ドレス愛が止まりませんっ!〜ドレス大好き令嬢のデザイナー生活〜

浦藤はるか

文字の大きさ
2 / 22
本編

#1 はじまり

しおりを挟む
私、クリスフォート・リリアナの一日はドレスで埋め尽くされている。

ふわふわなフリル、細やかで繊細なレース。
リボンいっぱいの可愛いドレスから艶やかな美しいドレスまで、とにかくドレスが好き。大好き。めちゃくちゃ好きなのだ。
もちろん他のお洋服も好き。上にまとったりするものや普段よく着るワンピースとか。

これは私のドレス好きから始まる物語ーーー





「うふふっ、ふふっ、ふふふっうふふふ...」

「お嬢様起きてちょうだい、時間よ...お嬢様っ!」

「ふふっうふふふっ...」

「お嬢様! 今日はドレスのデザイン画を書くのでしょう? 時間が無くなるわよ」

「うーん......ふぁぁ! おはよう、サリー」

「えぇおはよう。5分オーバーよ。もう休日だからって気を緩めないでよね」

「え~だってね、今日はたくさんのドレスに囲まれる夢を見ていたのよ、仕方がないと思わない?」 

「はぁ、また変な夢を見ていたのね。ドレス馬鹿もいい加減にしてよ」


ふわぁ眠いわ。いい夢見たわね、夢の中に戻りたい。あんなに沢山のドレスがあったらどれだけ素敵なことでしょう。私の理想の場所そのものだったわ。
どれでも選び放題、見放題、触り放題なんだから!

それにしても、サリーったらまた毒舌が出てる。

私の専属侍女のサリーとは生まれてから、16年の付き合いだ。幼い頃はよく一緒に遊んでいて、貴族と平民だけど上下関係がない唯一無二の親友である。サリーが言うにはこんな関係珍しいらしいけど。でも親友としか言えない仲よね。
平民とか貴族とか関係なく仲良しじゃダメなのかしら?


「で、今日はどのドレスにする?」

「サリー、今日は...右からそうね、2番目のワンピースに、編んだ小花柄のストールにして」

「若草色のね、いいと思うけど⋯⋯。最近このワンピース着すぎじゃない?」

「いいじゃない。だってそれしかないのだもの。今日のイメージに合うのは。休日だしゆるゆるしたワンピースが着たいの」


毎朝決める服は、季節などを考えて決めている。しかし選べる服、ドレスの数は決して多くない。夢のように選び放題とはいかないのだ。それには訳がある。

私はクリスフォート侯爵家の長女リリアナ。

双子の姉で、妹にローズマリーがいる。
そして私はその妹に全てを持っていかれているのだ。お母様からの愛、ドレス、宝飾類、etc⋯⋯。

数え上げたらキリがないわ。幼い頃はこんなんじゃなかったのに。ワガママな子になってしまった。溺愛していらっしゃるお母様のせいかしら。最近は近づいてもあまりいいことがないから、できるだけ避けるようにしている。本当にもう嫌い。

そして唯一私と妹を平等に扱ってくださるお父様は、お仕事の関係で諸外国を走り回っている。
いつもお忙しそうでなかなか会えないの。
年に2、3回帰ってきたら良い方。
でもたまにお話する時には、色んなお話を聞いてくださるのよ。

そんな訳で私の家ではお母様がお父様の分も含めて、全てを取り仕切ってる。だからお母様に溺愛されているローズマリーは贅沢し放題、わがまま言い放題。

侯爵家だし、お金はそれなりにあって裕福なのだけれど、私の為のお金までローズマリーのものになっている。だから私はドレス、アクセサリーは勿論、全てのものが必要最低限しかないのだ。


「お嬢様も、もっと強く言ってやったらいいじゃない。さすがに侯爵家令嬢としてこの服の数は少な過ぎるわよ。もう少しワガママになっても罰は当たらないと思うわ」

「そうね、でも私には欲しいものがないし」

「ドレスは欲しくないの? 一時期すごく言っていたじゃない、ドレスいっぱい着たいって」

「あ~そうね、でもきっとローズマリーの方が似合うし。どうせまたローズマリーに奪われるもの」


ずっと前にお気に入りだったドレス一式をローズマリーに奪われてからはもう諦めている。
ローズマリーは昔から色んなものを沢山持っているのに、私のものばかりどんどん奪っていくのだ。ほんの些細なものでも。やめて欲しいけど私には力がないから、なにかした所でより酷くなるのは目に見えている。だから反論も出来ない。


「いいえ、お嬢様の方が似合うわ。魅力に気づいていないだけよっ! いつも言ってるでしょう。あーあのワガママ娘は」

「ありがとうサリー、でもいいのよ。だって私はドレスそのものが好きなだけだし、近くで見れるだけで十分。高望みはしないわ。それに最近はドレスの絵を書くことがとっても楽しいもの」

「本当にお嬢様はいい人ね。人生損しているわよ」

「そんなことはないわ、サリー。だって信頼出来る友人がいるでしょう、好きなドレスに関われるし、それに美味しいスイーツだってたまに食べられる。ほらねとても充実してるわ。あと...もう出来るだけローズマリーには近づきたくないのよ。面倒くさいことには巻き込まれたくないから」

「そうね、ややこしくなっちゃうもんね」


朝からため息をついた私たちは身支度を整えていく。
若葉のように軽やかに、サラサラと流れるラインの美しいワンピースを身にまとうとドロドロした感情はどこかに流されていった。





しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

置き去りにされた転生シンママはご落胤を秘かに育てるも、モトサヤはご容赦のほどを 

青の雀
恋愛
シンママから玉の輿婚へ 学生時代から付き合っていた王太子のレオンハルト・バルセロナ殿下に、ある日突然、旅先で置き去りにされてしまう。 お忍び旅行で来ていたので、誰も二人の居場所を知らなく、両親のどちらかが亡くなった時にしか発動しないはずの「血の呪縛」魔法を使われた。 お腹には、殿下との子供を宿しているというのに、政略結婚をするため、バレンシア・セレナーデ公爵令嬢が邪魔になったという理由だけで、あっけなく捨てられてしまったのだ。 レオンハルトは当初、バレンシアを置き去りにする意図はなく、すぐに戻ってくるつもりでいた。 でも、王都に戻ったレオンハルトは、そのまま結婚式を挙げさせられることになる。 お相手は隣国の王女アレキサンドラ。 アレキサンドラとレオンハルトは、形式の上だけの夫婦となるが、レオンハルトには心の妻であるバレンシアがいるので、指1本アレキサンドラに触れることはない。 バレンシアガ置き去りにされて、2年が経った頃、白い結婚に不満をあらわにしたアレキサンドラは、ついに、バレンシアとその王子の存在に気付き、ご落胤である王子を手に入れようと画策するが、どれも失敗に終わってしまう。 バレンシアは、前世、京都の餅菓子屋の一人娘として、シンママをしながら子供を育てた経験があり、今世もパティシエとしての腕を生かし、パンに製菓を売り歩く行商になり、王子を育てていく。 せっかくなので、家庭でできる餅菓子レシピを載せることにしました

【完結】脇役令嬢だって死にたくない

⚪︎
恋愛
自分はただの、ヒロインとヒーローの恋愛を発展させるために呆気なく死ぬ脇役令嬢──そんな運命、納得できるわけがない。 ※ざまぁは後半

王太子妃専属侍女の結婚事情

蒼あかり
恋愛
伯爵家の令嬢シンシアは、ラドフォード王国 王太子妃の専属侍女だ。 未だ婚約者のいない彼女のために、王太子と王太子妃の命で見合いをすることに。 相手は王太子の側近セドリック。 ところが、幼い見た目とは裏腹に令嬢らしからぬはっきりとした物言いのキツイ性格のシンシアは、それが元でお見合いをこじらせてしまうことに。 そんな二人の行く末は......。 ☆恋愛色は薄めです。 ☆完結、予約投稿済み。 新年一作目は頑張ってハッピーエンドにしてみました。 ふたりの喧嘩のような言い合いを楽しんでいただければと思います。 そこまで激しくはないですが、そういうのが苦手な方はご遠慮ください。 よろしくお願いいたします。

「美しい女性(ヒト)、貴女は一体、誰なのですか?」・・・って、オメエの嫁だよ

猫枕
恋愛
家の事情で12才でウェスペル家に嫁いだイリス。 当時20才だった旦那ラドヤードは子供のイリスをまったく相手にせず、田舎の領地に閉じ込めてしまった。 それから4年、イリスの実家ルーチェンス家はウェスペル家への借金を返済し、負い目のなくなったイリスは婚姻の無効を訴える準備を着々と整えていた。 そんなある日、領地に視察にやってきた形だけの夫ラドヤードとばったり出くわしてしまう。 美しく成長した妻を目にしたラドヤードは一目でイリスに恋をする。 「美しいひとよ、貴女は一体誰なのですか?」 『・・・・オメエの嫁だよ』 執着されたらかなわんと、逃げるイリスの運命は?

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

【完結】後宮の片隅にいた王女を拾いましたが、才女すぎて妃にしたくなりました

藤原遊
恋愛
【溺愛・成長・政略・糖度高め】 ※ヒーロー目線で進んでいきます。 王位継承権を放棄し、外交を司る第六王子ユーリ・サファイア・アレスト。 ある日、後宮の片隅でひっそりと暮らす少女――カティア・アゲート・アレストに出会う。 不遇の生まれながらも聡明で健気な少女を、ユーリは自らの正妃候補として引き取る決断を下す。 才能を開花させ成長していくカティア。 そして、次第に彼女を「妹」としてではなく「たった一人の妃」として深く愛していくユーリ。 立場も政略も超えた二人の絆が、やがて王宮の静かな波紋を生んでいく──。 「私はもう一人ではありませんわ、ユーリ」 「これからも、私の隣には君がいる」 甘く静かな後宮成長溺愛物語、ここに開幕。

次期騎士団長の秘密を知ってしまったら、迫られ捕まってしまいました

Karamimi
恋愛
侯爵令嬢で貴族学院2年のルミナスは、元騎士団長だった父親を8歳の時に魔物討伐で亡くした。一家の大黒柱だった父を亡くしたことで、次期騎士団長と期待されていた兄は騎士団を辞め、12歳という若さで侯爵を継いだ。 そんな兄を支えていたルミナスは、ある日貴族学院3年、公爵令息カルロスの意外な姿を見てしまった。学院卒院後は騎士団長になる事も決まっているうえ、容姿端麗で勉学、武術も優れているまさに完璧公爵令息の彼とはあまりにも違う姿に、笑いが止まらない。 お兄様の夢だった騎士団長の座を奪ったと、一方的にカルロスを嫌っていたルミナスだが、さすがにこの秘密は墓場まで持って行こう。そう決めていたのだが、翌日カルロスに捕まり、鼻息荒く迫って来る姿にドン引きのルミナス。 挙句の果てに“ルミタン”だなんて呼ぶ始末。もうあの男に関わるのはやめよう、そう思っていたのに… 意地っ張りで素直になれない令嬢、ルミナスと、ちょっと気持ち悪いがルミナスを誰よりも愛している次期騎士団長、カルロスが幸せになるまでのお話しです。 よろしくお願いしますm(__)m

処理中です...