異世界転移!?~俺だけかと思ったら廃村寸前の俺の田舎の村ごとだったやつ

真義あさひ

文字の大きさ
198 / 216
第三章 異世界転移の謎を解け!

俺、痛恨のミス!

しおりを挟む
 年が明けた。村ごと異世界転移してきて初めて迎える年明けだった。

 昨年倒れたばあちゃんは最近ではほとんど眠ったまんまで、俺たちは覚悟しておくよう薬師のおじさんに言われていた。
 引き続き男爵の屋敷で治療してもらってるし、俺が作った日本酒ポーション異界最中もなかも飲ませてはいたが……劇的な効果はなかった。

 今日も酒造りの後、ばあちゃんの見舞いに来た俺は、寝ているばあちゃんの顔だけ見て帰ることにした。

「ユキちゃん、ちょうどよがっだあ」
「おいユウキ、話あっがらこっち来い」

 屋敷の廊下で村長と勉さんに呼び止められた。

「おめえも大変だっだがら、後回しにしでだけんど」

 勉さんから書類の入ったケースを渡された。ずっしり重いし、中身が分厚い。

「ほれ、もなか村の龍脈問題。グレイシア王女に確認しで、ど田舎村のダンジョンとどう繋がっでだのがまとめでおいだ!」
「あ」

 そういえばそんな話もあったっけ。

「何でおらたちが日本に転移しだのか。全部繋がっとっだみたいよ、ユキちゃん」

 詳しいことは中の書類にまとめたと言われて、そのまま持ち帰って読み込むことになった。
 今後は異世界転移の問題についても、考えなきゃいけないのかもな。



 御米田家に帰ってきた。今日はまだ昼前だ。

「っと、仏壇に線香あげてくるか」

 ばあちゃんが男爵の屋敷に移されてから、仏壇の管理は俺の役目だ。
 墓ごと転移してきたから、故人を偲びたければそっちにお参りすればいいんだが、位牌のある仏壇に線香やお供えは欠かせない。

 ばあちゃんは毎日朝一でやってたが、俺は酒造りで朝早いこともあって、時間は変則的になってしまっている。

「……アキ君がいないときじゃないと、できないしな」

 仏壇にはカズアキの戒名入りの位牌と写真、それに――本人の名前が書かれた遺骨の箱がある。
 いくら何でもこいつをカズアキに見せるわけにはいかなかった。

 今日のカズアキは、いつものようにユキりんと一緒に朝から隣町の冒険者ギルドに出かけている。
 帰ってくるのは早くても夕方頃だ。

 ――だから俺は油断してしまった。
 いや、間が悪かった。



 仏壇のある部屋の鍵を開けたところで、玄関から村人に呼ばれた。

 線香に火をつける前でよかった。玄関に向かうとご近所の村人が慌てた様子。

「はい、どうしました?」
「あっ、ユウキさん! ちょっと助けてくれませんか、畑の柵に野獣が突っ込んで壊れたところがあって!」
「! そりゃ大変だ、すぐ行きましょう!」

 ど田舎村側にも、もなか村側にも山があるから、野獣はどうしても出る。
 柵が壊れたならそこから侵入してきて、村人や家が被害を受ける。早急に対策が必要だ。

 現場に向かうと、しっかり組んであったはずの木の柵が数箇所に渡って崩されていた。
 獣避けの罠もいくつか壊れている。
 俺は手分けしてご近所さんたちに注意を呼びかけて回り、野獣に警戒しつつ柵や罠を修理して回った。

