり重いし、中身が分厚い。
「ほれ、もなか村の龍脈問題。グレイシア王女に確認しで、ど田舎村のダンジョンとどう繋がっでだのがまとめでおいだ!」
「あ」
そういえばそんな話もあったっけ。
「何で俺たちが日本に転移しだのか。全部繋がっとっだみたいよ、ユキちゃん」
詳しいことは中の書類にまとめたと言われて、そのまま持ち帰って読み込むことになった。
今後は異世界転移の問題についても、考えなきゃいけないのかもな。
御米田家に帰ってきた。今日はまだ昼前だ。
「っと、仏壇に線香あげてくるか」
ばあちゃんが男爵の屋敷に移されてから、仏壇の管理は俺の役目だ。
墓ごと転移してきたから、故人を偲びたければそっちにお参りすればいいんだが、位牌のある仏壇に線香やお供えは欠かせない。
ばあちゃんは毎日朝一でやってたが、俺は酒造りで朝早いこともあって、時間は変則的になってしまっている。
「……アキ君がいないときじゃないと、できないしな」
仏壇にはカズアキの戒名入りの位牌と写真、それに――本人の名前が書かれた遺骨の箱がある。
いくら何でもこいつをカズアキに見せるわけにはいかなかった。
今日のカズアキは、いつものようにユキりんと一緒に朝から隣町の冒険者ギルドに出かけている。
帰ってくるのは早くても夕方頃だ。
――だから俺は油断してしまった。
いや、間が悪かった。
仏壇のある部屋の鍵を開けたところで、玄関から村人に呼ばれた。
線香に火をつける前でよかった。玄関に向かうとご近所の村人が慌てた様子。
「はい、どうしました?」
「あっ、ユウキさん! ちょっと助けてくれませんか、畑の柵に野獣が突っ込んで壊れたところがあって!」
「! そりゃ大変だ、すぐ行きましょう!」
ど田舎村側にも、もなか村側にも山があるから、野獣はどうしても出る。
柵が壊れたならそこから侵入してきて、村人や家が被害を受ける。早急に対策が必要だ。
現場に向かうと、しっかり組んであったはずの木の柵が数箇所に渡って崩されていた。
獣避けの罠もいくつか壊れている。
俺は手分けしてご近所さんたちに注意を呼びかけて回り、野獣に警戒しつつ柵や罠を修理して回った。
雪があるから、マウンテンバイクでも走れない場所が多かった。
真冬なのに汗だくになって村中を走り回り、家に戻ってきた頃には日が暮れる寸前だった。
「おにいちゃ! おかえりなしゃい!」
庭にいたピナレラちゃんが駆け寄ってきた。
「え、ピナレラちゃん、どうした?」
「久し振りにうちに帰りたいって言い出して。今日はこっちにお泊まりです」
庭でユキりんが、帰り道で狩ってきたと思しき鳥を処理していた。今夜は焼き鳥かソテーだな。
「アキ君は?」
「アキちゃ、しゃきにおうちにはいったよ!」
「そっかそっか。……っとヤベ、ご飯だけでも炊く準備しないと」
炊飯器なら時短で三十分で炊けるが、ふっくら美味いご飯のためには浸水込みで一時間は必要なのだ。
呑気に飯のことを考えながら、俺は家の中に入り、――自分が痛恨のミスを犯していたことに気づいた。
☆ ☆ ☆
「ユウ君? いないの?」
玄関の鍵が開いてるのにユウ君がいない。
今日はユキリーンが野鳥を仕留めてくれたから、夕飯は鳥だ。
僕も手伝うから照り焼きがいいな……と思いながら、従兄弟を探して家の中を見て回った。
家の中は暗い。どこにも電気をつけた部屋がなかった。
不用心だなあと思いながら台所に向かう途中、明かりの漏れている部屋があった。
「あれ? こんなところに部屋があったんだ」
ここは確か、普段は閉まってるはずの〝物置〟だ。そこのドアが開いてるのを見つけた。
「ユウ君?」
そーっと中を覗くが、従兄弟はいなかった。
代わりにあったのは。
「え。これ仏壇とおじいちゃんの位牌……? え、僕の写真がなんで……」
それにこの、白い箱は……
昨年倒れたばあちゃんは最近ではほとんど眠ったまんまで、俺たちは覚悟しておくよう薬師のおじさんに言われていた。
引き続き男爵の屋敷で治療してもらってるし、俺が作った日本酒ポーション異界最中も飲ませてはいたが……劇的な効果はなかった。
今日も酒造りの後、ばあちゃんの見舞いに来た俺は、寝ているばあちゃんの顔だけ見て帰ることにした。
「ユキちゃん、ちょうどよがっだあ」
「おいユウキ、話あっがらこっち来い」
屋敷の廊下で村長と勉さんに呼び止められた。
「おめえも大変だっだがら、後回しにしでだけんど」
勉さんから書類の入ったケースを渡された。ずっしり重いし、中身が分厚い。
「ほれ、もなか村の龍脈問題。グレイシア王女に確認しで、ど田舎村のダンジョンとどう繋がっでだのがまとめでおいだ!」
「あ」
そういえばそんな話もあったっけ。
「何で俺たちが日本に転移しだのか。全部繋がっとっだみたいよ、ユキちゃん」
詳しいことは中の書類にまとめたと言われて、そのまま持ち帰って読み込むことになった。
今後は異世界転移の問題についても、考えなきゃいけないのかもな。
御米田家に帰ってきた。今日はまだ昼前だ。
「っと、仏壇に線香あげてくるか」
ばあちゃんが男爵の屋敷に移されてから、仏壇の管理は俺の役目だ。
墓ごと転移してきたから、故人を偲びたければそっちにお参りすればいいんだが、位牌のある仏壇に線香やお供えは欠かせない。
ばあちゃんは毎日朝一でやってたが、俺は酒造りで朝早いこともあって、時間は変則的になってしまっている。
「……アキ君がいないときじゃないと、できないしな」
仏壇にはカズアキの戒名入りの位牌と写真、それに――本人の名前が書かれた遺骨の箱がある。
いくら何でもこいつをカズアキに見せるわけにはいかなかった。
今日のカズアキは、いつものようにユキりんと一緒に朝から隣町の冒険者ギルドに出かけている。
帰ってくるのは早くても夕方頃だ。
――だから俺は油断してしまった。
いや、間が悪かった。
仏壇のある部屋の鍵を開けたところで、玄関から村人に呼ばれた。
線香に火をつける前でよかった。玄関に向かうとご近所の村人が慌てた様子。
「はい、どうしました?」
「あっ、ユウキさん! ちょっと助けてくれませんか、畑の柵に野獣が突っ込んで壊れたところがあって!」
「! そりゃ大変だ、すぐ行きましょう!」
ど田舎村側にも、もなか村側にも山があるから、野獣はどうしても出る。
柵が壊れたならそこから侵入してきて、村人や家が被害を受ける。早急に対策が必要だ。
現場に向かうと、しっかり組んであったはずの木の柵が数箇所に渡って崩されていた。
獣避けの罠もいくつか壊れている。
俺は手分けしてご近所さんたちに注意を呼びかけて回り、野獣に警戒しつつ柵や罠を修理して回った。
雪があるから、マウンテンバイクでも走れない場所が多かった。
真冬なのに汗だくになって村中を走り回り、家に戻ってきた頃には日が暮れる寸前だった。
「おにいちゃ! おかえりなしゃい!」
庭にいたピナレラちゃんが駆け寄ってきた。
「え、ピナレラちゃん、どうした?」
「久し振りにうちに帰りたいって言い出して。今日はこっちにお泊まりです」
庭でユキりんが、帰り道で狩ってきたと思しき鳥を処理していた。今夜は焼き鳥かソテーだな。
「アキ君は?」
「アキちゃ、しゃきにおうちにはいったよ!」
「そっかそっか。……っとヤベ、ご飯だけでも炊く準備しないと」
炊飯器なら時短で三十分で炊けるが、ふっくら美味いご飯のためには浸水込みで一時間は必要なのだ。
呑気に飯のことを考えながら、俺は家の中に入り、――自分が痛恨のミスを犯していたことに気づいた。
☆ ☆ ☆
「ユウ君? いないの?」
玄関の鍵が開いてるのにユウ君がいない。
今日はユキリーンが野鳥を仕留めてくれたから、夕飯は鳥だ。
僕も手伝うから照り焼きがいいな……と思いながら、従兄弟を探して家の中を見て回った。
家の中は暗い。どこにも電気をつけた部屋がなかった。
不用心だなあと思いながら台所に向かう途中、明かりの漏れている部屋があった。
「あれ? こんなところに部屋があったんだ」
ここは確か、普段は閉まってるはずの〝物置〟だ。そこのドアが開いてるのを見つけた。
「ユウ君?」
そーっと中を覗くが、従兄弟はいなかった。
代わりにあったのは。
「え。これ仏壇とおじいちゃんの位牌……? え、僕の写真がなんで……」
それにこの、白い箱は……
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