3 / 22
本編
#2 朝食
しおりを挟む
3/14 リリアナの愛称をリナ→アナに変更しました。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ドレスに着替え終わった私は、朝食を食べるため食堂に向かう。廊下は窓が空いていて、肌に触れる空気が少し冷たい。食堂に入るとまだ誰も居なかった。
お母様達はいつもそうだ。時間を全然守らない。自由奔放な迷惑な人達だわ。ため息を着くと、いつもの席に座る。暇だし本でも、と思い常備されている本を手に取った。
そして10分後。にぎやかな話し声がどんどん近づいてくる。お母様、そんなに元気なら早く来てよ。もう一話読み終わっちゃったわよ。顔には出さないけど心の中ではどうしても不満が出てしまう。仕方ないよね。お腹がすいたもの。
「おはよう、アナ」
「おはよーございます、お姉様っ」
「おはようございます。お母様、ローズマリー」
遅れたことを遅れたと思ってもいない様子で爽やかに挨拶してくる始末。これが私の日常ね、と思ってまた密やかにため息1つをついた。
「ふふっ。ローズは、今日も元気ね。アナは最近どう? 」
「えぇ、それなりに。元気にやってますわ」
そうそう、母親はいくら妹を溺愛していると言ってもそれなりには私と接してくださる。物語に出てくるような、見下してくるタイプの悪い母親では無い。意地悪でもない。
ただ、ちょっとね、そう思い込みだったりが強いひとなのだ。
どちらかと言うと妹の方が......。
そんな事を考えているうちにご飯が運ばれてきた。今日もとっても美味しそう。待っている間が少し寒かったからスープの温かさが身に染みる。後で料理長にお礼を伝えに行こうかな。使用人達とは仲が良い。昨日もささやかだが、お菓子パーティーを使用人を呼んで行った。皆で輪になって甘いものを食べる。この上ない幸せ。
そうして朝ごはんを食べ出して少したった時だった。
「そうだ! ねぇねぇお母様っ。来月、学園で仮面舞踏会があるの。新しいドレスが欲しいなぁ~!」
「あら、そうなの。じゃあ新しいものを頼みましょうね」
あぁそういえば仮面舞踏会があるんだった。なかなか無いドレスを見放題の日! 忘れていたわ、来月が楽しみ。
私達が通うグレース学園では年に2回パーティーが催される。仮面舞踏会と学年末パーティー。学園は貴族令嬢と子息がほぼ皆通っていて、婚約者を探したり、交流を深める大切な場でもあるからだ。
仮面舞踏会ではその名の通り仮面をつけて踊る。仮面で顔が分からないから身分関係なしに話すことが出来て、この場で出会う人たちも多い。エスコート制度もなくて比較的自由なパーティーである。
学年末パーティーは学年の終わりにあるから皆が1番力を入れてくるの。豪華でキラキラしているのよ。正式な格式高いパーティーになるからエスコートは勿論、色んなマナーを守らないといけない。大きな発表だったりの場でもある。婚約発表とかね。ドレスも豪華な人が多くて見応えたっぷりなの。
「ローズはどこのドレスがいいかしら?」
「私、ルーナシャインのドレスがいいなぁ。最近密かに流行っているらしいし。私が着てあげてもいいかなーって。私なら絶対似合うと思うの」
「そうなのね、えぇ本当はそうしてあげたいのだけど・・・・・・聞くところによると、なかなか予約が取れないらしいじゃない? ローズ」
えっと、『ルーナシャイン』か。聞いたことないわね、後で調べてみようっと。思わぬ収穫だ。ローズマリーは流行にとても敏感ね、一応今季のトレンドは調べてるけど最近は忙しくって。ブランドまではなかなか追いかけられてなかったわ。これが私が唯一ローズマリーに感謝することね。
って、このレーズンパン美味しい~!おれい確定ね!料理長に言ってまた次も出してもらいましょう。
「侯爵家の力でどうにかならないのぉ? ねぇお母様ったら、お願いっ!」
「愛するローズのお願いだしね、頼みに行かせるけど。ローズそうね学年末パーティーのドレスの予約なら行けるかもしれないわ」
「あっじゃあ、お母様それでいいわ。学年末パーティー用に頼んでおいて! あとその代わりに仮面舞踏会用は、いつものところで飛びっきり豪華にして欲しいなっ! 」
「えぇもちろんローズにピッタリの可愛いドレスにしましょうね。アナの分は......」
「お姉様はいいよね?いらないよね」
「えぇそれでいいわ」
私のドレス費用はローズマリーのものだ。いつの間にか出来上がっていた暗黙のルール。
そろそろ新しいドレスを着たかったけれど......。仕方がない。仮面舞踏会はどのドレスで行こうかな。
「うふふっありがとうお姉様! あっ、それじゃあ可哀想だからお姉様の為に私のたぁくさんあるドレスの中から似合うのを譲ってあげるわ」
「まぁローズはとっても優しい子ね」
優しいって? 本当に優しい子はこんな風に自分だけドレス作ったりしないわよ。上から目線じゃないし。
それより、いつもは言い出さないのに、急にローズマリーがこんなことを言い出すだなんて怪しすぎるわ。何か企んでいそう。あの子は私のことをなぜか目の敵にしていて、いつも嫌がらせをしてくるのだ。けれど私は、
「ありがとうローズマリー」
分かっていてもこう答えることしか出来ない。うっすらとにこやかな笑みを作る。
下手なことを言うと余計に酷くなると知っているの。
私は後で自分の無力さを嘆く事しか出来ないわ。
「じゃあお姉様はあとで私の部屋までドレスを取りに来てちょうだいね」
悪い笑みを浮かべた妹に嫌な予感がしかない。ため息をひっそりとついた私は朝食を食べ進めた。憂鬱だ。せっかくの休日なのに。
さっきまでとっても美味しかったはずの朝ご飯の味を全く感じなくなった。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ドレスに着替え終わった私は、朝食を食べるため食堂に向かう。廊下は窓が空いていて、肌に触れる空気が少し冷たい。食堂に入るとまだ誰も居なかった。
お母様達はいつもそうだ。時間を全然守らない。自由奔放な迷惑な人達だわ。ため息を着くと、いつもの席に座る。暇だし本でも、と思い常備されている本を手に取った。
そして10分後。にぎやかな話し声がどんどん近づいてくる。お母様、そんなに元気なら早く来てよ。もう一話読み終わっちゃったわよ。顔には出さないけど心の中ではどうしても不満が出てしまう。仕方ないよね。お腹がすいたもの。
「おはよう、アナ」
「おはよーございます、お姉様っ」
「おはようございます。お母様、ローズマリー」
遅れたことを遅れたと思ってもいない様子で爽やかに挨拶してくる始末。これが私の日常ね、と思ってまた密やかにため息1つをついた。
「ふふっ。ローズは、今日も元気ね。アナは最近どう? 」
「えぇ、それなりに。元気にやってますわ」
そうそう、母親はいくら妹を溺愛していると言ってもそれなりには私と接してくださる。物語に出てくるような、見下してくるタイプの悪い母親では無い。意地悪でもない。
ただ、ちょっとね、そう思い込みだったりが強いひとなのだ。
どちらかと言うと妹の方が......。
そんな事を考えているうちにご飯が運ばれてきた。今日もとっても美味しそう。待っている間が少し寒かったからスープの温かさが身に染みる。後で料理長にお礼を伝えに行こうかな。使用人達とは仲が良い。昨日もささやかだが、お菓子パーティーを使用人を呼んで行った。皆で輪になって甘いものを食べる。この上ない幸せ。
そうして朝ごはんを食べ出して少したった時だった。
「そうだ! ねぇねぇお母様っ。来月、学園で仮面舞踏会があるの。新しいドレスが欲しいなぁ~!」
「あら、そうなの。じゃあ新しいものを頼みましょうね」
あぁそういえば仮面舞踏会があるんだった。なかなか無いドレスを見放題の日! 忘れていたわ、来月が楽しみ。
私達が通うグレース学園では年に2回パーティーが催される。仮面舞踏会と学年末パーティー。学園は貴族令嬢と子息がほぼ皆通っていて、婚約者を探したり、交流を深める大切な場でもあるからだ。
仮面舞踏会ではその名の通り仮面をつけて踊る。仮面で顔が分からないから身分関係なしに話すことが出来て、この場で出会う人たちも多い。エスコート制度もなくて比較的自由なパーティーである。
学年末パーティーは学年の終わりにあるから皆が1番力を入れてくるの。豪華でキラキラしているのよ。正式な格式高いパーティーになるからエスコートは勿論、色んなマナーを守らないといけない。大きな発表だったりの場でもある。婚約発表とかね。ドレスも豪華な人が多くて見応えたっぷりなの。
「ローズはどこのドレスがいいかしら?」
「私、ルーナシャインのドレスがいいなぁ。最近密かに流行っているらしいし。私が着てあげてもいいかなーって。私なら絶対似合うと思うの」
「そうなのね、えぇ本当はそうしてあげたいのだけど・・・・・・聞くところによると、なかなか予約が取れないらしいじゃない? ローズ」
えっと、『ルーナシャイン』か。聞いたことないわね、後で調べてみようっと。思わぬ収穫だ。ローズマリーは流行にとても敏感ね、一応今季のトレンドは調べてるけど最近は忙しくって。ブランドまではなかなか追いかけられてなかったわ。これが私が唯一ローズマリーに感謝することね。
って、このレーズンパン美味しい~!おれい確定ね!料理長に言ってまた次も出してもらいましょう。
「侯爵家の力でどうにかならないのぉ? ねぇお母様ったら、お願いっ!」
「愛するローズのお願いだしね、頼みに行かせるけど。ローズそうね学年末パーティーのドレスの予約なら行けるかもしれないわ」
「あっじゃあ、お母様それでいいわ。学年末パーティー用に頼んでおいて! あとその代わりに仮面舞踏会用は、いつものところで飛びっきり豪華にして欲しいなっ! 」
「えぇもちろんローズにピッタリの可愛いドレスにしましょうね。アナの分は......」
「お姉様はいいよね?いらないよね」
「えぇそれでいいわ」
私のドレス費用はローズマリーのものだ。いつの間にか出来上がっていた暗黙のルール。
そろそろ新しいドレスを着たかったけれど......。仕方がない。仮面舞踏会はどのドレスで行こうかな。
「うふふっありがとうお姉様! あっ、それじゃあ可哀想だからお姉様の為に私のたぁくさんあるドレスの中から似合うのを譲ってあげるわ」
「まぁローズはとっても優しい子ね」
優しいって? 本当に優しい子はこんな風に自分だけドレス作ったりしないわよ。上から目線じゃないし。
それより、いつもは言い出さないのに、急にローズマリーがこんなことを言い出すだなんて怪しすぎるわ。何か企んでいそう。あの子は私のことをなぜか目の敵にしていて、いつも嫌がらせをしてくるのだ。けれど私は、
「ありがとうローズマリー」
分かっていてもこう答えることしか出来ない。うっすらとにこやかな笑みを作る。
下手なことを言うと余計に酷くなると知っているの。
私は後で自分の無力さを嘆く事しか出来ないわ。
「じゃあお姉様はあとで私の部屋までドレスを取りに来てちょうだいね」
悪い笑みを浮かべた妹に嫌な予感がしかない。ため息をひっそりとついた私は朝食を食べ進めた。憂鬱だ。せっかくの休日なのに。
さっきまでとっても美味しかったはずの朝ご飯の味を全く感じなくなった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
公爵家の次女ですが、静かに学園生活を送るつもりでした
佐伯かなた
恋愛
王国でも屈指の名門、公爵アルヴィス家。
その家には、誰もが称賛する完璧な令嬢がいた。
長女ソフィア。
美貌、知性、礼儀、すべてを備えた理想の公爵令嬢。
そして──もう一人。
妹、レーネ・アルヴィス。
社交界ではほとんど名前も出ない、影の薄い次女。
姉ほど目立つわけでもなく、社交の中心にいるわけでもない。
だが彼女は知っている。
貴族社会では、
誰が本当に優れているのかは、静かな場面でこそ分かるということを。
王立学園に入学したレーネは、
礼儀作法、社交、そして人間関係の中で、静かに周囲を観察していく。
やがて──
軽んじていた者たちは気づく。