 雪があるから、マウンテンバイクでも走れない場所が多かった。
 真冬なのに汗だくになって村中を走り回り、家に戻ってきた頃には日が暮れる寸前だった。



「おにいちゃ! おかえりなしゃい!」

 庭にいたピナレラちゃんが駆け寄ってきた。

「え、ピナレラちゃん、どうした?」
「久し振りにうちに帰りたいって言い出して。今日はこっちにお泊まりです」

 庭でユキりんが、帰り道で狩ってきたと思しき鳥を処理していた。今夜は焼き鳥かソテーだな。

「アキ君は?」
「アキちゃ、しゃきにおうちにはいったよ!」
「そっかそっか。……っとヤベ、ご飯だけでも炊く準備しないと」

 炊飯器なら時短で三十分で炊けるが、ふっくら美味いご飯のためには浸水込みで一時間は必要なのだ。

 呑気に飯のことを考えながら、俺は家の中に入り、――自分が痛恨のミスを犯していたことに気づいた。



  ☆ ☆ ☆



「ユウ君? いないの?」

 玄関の鍵が開いてるのにユウ君がいない。

 今日はユキリーンが野鳥を仕留めてくれたから、夕飯は鳥だ。
 僕も手伝うから照り焼きがいいな……と思いながら、従兄弟を探して家の中を見て回った。

 家の中は暗い。どこにも電気をつけた部屋がなかった。
 不用心だなあと思いながら台所に向かう途中、明かりの漏れている部屋があった。

「あれ? こんなところに部屋があったんだ」

 ここは確か、普段は閉まってるはずの〝物置〟だ。そこのドアが開いてるのを見つけた。

「ユウ君?」

 そーっと中を覗くが、従兄弟はいなかった。
 代わりにあったのは。

「え。これ仏壇とおじいちゃんの位牌……? え、僕の写真がなんで……」

 それにこの、白い箱は……




しおりを挟む
感想 271

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~

うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」  これしかないと思った!   自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。  奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。  得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。  直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。  このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。  そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。  アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。  助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

異世界召喚されたけどスキルが地味だったので、現代知識とアイテムボックスで絶品料理を作ったら大商会になっちゃいました

黒崎隼人
ファンタジー
手違いで剣も魔法もない異世界に召喚された、しがない日本のサラリーマン、湊カイリ。 彼に与えられたのは、無限に物が入る【アイテムボックス】と、物の名前が分かる【鑑定】という、あまりにも地味な二つのスキルだけだった。 戦闘能力は皆無。途方に暮れるカイリだったが、異世界の食事が絶望的に不味いことを知り、大きなチャンスに気づく。 現代日本の「当たり前」の知識は、この世界ではとんでもない「宝」なのだと! 「醤油?味噌?そんなものがあれば、この世界の食文化はひっくり返るぞ!」 ひょんなことから出会った没落貴族の美少女・リリアナと共に、カイリは現代知識と地味スキルを駆使して屋台から商売をスタート。 絶品料理で人々の胃袋を掴み、さらには便利な生活用品を次々と発明していく。 伝説の神獣の幼体「フェン」やドワーフの鍛冶師など、頼れる仲間たちも加わり、彼らが立ち上げた「サンライズ商会」は瞬く間に大躍進! 迫り来る悪徳商会や腐敗した貴族の妨害も、現代のマーケティング術と知恵で痛快に打ち破る! これは、平凡なサラリーマンが異世界の常識を覆し、食と生活に革命を起こして一代で大商会を築き上げる、痛快成り上がりファンタジー! 美味しい料理と、もふもふな相棒、そして仲間との絆。 人生、逆転できないことなんて何もない!

レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~

喰寝丸太
ファンタジー
異世界に転移した山田(やまだ) 無二(むに)はポーターの仕事をして早6年。 おっさんになってからも、冒険者になれずくすぶっていた。 ある日、モンスター無限増殖装置を誤って作動させたパーティは無二を囮にして逃げ出す。 落とし穴にも落とされ絶体絶命の無二。 機転を利かせ助かるも、そこはダンジョンボスの扉の前。 覚悟を決めてボスに挑む無二。 通販能力でからくも勝利する。 そして、ダンジョンコアの魔力を吸出し大幅レベルアップ。 アンデッドには聖水代わりに殺菌剤、光魔法代わりに紫外線ライト。 霧のモンスターには掃除機が大活躍。 異世界モンスターを現代製品の通販で殴る快進撃が始まった。 カクヨム、小説家になろう、アルファポリスに掲載しております。

五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~

よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】 多くの応援、本当にありがとうございます! 職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。 持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。 偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。 「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。 草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。 頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男―― 年齢なんて関係ない。 五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

処理中です...