▶︎【R18】天塚桃李〜四人の龍王様の嫁になりました〜

mimimi456/都古

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第七話 由緒

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俺が、桃のお姫様ーーー?


そして、仁嶺そいつは何か。
あのコスプレ集団キス野郎は神様だってのか。

仁嶺様、と呼び随分和気藹々と話し込む祖父にとうとう頭が混乱した。

「あんた一体何者だ。」

「四龍、東と春と青を司る龍だよ桃李。」

「他にも居ただろ、アイツらは。」

「彼らもそうさ。私達四人で君の夫となる。」

「無理だ。」

「"無理"ではない。これは君の"責務"だ。」


その言葉を最後に部屋には長い沈黙が訪れた。

俺は唯の人間だ。
桃のお姫様って何だ。俺はその末裔なのか。
それなら俺の親父とお袋は何でお姫様じゃない。


「あなたは、仙桃妃せんとうひ。むかしむかしは、そう呼ばれていたのよ桃李。」

「…ばーちゃん。」

「あなたは仙桃妃。皆あの頃は、あなたを桃妃とうひ様と呼んでいてね。
四龍の気を整え、地上に安寧をもたらす龍の唯一の妃にして、至上の宝。」

「わしとばーさんは、天帝と四龍の声を聞き今生の帝に進言するのが役目じゃった。」

「だけれど、ある時。地上はとても穢れに満ちてしまった。私たち人間の争い事に、他の生き物や神々でさえも巻き込んでしまったの。取り返しの付かないほどに。」


祖母が、ぽつりぽつりと話始めた。
それは、さっき聞いた昔話では聞かされなかった"本当の話"だった。


穢れた地に神々は居られない。
もちろん天帝でさえも、穢れは身を蝕む。
人が争い生き物が死に、神が離れた末に、国は乱れ、戦が始まり人も大地も荒れ果てた。

それでも、神々の声が聞こえるものたちは鬼門を塞ぎ、清め続けた。
こんな穢れた地でも、天帝に忠誠を誓い心身を削り護ってくれる四龍ししゅうの為に。

しかし、天上で創られる仙桃には限りがあった。

仙桃が無ければ、四龍は気を整えられず
そうなれば、穢れに蝕まれ墜ちてしまう。

もう、ギリギリの所まで追い込まれていた
その時だった。

ー天帝が、
地上全ての穢れを焼き払われたのはー


そして、
まだ穢れの少ない僅かなモノたちが残された。

穢れ傷付き、地上を護っていた四龍は、
天帝が天上へお連れになった。
天上で穢れの全てを清めるために。

天帝は、神々の声が聞こえるものたち全てに仰った。

鬼門を塞ぎ続けなさい。
あなた方を護った四龍の宝珠を守り育てなさい。
地上の命を尊び地上の全てを愛しなさい。

母は愛していますよ、とそう仰った。
天帝は愛で以て、地上を創り直そうとされた。

残された人々は、切に誓った。
天帝に恥じぬよう生きよう、
我々の為に身を削り護ってくれた龍たちに恩返しをしようと。

その為には先ず、
天帝から託された龍の宝珠を守り育てられる国を目指した。


この時、宝珠はほんの小さな桃の種であった。
宝石の様に輝く美しい桃の種は、ほんの微かに息衝いていた。

時を経て、穢れも争いも収束し始めた頃
人々は一つの神社を造った。

天帝より賜った御言葉により、
鬼門の地に結果を幾重にも重ね、
地上と天帝より賜った宝珠を清め護るその為の神社を。

天使の眠りし塚地とし、
名を"天塚神社あまつかのかむやしろ"とした。


やがて、地中深くまで滲みていた穢れも漸く薄れてきた頃。
あの宝石のような桃の種を蒔いてみた。
すると、この小さな種は3日毎にすくすくと育っていった。

芽をだし、蕾をつけ、花開くときを
社の者たちは今か今かと待っていた。

そして、一月が経った頃その時が訪れた。

四龍の宝珠である花が開いたのだ。
すると、そこには小さな人が眠っていた。

花の中で健やかに、寝息をたてて眠る赤ん坊がいたのだ。


それは、地上に於いて
再び訪れるであろう安寧の日々を現していた。

一方、天帝も天上から、地上の行く末を見られていた。宝珠が無事に生れたこともご存じだった。

赤ん坊が生まれたその日、
天帝は一つの木をその子にお与えになった。

天上でしか育たなかった"仙桃"の木だった。

社の者は、この木を毎日清め、
毎日成る桃の実を赤ん坊に与えた。

そして、その日から地上の気は整い始め、
地中深くの穢れさえも清め始めた。

その赤ん坊、女の子であったため
名を"仙桃妃"と呼ばれていた。


それから、数年が経ち
四龍たちが再び地上へと戻ってきた。

社の者たちは、再び見えた四龍たちに
あの時、身を賭して護ってくれたことを、
深く感謝し、愚かな人の始末を謝罪し、四龍の無事を心から喜んだ。
そして、誓いあった。

天帝の愛された地上を取り戻し、
守り抜くことを。

そこには、約束通り
社の者たちが護り育てた仙桃妃の姿もあった。

それからの地上は、
昔のような穏やかさを少しずつだが取り戻していった。
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