▶︎【R18】天塚桃李〜四人の龍王様の嫁になりました〜

mimimi456/都古

文字の大きさ
41 / 43

第三十九話 火を司る神という男1

しおりを挟む
「しまったな。」

焦って大きく理性を欠いた行動を取ってしまった。
まさか城のすぐそばで、木が枯れているとは思いもしなかったのだ。
理性を欠いた己の愚行を騰礼は振り返る。
せめて桃李を伴っていくべきだったと思う。


ズキズキと痛む四肢に加え、臓腑が焼ける様な感覚が襲う。
実際、痛くて熱くて堪らないのだ。
火を司る騰礼すらも焦がす熱が、吐く息、この身体にのたうち回っている。


水が欲しい。喉が乾いた。
だが欲しいのは水よりも疾く澄んだこの身を満たすものを知っている。

「... ...桃李、」

芳しい仙桃を纏った四龍の秘宝。
仙桃妃、と名付けられた彼等はいつの世も騰礼の胸を乱す事は無かった。
だというのに、天塚桃李アレだけが騰礼の目を惹きつける。

腕に捕らえると身を硬らせる。
そのくせ抱きすくめると途端、身を許すように肌を寄せてくる。
この生き物の愛おしさが誰に分かる。分かってたまるか。
求め合う口付け、溢す吐息のその全てがどの桃妃とも違う。

極上だった。

まさに、龍の至宝。
持ち主の願いを叶えるというその秘宝が、漸く俺の願いを叶えたのか。

「桃李、」

だが彼は今、此処には居ない。


「桃李... ...桃李、とう、り」


ーー嗚呼。熱い。

俺の至宝。俺の妃。
どうか、俺を独りにしないでくれ

焼け付く胸を掻き毟りながら、取り込んだ穢れの狂気に耐える
俺を助けてくれ、桃李。


ーーーーー


「騰礼!」

桃李は無我夢中で階段を駆け上がっていた。
刺す様な気配がそこかしこに渦巻いており一番濃い気が漂っている場所へと辿り着く。

この紅の漆扉の向こうに騰礼が居るのだ。

無事で居ろ、それ以外に願う事は無い。
それだけで良い。
だから意を決して扉を開けたその瞬間、桃李は息が出来なくなった。

「何だ、これ... ...、あ」

鼻と口から呼吸を奪う程の熱風が雪崩れ込んでくる。
肺が焼けるーー!?
慌てて口を塞いだが、遅かった。
熱風がドス黒い気が身体中を蹂躙し、まるで内側から内臓を焼く様な痛みが桃李を襲う。

「と...っ!」

それでも必死で声を張ると息を吸う拍子に肺に痛みが走る。
呻いて馬鹿みたいに冷や汗を垂らす身体が、異常事態を知らせるが、そんな事はどうでも良い。
こんな痛みより大事なものが桃李には有る。

「騰礼... ...っ、おい...っ!」

陽の光を拒絶した部屋の中で、床を這って涙が滲む視界で彼を探す。

「おい、騰礼っ、返事...しろよ」

暗い部屋ではあまり見えない。彼は何処だ。
もう一度目を凝らし涙を乱暴に拭うと、ぼんやり朱色が見えた。
更にもう一度呼ぶと今度は朱色が揺れた。

そこに、居るのか

無様に砕けた腰で桃李は這い進む。
ガタガタと震える足が押し殺せない恐怖を滲ませていた。
完全にこの空気に、この空間に呑まれている。
窮奇と立ち向かった時とは全く別の"恐怖"の匂いがする。

これは"俺達二人"の恐怖の匂いだ。

大事な龍をひとり失うかもしれないという恐怖に、桃李は耐えられない。
勿論、四龍それぞれが桃李にとって大切でそこに差など無いが、一度ならず二度も三度も彼の朱色の瞳に、顎のざりざりとした髭を愛おしく思ってしまったら、失いたく無いに決まっている。

桃李はもう一度、名前を呼んだ。
答えろ。聞こえろ。返事をしろ。

「とぅれ、い..,」


ーーあぁ、見えた。

ギン、と朱い瞳がこちらを見ている。
その朱い目のひと睨みで、桃李は完全に腰が抜けてしまった。


その時、桃李は思い出していた。
自分が相手にしている男達は皆、神であったと。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜

飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。 でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。 しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。 秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。 美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。 秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。

「今夜は、ずっと繋がっていたい」というから頷いた結果。

猫宮乾
BL
 異世界転移(転生)したワタルが現地の魔術師ユーグと恋人になって、致しているお話です。9割性描写です。※自サイトからの転載です。サイトにこの二人が付き合うまでが置いてありますが、こちら単独でご覧頂けます。

異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました

ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載

魔王に飼われる勇者

たみしげ
BL
BLすけべ小説です。 敵の屋敷に攻め込んだ勇者が逆に捕まって淫紋を刻まれて飼われる話です。

後輩が二人がかりで、俺をどんどん責めてくるー快楽地獄だー

天知 カナイ
BL
イケメン後輩二人があやしく先輩に迫って、おいしくいただいちゃう話です。

病み墜ちした騎士を救う方法

無月陸兎
BL
目が覚めたら、友人が作ったゲームの“ハズレ神子”になっていた。 死亡フラグを回避しようと動くも、思うようにいかず、最終的には原作ルートから離脱。 死んだことにして田舎でのんびりスローライフを送っていた俺のもとに、ある噂が届く。 どうやら、かつてのバディだった騎士の様子が、どうもおかしいとか……? ※欠損表現有。本編が始まるのは実質中盤頃です

【完結】国に売られた僕は変態皇帝に育てられ寵妃になった

cyan
BL
陛下が町娘に手を出して生まれたのが僕。後宮で虐げられて生活していた僕は、とうとう他国に売られることになった。 一途なシオンと、皇帝のお話。 ※どんどん変態度が増すので苦手な方はお気を付けください。

僕に双子の義兄が出来まして

サク
BL
この度、この僕に双子の義兄が出来ました。もう、嬉し過ぎて自慢しちゃうよ。でも、自慢しちゃうと、僕の日常が壊れてしまう気がするほど、その二人は人気者なんだよ。だから黙って置くのが、吉と見た。 そんなある日、僕は二人の秘密を知ってしまった。ん?知っているのを知られてしまった?が正しいかも。 ごめんよ。あの時、僕は焦っていたんだ。でもね。僕の秘密もね、共有して、だんだん仲良くなったんだよ。 …仲良くなったと、そう信じている。それから、僕の日常は楽しく、幸せな日々へと変わったんだ。そんな僕の話だよ。 え?内容紹介が内容紹介になってないって?気にしない、気にしない。

処理中です...