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九
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やっと、か。
とうとう、か。
身を起こした蘇芳が、熱い昂りを後ろに押し当てる。
「ん、あ……すおう……」
心の奥底に、怯えが顔を出す。
蘇芳に暴かれる、それは嫌なわけがない。
何が怖いのか、自分でもわからなかった。
けれど、一つだけ。
壊れかけた私の心を救ってくれたのは、蘇芳だった。
ただ一人、私を必要としてくれたのもまた、蘇芳だった。
当然、私の心の中心には蘇芳がいる。
真名も、交わした。
真名とは、命そのもの。
それを他者に教えるのは、この命を貴方に捧げると、貴方にならば殺されても良いと、告げることと同義。
蘇芳は幼かったから覚えていないだろうけれど、それでも。
心も、命も、既に蘇芳のもの。
これ以上、身体まで染められてしまったら、私はどうなってしまうのだろう。
そんな小さな引っかかりは、優しく頬を撫でる手の温もりに霧散する。
何度だって魅入られてしまう、綺麗な金色が見上げた先にあって。
そして。
一気に、奥まで貫かれた。
「はっ……う……!」
「く、ぁ……」
痛い。
苦しい。
息が、できない。
けれど。
私を焦がすその目が。
内側にある、自分のものではない脈動が。
愛おしくて、愛おしすぎて、胸が痛い。
堪えきれない想いが、涙となって溢れ出す。
知らなかった。
愛おしさが溢れてどうしようもない時は、涙まで溢れてしまうのだと。
抱きしめたくて伸ばした腕は、届かない。
届かなかった、けれど。
気付いた蘇芳がもう一度覆い被さってきた、その首に、腕を回す。
目尻に唇を寄せ、溢れる涙をそっと吸い取る蘇芳。
そのまま、軽く唇を啄まれる。
「ん……ふ……」
「は、ぁ……」
触れるだけの、優しい口付け。
目を細めるその仕草が、どこか満足気に見えて。
可愛くて、可愛くて、仕方がない。
本当にもう、どうしてくれよう。
「すおう……」
衝動のままに、蘇芳の唇を舐めた。
抵抗されないのをいいことに、腕に力を込めて抱き寄せる。
「兄上……?」
困惑の声をあげる蘇芳もまた可愛くて、唇を奪う。
舌を差し入れ、見よう見まねで絡み付く。
「ふ、んぅ……」
あれほど主張していた痛みはいつの間にか、じくじくと疼くだけの小さなものになっていた。
代わりに、快感の種火が胎の奥で燻り出す。
「ふ……ぅん……んんっ!?」
「っ……は、ぁ……」
ようやく圧迫感に馴染みつつあった中が、またも押し広げられる。
蘇芳が、私を抱き締めた。
息ができないほど、強く、強く。
何故か、は分からないけれど。
蘇芳がそれだけ私を求めてくれているような気がして、嬉しかった。
「ん……動くぞ、兄上」
荒い息遣いの合間に、掠れた囁きが落とされる。
同時に抜ける寸前まで腰を引いた蘇芳が、内壁を擦り上げながら奥を穿った。
あまりの衝撃に、目の前に星が散る。
「ん、あ、ああぁっ!」
「兄上……」
「あぁっ、あ、すお、う……ひぁんっ」
揺すられる度に口から飛び出る、自分のものとは思えないほど甘ったるい声。
堪えようとすれば蘇芳がより強く奥を突くものだから、堪える気は早々に失せる。
「あ、んぁっ、あぁっ、す、おう……ふ、あぁんっ」
耳元で聞こえる、蘇芳の押し殺した喘ぎが。
隙間なく触れ合う肌の熱さが。
胎の奥底で燻っていた知らない感覚を、快感という明確な形に導いていく。
その一つ一つを拾おうと、無意識に揺れる腰。
互いの腹に挟まれた私のものが、擦られてより快感を生む。
「は、あぁっ、ひああぁっ!?」
小さく、何かが弾けた。
何が起きたかもわからないまま、一段と攻めたてられ、翻弄される。
「んっ、あ、ひぁあんっ……すおう、すおう……っ」
「は、あ……兄上、兄上……!」
抱き込まれて動けないために、力強い律動は丸ごと、胎の奥に叩き付けられる。
何度も私を呼ぶ蘇芳。
どうせなら真名で、呼ばれて、呼びたかった。
蘇芳。
可愛くて、愛おしい、私の弟。
何よりも大切な、私の唯一。
もっと。
もっと深く、私を求めて。
骨の髄まで、全てを食らい尽くされたい。
けれど、そろそろ。
「ああっ、んっ……も、ぅ……あぁんっ、すお、う……!」
限界が近いと言外に訴えれば、心得たと、金色が応える。
一際大きく腰を引いた蘇芳は、上から突き下ろすように、奥を抉った。
「んぁっ、あ、ああぁぁ────!?」
「く、はっ……!」
目の前が弾け、全てが真っ白に染まる。
二人だけで、全く何も無い所に放り出されたような。
それとも、蘇芳と私以外、何もかも消えてしまったような。
不思議な感覚に、襲われる。
そして。
胎の奥で、熱い飛沫が爆ぜた。
注がれる熱が齎す快感が、波のように幾度も押し寄せる。
何度も何度も襲った波がようやく引いていった後に残ったのは、陽だまりにも似た余韻。
胎を満たす熱がじんわりと溶け出して、全身を巡っていく。
それがまるで、蘇芳に染められていっているようで。
幸せで、幸せで、たまらない。
額に柔らかく温かなものを感じてそちらに意識を向ければ、両瞼と唇にも同じ感触が与えられる。
視線が合った蘇芳へ心のままに微笑みかけると、その身体は頽れ、私の上に落ちてきた。
私よりも体格の良い蘇芳は、当然重い。
けれどその重みが、愛おしい。
熱を分け合う肌の感触も。
安心しきった穏やかな息遣いも。
蘇芳がここにいるのだと、教えてくれる。
肩口に預けられた頭を、ゆっくりと撫でていく。
案外柔らかな髪の手触りも、小さな頃から変わらない。
頭を撫でると安らいだため息を漏らすのもまた、変わらない。
もう少し。
あと少しだけでいいから。
この穏やかな時間を、味わっていたい。
そう願いながら、手を動かし続けた。
とうとう、か。
身を起こした蘇芳が、熱い昂りを後ろに押し当てる。
「ん、あ……すおう……」
心の奥底に、怯えが顔を出す。
蘇芳に暴かれる、それは嫌なわけがない。
何が怖いのか、自分でもわからなかった。
けれど、一つだけ。
壊れかけた私の心を救ってくれたのは、蘇芳だった。
ただ一人、私を必要としてくれたのもまた、蘇芳だった。
当然、私の心の中心には蘇芳がいる。
真名も、交わした。
真名とは、命そのもの。
それを他者に教えるのは、この命を貴方に捧げると、貴方にならば殺されても良いと、告げることと同義。
蘇芳は幼かったから覚えていないだろうけれど、それでも。
心も、命も、既に蘇芳のもの。
これ以上、身体まで染められてしまったら、私はどうなってしまうのだろう。
そんな小さな引っかかりは、優しく頬を撫でる手の温もりに霧散する。
何度だって魅入られてしまう、綺麗な金色が見上げた先にあって。
そして。
一気に、奥まで貫かれた。
「はっ……う……!」
「く、ぁ……」
痛い。
苦しい。
息が、できない。
けれど。
私を焦がすその目が。
内側にある、自分のものではない脈動が。
愛おしくて、愛おしすぎて、胸が痛い。
堪えきれない想いが、涙となって溢れ出す。
知らなかった。
愛おしさが溢れてどうしようもない時は、涙まで溢れてしまうのだと。
抱きしめたくて伸ばした腕は、届かない。
届かなかった、けれど。
気付いた蘇芳がもう一度覆い被さってきた、その首に、腕を回す。
目尻に唇を寄せ、溢れる涙をそっと吸い取る蘇芳。
そのまま、軽く唇を啄まれる。
「ん……ふ……」
「は、ぁ……」
触れるだけの、優しい口付け。
目を細めるその仕草が、どこか満足気に見えて。
可愛くて、可愛くて、仕方がない。
本当にもう、どうしてくれよう。
「すおう……」
衝動のままに、蘇芳の唇を舐めた。
抵抗されないのをいいことに、腕に力を込めて抱き寄せる。
「兄上……?」
困惑の声をあげる蘇芳もまた可愛くて、唇を奪う。
舌を差し入れ、見よう見まねで絡み付く。
「ふ、んぅ……」
あれほど主張していた痛みはいつの間にか、じくじくと疼くだけの小さなものになっていた。
代わりに、快感の種火が胎の奥で燻り出す。
「ふ……ぅん……んんっ!?」
「っ……は、ぁ……」
ようやく圧迫感に馴染みつつあった中が、またも押し広げられる。
蘇芳が、私を抱き締めた。
息ができないほど、強く、強く。
何故か、は分からないけれど。
蘇芳がそれだけ私を求めてくれているような気がして、嬉しかった。
「ん……動くぞ、兄上」
荒い息遣いの合間に、掠れた囁きが落とされる。
同時に抜ける寸前まで腰を引いた蘇芳が、内壁を擦り上げながら奥を穿った。
あまりの衝撃に、目の前に星が散る。
「ん、あ、ああぁっ!」
「兄上……」
「あぁっ、あ、すお、う……ひぁんっ」
揺すられる度に口から飛び出る、自分のものとは思えないほど甘ったるい声。
堪えようとすれば蘇芳がより強く奥を突くものだから、堪える気は早々に失せる。
「あ、んぁっ、あぁっ、す、おう……ふ、あぁんっ」
耳元で聞こえる、蘇芳の押し殺した喘ぎが。
隙間なく触れ合う肌の熱さが。
胎の奥底で燻っていた知らない感覚を、快感という明確な形に導いていく。
その一つ一つを拾おうと、無意識に揺れる腰。
互いの腹に挟まれた私のものが、擦られてより快感を生む。
「は、あぁっ、ひああぁっ!?」
小さく、何かが弾けた。
何が起きたかもわからないまま、一段と攻めたてられ、翻弄される。
「んっ、あ、ひぁあんっ……すおう、すおう……っ」
「は、あ……兄上、兄上……!」
抱き込まれて動けないために、力強い律動は丸ごと、胎の奥に叩き付けられる。
何度も私を呼ぶ蘇芳。
どうせなら真名で、呼ばれて、呼びたかった。
蘇芳。
可愛くて、愛おしい、私の弟。
何よりも大切な、私の唯一。
もっと。
もっと深く、私を求めて。
骨の髄まで、全てを食らい尽くされたい。
けれど、そろそろ。
「ああっ、んっ……も、ぅ……あぁんっ、すお、う……!」
限界が近いと言外に訴えれば、心得たと、金色が応える。
一際大きく腰を引いた蘇芳は、上から突き下ろすように、奥を抉った。
「んぁっ、あ、ああぁぁ────!?」
「く、はっ……!」
目の前が弾け、全てが真っ白に染まる。
二人だけで、全く何も無い所に放り出されたような。
それとも、蘇芳と私以外、何もかも消えてしまったような。
不思議な感覚に、襲われる。
そして。
胎の奥で、熱い飛沫が爆ぜた。
注がれる熱が齎す快感が、波のように幾度も押し寄せる。
何度も何度も襲った波がようやく引いていった後に残ったのは、陽だまりにも似た余韻。
胎を満たす熱がじんわりと溶け出して、全身を巡っていく。
それがまるで、蘇芳に染められていっているようで。
幸せで、幸せで、たまらない。
額に柔らかく温かなものを感じてそちらに意識を向ければ、両瞼と唇にも同じ感触が与えられる。
視線が合った蘇芳へ心のままに微笑みかけると、その身体は頽れ、私の上に落ちてきた。
私よりも体格の良い蘇芳は、当然重い。
けれどその重みが、愛おしい。
熱を分け合う肌の感触も。
安心しきった穏やかな息遣いも。
蘇芳がここにいるのだと、教えてくれる。
肩口に預けられた頭を、ゆっくりと撫でていく。
案外柔らかな髪の手触りも、小さな頃から変わらない。
頭を撫でると安らいだため息を漏らすのもまた、変わらない。
もう少し。
あと少しだけでいいから。
この穏やかな時間を、味わっていたい。
そう願いながら、手を動かし続けた。
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