2 / 43
第一話 御伽話
しおりを挟む「眠れないのか桃李。」
「じいちゃん。」
「なんだ桃李。台風が怖いのか。」
ダハハと豪快に笑う祖父に桃李は少しむくれる。
「だって...じんじゃがギシギシいう。」
祖父はおどけたように首を傾げ耳を澄ませて見せた。
「ぉお確かに!ギシギシ言うとるな。」
「いまごろ気づいたのかよ。」
「確かにこの神社はボロい。さっきも雨漏りを見つけてなぁ。」
愉快そうに笑う祖父に、桃李はムスッと口を尖らせる。
「なんじゃ怖いのか?」
「こわくないっ。」
可愛い強がりだの。
しかし、このまま怯えて眠れそうにない幼子が可哀想だ。
「桃李。ひとつ昔話をしてやろう。」
「いやだ。おもしろくない。」
「まだ話しておらんぞ。」
桃李はまたむくれる。
だって祖母の方がずっと話し上手なのだ。
「正直者だのぉ。まぁ面白くないかは聞いてから決めると良い。」
祖父は、桃李に目を瞑るよう言い遠く遠くの昔話を語り始めた。
ーーー
遥か昔
人間をお創りになり、慈しみお育てくださっていた"全ての神と全ての命の長"天帝が治める所に、地上の全ての生き物を守護する為、とある神獣を遣わせられた。
東西南北四方を守る彼らは四龍と呼ばれた。
天帝へ果て無き忠誠を誓った最強の彼らだがしかし。
地上は彼らの力を以てしても"影"は止められなかった。
傷付き呻きながらも誓いを守る四龍に、天帝は一本の特別な桃の木をお創りになられた。
その木になる不思議な果実の名を仙桃と言う。
仙桃を食べた四龍は忽ち"影"を押し除けて見せた。
のち、四龍はその働きに格別な褒美を賜った。
妻だ。
『此を四龍唯一の妻とせよ。』
四龍は、思いもよらない褒美に驚いた。
それは仙桃と特別な宝物とが合わさった花嫁だった。
美しい神の創りし花嫁に、四龍は心を得た。
それ以来地上は今までになく穏やかに、健やかに繁栄を続けることなった。
仙桃から創られた特別な姫。
彼女はいつからか"桃妃"と呼ばれるようになった。
此の存在は、地上の"桃"と相成り邪しきものを払いとされた。
そして、天帝により創られたことから、不老不死の効果があると言われるようになったのだ。
「めでたしめでたし。」
ようやく話終え、ふと横を向いた。
そこには、さっきまでむくれていたとは思えない程に、あどけなく、すやすやと眠る幼子の姿があった。
「普段はぶすくれておっても、眠っている姿だけは子供だなぁ。」
クックッと、声無く笑って彼は静かに、襖を閉めた。
「さて、茶でも飲むか。」
7
あなたにおすすめの小説
美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜
飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。
でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。
しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。
秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。
美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。
秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。
「今夜は、ずっと繋がっていたい」というから頷いた結果。
猫宮乾
BL
異世界転移(転生)したワタルが現地の魔術師ユーグと恋人になって、致しているお話です。9割性描写です。※自サイトからの転載です。サイトにこの二人が付き合うまでが置いてありますが、こちら単独でご覧頂けます。
異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました
ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載
病み墜ちした騎士を救う方法
無月陸兎
BL
目が覚めたら、友人が作ったゲームの“ハズレ神子”になっていた。
死亡フラグを回避しようと動くも、思うようにいかず、最終的には原作ルートから離脱。
死んだことにして田舎でのんびりスローライフを送っていた俺のもとに、ある噂が届く。
どうやら、かつてのバディだった騎士の様子が、どうもおかしいとか……?
※欠損表現有。本編が始まるのは実質中盤頃です
【完結】国に売られた僕は変態皇帝に育てられ寵妃になった
cyan
BL
陛下が町娘に手を出して生まれたのが僕。後宮で虐げられて生活していた僕は、とうとう他国に売られることになった。
一途なシオンと、皇帝のお話。
※どんどん変態度が増すので苦手な方はお気を付けください。
僕に双子の義兄が出来まして
サク
BL
この度、この僕に双子の義兄が出来ました。もう、嬉し過ぎて自慢しちゃうよ。でも、自慢しちゃうと、僕の日常が壊れてしまう気がするほど、その二人は人気者なんだよ。だから黙って置くのが、吉と見た。
そんなある日、僕は二人の秘密を知ってしまった。ん?知っているのを知られてしまった?が正しいかも。
ごめんよ。あの時、僕は焦っていたんだ。でもね。僕の秘密もね、共有して、だんだん仲良くなったんだよ。
…仲良くなったと、そう信じている。それから、僕の日常は楽しく、幸せな日々へと変わったんだ。そんな僕の話だよ。
え?内容紹介が内容紹介になってないって?気にしない、気にしない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる