【完結】【R18】沼に落ちたら恋人が出来ました。

mimimi456/都古

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第二話

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「かはっ、うぅげほっ、げほっ、」

喉が痛い。殴られた腹も痛い。
乾燥してるのか、喉が張り付いてる。

何で俺、此処にいるんだ。
此処、どこだ。

ーーー空、青いなぁ。

ん。あれなんだ。

何か液体が、こっち流れて来てないか。
しかも木がおかしいよな。

枯れてる、よな。
瞬殺で。

え、枯れるの。

俺、あれ浴びたらヤバくねぇ?

やばいよな。
やばいよな。
やっぱ、やばいよなっ、!?

「走れ小僧ッ‼︎」

「えっ、?」

「走れと言っているのだ馬鹿者。貴様、死にたいのか⁉︎」

俺は咄嗟に回れ右をして、力の限り走り出した。

急げ急げ急げ急げ急げ、死にたく無い‼︎
死ぬのはもう懲り懲りなんだ、!

「ぇ、俺…死ぬの、死んだの、どっち?」

「何を呑気な事を言っておる、!?」

「ぇ、だから誰あなた!?」

俺の神経は焼き切れそうな程に、今。
酷使されてる。
いや、もしかしたらシナプスが1個死んだかもしんない。
それでも全力で駆けている横を、いきなり狐が並走し始めたのに、まだ走ってる俺凄く無い⁉︎。

「誰っ、!?」
「遣いだ。」
「誰のだよッ、!?」
「無駄口を叩いている暇はないぞ、小僧。」

黒い液体がもうすぐそこまで来ている。
このままじゃ、追い付かれるっ、!

「分ぁってるけど、どうすりゃ良いんだよ!?
あんた何か知ってんの、かよっ、」

狐は黙ってる。
いや、何で狐が喋ってるんだ。

「今だ、そこの岩場に上がれ!」

「急に何だよ…と、ぅおりゃぁあ!」

全速力からの急カーブだが、俺の体は頑張った。
岩場は高い。
あの黒い液体が来ても辛うじて波に巻き込まれないだろう。

「臭い。何の臭いだ?どっかで嗅いだことある気がする。」

それと、何か…違和感が。
あの液体見てると体が吸い寄せられる。
頭も痛いし、何だろ…ぼぅっとして来た。

「しっかりしろ小僧!引っ張られるな。」
「意味…分かんねぇ、よ」
「自我を保てと言っているんだ、死にたくなければなぁ。」

俺はまだやりたいことが有るんだ。
花がきれいとか、風が吹いてるとか、アニメのリアタイとか、漫画の続きとか読んでスローライフを手に入れたい。

「死にたくねぇ、に決まってんだろ!
どうすりゃ良いんだ。」

「願え。唱えろ。私の言う通りに。」

「おぅよっ、」

俺は狐の指示に従う。
柏手を二度、更に二度打った。
まるで映画で見た陰陽師だ。

「唵 阿謨伽 尾盧左曩 摩訶母捺... 」

「な、んて…?」

「何だ。」

狐が、何が分からないのか、分からないと言う顔で此方を見てくる。
いや、何て言っってるのか全然、分かんないんだけど。

「…小僧、お前、主人の前で祝詞を上げていただろう。」

「いや、ネットでググった。意味もちゃんと調べたし。」

「それでは、唱える意味が無いであろうが!」

「有るよ、気持ちの問題だって書いてあったぞ!?」

「そうでは無いわ!貴様今からあれをどうやって祓うと言うのだ。一々説明していては貴様の塵のような命など一瞬で帰すぞ。主様がせっかく寄越してくださった貴重な時間だというに貴様は…」


凄い。

狐が、凄い怒ってる。
俺はふと、必勝法を思い付いた。
漫画で覚えた俺の知識、見せてやるっ、!


「臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前」

手刀を結び、縦に横に空間を切って、俺は大声で唱えた。

「ヲン・キリ・キャラ・ハラ・フタラン・バソツ・ソワカ・ヲン・バザラド・シャコク」

それで、握った手刀を液体に向け振り下ろした。

「滅べやぁぁあ‼︎」

ーーーギィンッ。

九つに切った空間に、光の柵が浮かび上がり、それが見渡す全ての黒い液体を、触れる端から蒸発させていった。

ーーーマジか。

「お前…何故それが使えて、さっきのが使えない。」

「え、だって。ネット載ってなくない?」

「載っておるわぁ!」

「嘘…狐、ネット出来んの。?」


とにかく、だ。
俺と狐は無事だった。
あの黒くて臭い液体も無事に消えた。
漫画って馬鹿に出来ないいだぞ。

それは良かったんだが、枯れた草木は残念ながらそのままだった。

ファンタジーじゃねぇんだから。
そういうのは無し、か。
じゃあ、ドロップ品とかも無いのかな。
あれ、良いよな。

「なぁ、俺どうしたら良いの。」

「お前には主様から、有難い御役目をいただいておる。これ、その文を読め。主様は今時分の言語にも熟達されておる。小僧の為にわざわざ、筆を持ちしたためられたものだ。」

狐が何処からか、ズイと手紙を出してきた。
丁寧に茶封筒に入っており、封筒には〆の字まで書いてある。
三つ折りにされた、まるで書類の様なそれを開く。すると、そこには丁寧で美しい流れるような文字で、こう記してあった。



ーーー
【急募】
祟り神を手厚く祀りあげる簡単なお仕事です。

【合格通知】
榊 鱗太郎 殿
この度貴殿の採用が決定しましたので、
通知致します。
付きましては、同封しました書類にて、必要事項をご確認ください。

【採用に基づく詳細事項】
・期間:未定
・給与:歩合制
・資格:有り
・貸与:狐(個体名:紺)
・就業場所:とつくにの郷

ーーーーー

「なんじゃこりゃああああー!」

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