23 / 66
「乙女☆プリズム夢の王国」特典ストーリーの世界
クズ男を絞めるつもりが
しおりを挟む
婚儀を台無しにしたモリスン子爵令息のアルフォートはまだエスティアとの婚約破棄の手続きが終わっていないため、伯爵家の屋敷内で軟禁されている。
滞在していた客間にそのまま放り込まれ、部屋のドアの外には騎士たちが二人、抜け出さないよう厳重に守っていた。
アルフォートを訪ねたカーティスとセドリックだったが、三人して長いこと無言だった。
「………………」
「………………」
「………………くちっ」
下着だけの半裸のままだったアルフォートが小さなくしゃみをした。
それで騎士たちと一緒に来ていたカーティスもセドリックも緊張をやや解いた。だが厳しい表情は崩さない。
「アルフォート、お前さあ。いったい何がやりたかったんだ。クソチキンのお前が女を連れ込んでたのも驚きだし、相手が王女様って何なんだよ。サンドローザ王女は式に欠席だったって聞いてるぞ?」
「エスティアの手を煩わせるまでもない。不貞の輩など滅べばいい」
カーティスとセドリック、二人の元同級生に詰め寄られて、客間の床に放り投げられていたアルフォートは情けなくも後ずさった。
「待て、取り敢えず服を着させろ! 寒いんだよ!」
チッと舌打ちしてセドリックが顎でクローゼットを指した。セドリックとて男の半裸などいつまでも見ていたくはない。
もたもたしながらアルフォートが服を着たところで、再びカーティスとセドリックは圧をかけた。
「で? 言い訳があるなら遺言代わりに聞いてやる」
「それ息の根止める気満々じゃないか!?」
「貴様がやらかしたのはそういう愚挙だ」
ぐ、っとセドリックが拳を握り締めると、身体の周囲の空気が陽炎のように揺らいだ。このまま魔力を帯びた拳だけでも息の根を止められる。
セドリックの薄青の瞳は本気だ。アルフォートは小さく悲鳴を上げた。
「じ、事情! 言い訳聞いてくれるんじゃないのか!?」
「まあ内容による。取り敢えず話してみろよ」
セドリックがマジ切れ寸前のため必然的に宥め役に回ったカーティスが、赤茶の髪をかき上げながら言った。
「言えるものなら俺だって言いたい! こんな最悪の役割なんて最初から嫌だったに決まってる!」
「だからとっとと言えと……ん?」
アルフォートが必死で言い募っているが、どういうわけか首をのけ反らせたポーズを繰り返し取っている。
ボタンを二つ三つ留め忘れたシャツから覗く首筋には、細い銀色のネックレスがある。
シャツならボタンを締め、礼装のジャケットを羽織れば見えない絶妙な長さだ。
「それはプラチナ……いやミスラル銀か? 何かの魔導具のようだが」
「んー! んんんんー!」
「もしや、説明を阻害する魔導具なのか?」
「んー!」
当たりらしい。
どうやら取って欲しいようだが、そう伝えることもできない設定らしい。
「随分と複雑な術がかかってるな。カーティスなら解けるか?」
「荒くれ者自慢の辺境伯家の息子に無茶を振らないでくれー」
「……仕方ない」
両耳のピアスのうち片方を外して石の部分を指先で摘まんだ。
いざというときの魔力調達用の魔石だ。
「大丈夫かそれ。アルフォート如きに使っちまってもったいなくないか?」
「魔力ならまた込め直せばいい。今はこの屑男の話に興味がある」
「屑っていうな!」
「「屑だろ」」
ピアスの魔石からチャージした魔力を指先に集めて、一気にアルフォートのネックレスを引っ張った。
「首っ、首が落ちるうううう!」
「……いっそ落ちてしまえば良いのに」
「ヒィッ!? 怖いよお前!?」
ともあれ魔導具らしきネックレスは千切れた。
滞在していた客間にそのまま放り込まれ、部屋のドアの外には騎士たちが二人、抜け出さないよう厳重に守っていた。
アルフォートを訪ねたカーティスとセドリックだったが、三人して長いこと無言だった。
「………………」
「………………」
「………………くちっ」
下着だけの半裸のままだったアルフォートが小さなくしゃみをした。
それで騎士たちと一緒に来ていたカーティスもセドリックも緊張をやや解いた。だが厳しい表情は崩さない。
「アルフォート、お前さあ。いったい何がやりたかったんだ。クソチキンのお前が女を連れ込んでたのも驚きだし、相手が王女様って何なんだよ。サンドローザ王女は式に欠席だったって聞いてるぞ?」
「エスティアの手を煩わせるまでもない。不貞の輩など滅べばいい」
カーティスとセドリック、二人の元同級生に詰め寄られて、客間の床に放り投げられていたアルフォートは情けなくも後ずさった。
「待て、取り敢えず服を着させろ! 寒いんだよ!」
チッと舌打ちしてセドリックが顎でクローゼットを指した。セドリックとて男の半裸などいつまでも見ていたくはない。
もたもたしながらアルフォートが服を着たところで、再びカーティスとセドリックは圧をかけた。
「で? 言い訳があるなら遺言代わりに聞いてやる」
「それ息の根止める気満々じゃないか!?」
「貴様がやらかしたのはそういう愚挙だ」
ぐ、っとセドリックが拳を握り締めると、身体の周囲の空気が陽炎のように揺らいだ。このまま魔力を帯びた拳だけでも息の根を止められる。
セドリックの薄青の瞳は本気だ。アルフォートは小さく悲鳴を上げた。
「じ、事情! 言い訳聞いてくれるんじゃないのか!?」
「まあ内容による。取り敢えず話してみろよ」
セドリックがマジ切れ寸前のため必然的に宥め役に回ったカーティスが、赤茶の髪をかき上げながら言った。
「言えるものなら俺だって言いたい! こんな最悪の役割なんて最初から嫌だったに決まってる!」
「だからとっとと言えと……ん?」
アルフォートが必死で言い募っているが、どういうわけか首をのけ反らせたポーズを繰り返し取っている。
ボタンを二つ三つ留め忘れたシャツから覗く首筋には、細い銀色のネックレスがある。
シャツならボタンを締め、礼装のジャケットを羽織れば見えない絶妙な長さだ。
「それはプラチナ……いやミスラル銀か? 何かの魔導具のようだが」
「んー! んんんんー!」
「もしや、説明を阻害する魔導具なのか?」
「んー!」
当たりらしい。
どうやら取って欲しいようだが、そう伝えることもできない設定らしい。
「随分と複雑な術がかかってるな。カーティスなら解けるか?」
「荒くれ者自慢の辺境伯家の息子に無茶を振らないでくれー」
「……仕方ない」
両耳のピアスのうち片方を外して石の部分を指先で摘まんだ。
いざというときの魔力調達用の魔石だ。
「大丈夫かそれ。アルフォート如きに使っちまってもったいなくないか?」
「魔力ならまた込め直せばいい。今はこの屑男の話に興味がある」
「屑っていうな!」
「「屑だろ」」
ピアスの魔石からチャージした魔力を指先に集めて、一気にアルフォートのネックレスを引っ張った。
「首っ、首が落ちるうううう!」
「……いっそ落ちてしまえば良いのに」
「ヒィッ!? 怖いよお前!?」
ともあれ魔導具らしきネックレスは千切れた。
26
あなたにおすすめの小説
国一番の美少女だけど、婚約者は“嫌われ者のブサイク王子”でした
玖坂
ファンタジー
気がつけば、乙女ゲームの“悪役令嬢”ポジションに転生してました。
しかも婚約者は、誰もがドン引きする“ブサイクで嫌われ者の王子様”
だけど――あれ?
この王子、見た目はともかく中身は、想像以上に優しすぎる……!?
国一番の美少女に転生した令嬢と、誰にも愛されなかった王子が、少しずつ成長していく物語。
ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!
クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。
ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。
しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。
ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。
そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。
国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。
樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。
【完結】お花畑ヒロインの義母でした〜連座はご勘弁!可愛い息子を連れて逃亡します〜+おまけSS
himahima
恋愛
夫が少女を連れ帰ってきた日、ここは前世で読んだweb小説の世界で、私はざまぁされるお花畑ヒロインの義母に転生したと気付く。
えっ?!遅くない!!せめてくそ旦那と結婚する10年前に思い出したかった…。
ざまぁされて取り潰される男爵家の泥舟に一緒に乗る気はありませんわ!
アルファポリス恋愛ランキング入りしました!
読んでくれた皆様ありがとうございます。
*他サイトでも公開中
なろう日間総合ランキング2位に入りました!
乙女ゲームの悪役令嬢に転生したけど何もしなかったらヒロインがイジメを自演し始めたのでお望み通りにしてあげました。魔法で(°∀°)
ラララキヲ
ファンタジー
乙女ゲームのラスボスになって死ぬ悪役令嬢に転生したけれど、中身が転生者な時点で既に乙女ゲームは破綻していると思うの。だからわたくしはわたくしのままに生きるわ。
……それなのにヒロインさんがイジメを自演し始めた。ゲームのストーリーを展開したいと言う事はヒロインさんはわたくしが死ぬ事をお望みね?なら、わたくしも戦いますわ。
でも、わたくしも暇じゃないので魔法でね。
ヒロイン「私はホラー映画の主人公か?!」
『見えない何か』に襲われるヒロインは────
※作中『イジメ』という表現が出てきますがこの作品はイジメを肯定するものではありません※
※作中、『イジメ』は、していません。生死をかけた戦いです※
◇テンプレ乙女ゲーム舞台転生。
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げてます。
王妃ですが都からの追放を言い渡されたので、田舎暮らしを楽しみます!
藤野ひま
ファンタジー
わたくし王妃の身でありながら、夫から婚姻破棄と王都から出て行く事を言い渡されました。
初めての田舎暮らしは……楽しいのですが?!
夫や、かの女性は王城でお元気かしら?
わたくしは元気にしておりますので、ご心配御無用です!
〔『仮面の王と風吹く国の姫君』の続編となります。できるだけこちらだけでわかるようにしています。が、気になったら前作にも立ち寄っていただけると嬉しいです〕〔ただ、ネタバレ的要素がありますのでご了承ください〕
一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫
むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。
攻略なんてしませんから!
梛桜
恋愛
乙女ゲームの二人のヒロインのうちの一人として異世界の侯爵令嬢として転生したけれど、攻略難度設定が難しい方のヒロインだった!しかも、攻略相手には特に興味もない主人公。目的はゲームの中でのモフモフです!
【閑話】は此方→http://www.alphapolis.co.jp/content/cover/808099598/
閑話は最初本編の一番下に置き、その後閑話集へと移動しますので、ご注意ください。
此方はベリーズカフェ様でも掲載しております。
*攻略なんてしませんから!別ルート始めました。
【別ルート】は『攻略より楽しみたい!』の題名に変更いたしました
悪役令息の婚約者になりまして
どくりんご
恋愛
婚約者に出逢って一秒。
前世の記憶を思い出した。それと同時にこの世界が小説の中だということに気づいた。
その中で、目の前のこの人は悪役、つまり悪役令息だということも同時にわかった。
彼がヒロインに恋をしてしまうことを知っていても思いは止められない。
この思い、どうすれば良いの?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる