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×第三王子
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謁見の間、その最奥から王は凱旋した勇者パーティに声をかけた。
「面をあげよ」
促され顔を上げる仲間たち。自分は王族ということもあり彼らとは別に、父である王の後ろに控えている。
私が彼らと共にこの国に戻ったのは昨日の昼だった。世界に平和を取り戻し、大陸で一番大きい我が国に報告のためと戻ってきたのだ。彼らはこのあと別大陸にも魔王討伐の報告に向かう。私は、きっと彼らとは共に行けない。
「大義であった。我が国からも貴殿らに褒美を与えたい。何か望むものはあるだろうか」
「望み、ですか?」
王の言葉に勇者になった彼、カイトは考える様子を見せる。その姿を見るのも最後になるかもしれないと、できるだけ彼に目を向ける。
「あぁ。できる限りのものは用意しよう。我が子たちの伴侶にと、望むのならそれも吝かではない」
その言葉に隣に立つ姉たちが浮足立つのがわかった。カイトは正に美丈夫と評される容姿をしている。自分が選ばれたら、なんて空想はさぞ楽しいだろう。私にはそんな空想すら難しい。
その変わりではないけれど、あの旅の日々を思い出す。長く困難な旅ではあった。けれど、辛いだけではけしてなかった。
「恐れながら」
カイトが口を開く。謁見の間にいる全員が彼に意識を向けた。
「第三王子、スターリング様を望みます」
一瞬耳を疑った。カイトの目はこちらを向いている。私も、目を反らせなかった。
「スターリングを? それは、旅の仲間だからな。積もる話もあるだろう。では今夜はスターリングと共に過ごすと良い」
「いいえ。陛下は先程、あなたの子どもを伴侶にと仰られました。ならば、彼を伴侶に迎えたく存じます」
「あぁ、それは、うむ。確かにそう言ったな。しかし勇者カイトよ。スターリングは息子である。子も望めぬし、どうだ、第一王女カナリアならば貴殿も気にいるのではないだろうか」
私の隣で姉が綺麗にカーテシーをした。
「陛下。分不相応なのは心得ております。それでも俺は、スターリングに側に居てほしい」
王に向けたようで、本当は私に向けられた言葉。カイトの後ろにいるパーティメンバーも呆れたように笑っている。諦めていたのは、どうやら私だけだったらしい。王は父親の目をしながら私を見た。
「スターリングはどうしたい? 申してみよ」
発言を許可され深く息を吸う。こんな場所で自分の意見を求められることなど無いに等しいので、緊張で喉が渇く。見苦しくない程度に胸に手を当て息を吸った。
「陛下、私は、その申し出を喜んで受けたく存じます」
「そうか」
王は鷹揚に頷いてカイトに目を向ける。
カイトは、泣いている。
ぽかんと、口が開いてしまった。目撃した妹にくすくすと笑われ、恥ずかしくなって口元を右手で隠す。
「貴殿の褒美にはスターリングを贈呈しよう。これは、王ではなく父としての言葉だが、幸せにしてやってくれ。泣くようなことがあれば連れ戻させてもらう」
「……っ、ありがたき幸せ」
他のメンバーも相好を崩してカイトの頭を撫でた。そのまま一礼して退室する彼らを見送る。仲間たちの褒美はこのあと別で話をするのだろう。
「スターリング」
王に呼ばれて近づけば、何年も見ていなかった笑顔で私を見ていた。
「どうか、幸せにな」
「ありがとうございます、父上」
父は頷いて私の頭を一撫ですると王族用の出入り口から退室していった。母に抱きしめられ、姉妹に揉みくちゃにされ、兄たちと握手を交わす。彼らを見送ってから、私ははしたなくも仲間たちの出ていった扉へ走っていった。
「面をあげよ」
促され顔を上げる仲間たち。自分は王族ということもあり彼らとは別に、父である王の後ろに控えている。
私が彼らと共にこの国に戻ったのは昨日の昼だった。世界に平和を取り戻し、大陸で一番大きい我が国に報告のためと戻ってきたのだ。彼らはこのあと別大陸にも魔王討伐の報告に向かう。私は、きっと彼らとは共に行けない。
「大義であった。我が国からも貴殿らに褒美を与えたい。何か望むものはあるだろうか」
「望み、ですか?」
王の言葉に勇者になった彼、カイトは考える様子を見せる。その姿を見るのも最後になるかもしれないと、できるだけ彼に目を向ける。
「あぁ。できる限りのものは用意しよう。我が子たちの伴侶にと、望むのならそれも吝かではない」
その言葉に隣に立つ姉たちが浮足立つのがわかった。カイトは正に美丈夫と評される容姿をしている。自分が選ばれたら、なんて空想はさぞ楽しいだろう。私にはそんな空想すら難しい。
その変わりではないけれど、あの旅の日々を思い出す。長く困難な旅ではあった。けれど、辛いだけではけしてなかった。
「恐れながら」
カイトが口を開く。謁見の間にいる全員が彼に意識を向けた。
「第三王子、スターリング様を望みます」
一瞬耳を疑った。カイトの目はこちらを向いている。私も、目を反らせなかった。
「スターリングを? それは、旅の仲間だからな。積もる話もあるだろう。では今夜はスターリングと共に過ごすと良い」
「いいえ。陛下は先程、あなたの子どもを伴侶にと仰られました。ならば、彼を伴侶に迎えたく存じます」
「あぁ、それは、うむ。確かにそう言ったな。しかし勇者カイトよ。スターリングは息子である。子も望めぬし、どうだ、第一王女カナリアならば貴殿も気にいるのではないだろうか」
私の隣で姉が綺麗にカーテシーをした。
「陛下。分不相応なのは心得ております。それでも俺は、スターリングに側に居てほしい」
王に向けたようで、本当は私に向けられた言葉。カイトの後ろにいるパーティメンバーも呆れたように笑っている。諦めていたのは、どうやら私だけだったらしい。王は父親の目をしながら私を見た。
「スターリングはどうしたい? 申してみよ」
発言を許可され深く息を吸う。こんな場所で自分の意見を求められることなど無いに等しいので、緊張で喉が渇く。見苦しくない程度に胸に手を当て息を吸った。
「陛下、私は、その申し出を喜んで受けたく存じます」
「そうか」
王は鷹揚に頷いてカイトに目を向ける。
カイトは、泣いている。
ぽかんと、口が開いてしまった。目撃した妹にくすくすと笑われ、恥ずかしくなって口元を右手で隠す。
「貴殿の褒美にはスターリングを贈呈しよう。これは、王ではなく父としての言葉だが、幸せにしてやってくれ。泣くようなことがあれば連れ戻させてもらう」
「……っ、ありがたき幸せ」
他のメンバーも相好を崩してカイトの頭を撫でた。そのまま一礼して退室する彼らを見送る。仲間たちの褒美はこのあと別で話をするのだろう。
「スターリング」
王に呼ばれて近づけば、何年も見ていなかった笑顔で私を見ていた。
「どうか、幸せにな」
「ありがとうございます、父上」
父は頷いて私の頭を一撫ですると王族用の出入り口から退室していった。母に抱きしめられ、姉妹に揉みくちゃにされ、兄たちと握手を交わす。彼らを見送ってから、私ははしたなくも仲間たちの出ていった扉へ走っていった。
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