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「乙女☆プリズム夢の王国」特典ストーリーの世界

聖女の秘密

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 この国の〝聖女〟は、実は他国で聖女と言われる存在とは別物だ。
 聖なる魔力を持っていなくても、異世界からの転生者が聖女と呼ばれている。

 正確には異世界で暮らしていた記憶を持ったまま生まれた者のことらしい。
 パラディオ伯爵家は異世界転生者の生まれる確率が高い家だった。そのためエスティアも教会から自動認定されていたというところだろう。

 この世界より文明が進んだ世界の記憶を使って、さまざまな発明や工夫を行い、国や領地、家を繁栄させてきた。

 そういった、異世界人の魂を持つ聖女の子供は、高確率でまた同じ聖女になる。
 パラディオ伯爵家はその単純な法則を守って続いてきた一族だった。



 前世のアラフォー、ミナコを思い出す前のエスティアは、生前の祖母と母親がたくさんの業自分たちの前世の話を〝おとぎ話〟として語り聞かせてくれたことを覚えている。
 それらは可能な限り伯爵家の秘伝として書き記され、大事な財産として残っている。

(ここが乙女ゲームの世界だって気づいてから、家人たちにお母様のことを聞いてみたけど……)

 そもそも、なぜ前伯爵の母親があのクズな父親と離婚しなかったのか? やはりそこが気になった。

 母の亡き後、侍女マリナはそのまま娘のエスティアの侍女になっている。
 彼女にまず訊いてみたところ、言いづらそうにしながら教えてくれたのは、父テレンスは自分の妻が本当の意味で聖女でなかったことを知っていたという話だ。

(それをバラされたくなければ金を出せとお母様を脅していた? まあお小遣いに毛が生えた程度の金額だったみたいだけど)

 なぜそれでも離婚しなかったかについては、王命の政略結婚だったことと、やはり母が父を愛していたからではないか、というのが侍女マリナの見解だった。



 急遽取り止めになった婚儀の後、ほとんどの参列者たちは慌しく帰って行った。
 きっと明日にはパラディオ伯爵家の醜聞で王都や国内各地は持ちきりだろう。

 幼馴染みで元同級生のカーティスとセドリックだけは、事態が落ち着くまでもう数日だけ滞在してくれるそうだ。
 唯一の家族が父テレンスしかいないエスティアには、二人の気遣いがありがたかった。

 簡単な昼食だけ済ませた後、あの二人はアルフォートを軟禁させた部屋へ言葉少なに向かっている。
 エスティアの代わりに怒ってくれるなら助かるなと思った。

(正直、アルフォートに関してはもうあまり考えたくない)

 他の面倒が片付いたら実家に強制的に送りつけるつもりだった。







※エールありがとうございます、リリース間もないのに頂戴できるとは思ってなかったー!
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