「公爵家の妹」が、本当はどんな令嬢だったのかを。
これは、
静かな公爵令嬢が学園と貴族社会で評価を覆していく物語。
完璧な政略結婚のはずでしたが、宰相閣下の“私の妻”扱いが甘すぎます
星乃和花
恋愛
政略結婚のはずでした。
家同士の利も、立場の釣り合いも、全部きちんと整った、完璧に合理的な結婚。
……なのに、夫となった冷徹宰相は、なぜか人前で私を「最高の妻」と紹介し、暮らしを完璧に整え、他人に近づかれると不機嫌になってしまいます。
“天使”と噂される穏やかな令嬢フィオナもまた、
そんな不器用な優しさに少しずつ心をほどかれて――。
これは、条件で選ばれたはずの夫婦が、
いつの間にかお互いを“ただ一人”として欲しくなるまでの、甘くてやさしい政略結婚物語。
(毎日21:50更新ー全8話)
置き去りにされた転生シンママはご落胤を秘かに育てるも、モトサヤはご容赦のほどを
青の雀
恋愛
シンママから玉の輿婚へ
学生時代から付き合っていた王太子のレオンハルト・バルセロナ殿下に、ある日突然、旅先で置き去りにされてしまう。
お忍び旅行で来ていたので、誰も二人の居場所を知らなく、両親のどちらかが亡くなった時にしか発動しないはずの「血の呪縛」魔法を使われた。
お腹には、殿下との子供を宿しているというのに、政略結婚をするため、バレンシア・セレナーデ公爵令嬢が邪魔になったという理由だけで、あっけなく捨てられてしまったのだ。
レオンハルトは当初、バレンシアを置き去りにする意図はなく、すぐに戻ってくるつもりでいた。
でも、王都に戻ったレオンハルトは、そのまま結婚式を挙げさせられることになる。
お相手は隣国の王女アレキサンドラ。
アレキサンドラとレオンハルトは、形式の上だけの夫婦となるが、レオンハルトには心の妻であるバレンシアがいるので、指1本アレキサンドラに触れることはない。
バレンシアガ置き去りにされて、2年が経った頃、白い結婚に不満をあらわにしたアレキサンドラは、ついに、バレンシアとその王子の存在に気付き、ご落胤である王子を手に入れようと画策するが、どれも失敗に終わってしまう。
バレンシアは、前世、京都の餅菓子屋の一人娘として、シンママをしながら子供を育てた経験があり、今世もパティシエとしての腕を生かし、パンに製菓を売り歩く行商になり、王子を育てていく。
せっかくなので、家庭でできる餅菓子レシピを載せることにしました
王太子妃専属侍女の結婚事情
蒼あかり
恋愛
伯爵家の令嬢シンシアは、ラドフォード王国 王太子妃の専属侍女だ。
未だ婚約者のいない彼女のために、王太子と王太子妃の命で見合いをすることに。
相手は王太子の側近セドリック。
ところが、幼い見た目とは裏腹に令嬢らしからぬはっきりとした物言いのキツイ性格のシンシアは、それが元でお見合いをこじらせてしまうことに。
そんな二人の行く末は......。
☆恋愛色は薄めです。
☆完結、予約投稿済み。
新年一作目は頑張ってハッピーエンドにしてみました。
ふたりの喧嘩のような言い合いを楽しんでいただければと思います。
そこまで激しくはないですが、そういうのが苦手な方はご遠慮ください。
よろしくお願いいたします。
「美しい女性(ヒト)、貴女は一体、誰なのですか?」・・・って、オメエの嫁だよ
猫枕
恋愛
家の事情で12才でウェスペル家に嫁いだイリス。
当時20才だった旦那ラドヤードは子供のイリスをまったく相手にせず、田舎の領地に閉じ込めてしまった。
それから4年、イリスの実家ルーチェンス家はウェスペル家への借金を返済し、負い目のなくなったイリスは婚姻の無効を訴える準備を着々と整えていた。
そんなある日、領地に視察にやってきた形だけの夫ラドヤードとばったり出くわしてしまう。
美しく成長した妻を目にしたラドヤードは一目でイリスに恋をする。
「美しいひとよ、貴女は一体誰なのですか?」
『・・・・オメエの嫁だよ』
執着されたらかなわんと、逃げるイリスの運命は?
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる