19 / 22
本編
#18 鋭い勘
しおりを挟む
「ところでアナ? 私に隠していることあるんじゃない?」
「そ、それは......」
暖かな日差しのそそぐテラスで私は今絶賛ピンチ中。親友の令嬢ジュリーとオシャレなカフェでたわいもない話をしてたって言うのに急にジュリーがぶっ込んできた。
コトッとティーカップをおいてこちらを見つめてくる。
あー実は私、まだジュリーにウィンのこと言えてないのよね。話そう話そうと思っているうちに何日かたってしまって話す機会を失った。別にやましいことなんてないのになんか罪悪感があって......。そもそもあまり人に言うことではない気がするし。確認はとっていないが、ウィン側も秘密にしておきたそうだったから。
「......まさかそんなこと無いわ。ふふふっ。 ね、ねぇほらジュリー明日って何が提出物だったかしら」
「自分の家の歴史について述べたレポートと、129ページの詩を書き写して内容整理したものね。それで貴女は何を私に秘密にしているのかしら」
「おほほほ......なんにも無いわジュリー」
「アナったら、かたくなねぇ。私たち親友じゃない。これまで色んなこと包み隠さず2人で話してきたっていうのに、喋ってくれないなんてかなしいわ......」
絶世の美女といっても過言ではないジュリーが、伏せ目がちにゆるゆら揺れる紅茶の水面を見つめるのは、同性の私から見てもとても美しい。思わず言ってしまいそうになるが、すんでのところで言葉を飲み込んだ。
「ごめんね、その隠しているつもりは無いのだけど、別に大したことじゃないっていうか」
「ふぅん、そう。まぁいいわ」
「それじゃあジュリー、」
「私の考察を発表させていただくわね? 」
──────!?
ジュリーったらどうしてそうなるの!?
私の無言の抗議の目線も気にせず、ジュリーは左手でくるくる手前の髪をすくい取りながら話し出す。
「まずは何から話そうかしらね......アナの様子が変わったのは少し前にあった仮面舞踏会からだったわ。それ以降いくつもの変化が見て取れて完全に何かあるに違いないって思ったの。あぁ例えばアナ? 最近は帰りを急いでいるというか、授業が終わってから教室を出るのが早くなったわね」
「そういうことなら早く屋敷に帰りたかっただけよ」
「いいえ違うわ。私ちゃんと窓から外を見て、クリスフォート家の馬車が出ていないって確認しているもの」
「図書室に用事が、」
「それも違うわよね。図書室とは真逆の方向の別館へと続く廊下にいる所を、私の侍女が目撃しているわ」
「そう......ジュリーは抜かりないわね」
「それに最近話している時に上の空のときが増えてるの。なにより時折私に何かを言いたそうな顔をしてる」
さすがの観察力!!! 鋭すぎるわ!
長い付き合いとはいえ、公爵家令嬢って。私の心が完璧によまれている。私は社交界ではマストのこういった駆け引きはあまり得意でない。
「アナ、仮面舞踏会でなにかあったのよね」
「・・・・・・」
「私が聞きたいのはこれ。......ねぇアナ、貴女いったいそんなに私に嘘をついてまで、誰と会っているの? 」
ここまできたらジュリーに言うべきなのだろうか、ウィンの許可をとっていない状態で言うのはどうしても躊躇われる。
「答えてアナ。そんなに私はアナにとって信用ならないかしら? そうそう、アナが答えてくれたらこれをプレゼントするわ。まだ中々手に入らないって噂の新しいパンフレットよ」
迷うこと数十秒。私は決めた。
新作の分厚いパンフレットにつられたとかは断じて違う。表紙だけでもう最高って分かるパンフレットが貰えるから、じゃなくて。本当に、本当に違うけど、ジュリーにウィンについてはふせて話すことにした。
「えっと詳しくは話せないんだけど。ジュリー、私は仮面舞踏会でその......」
ジュリーが目を輝かせて身を乗り出してくる。なんと言えば正解かよく分からないけど、そっと口を開く。
「人生初のドレ友ができたの! 」
「素敵な方に出会ったんでしょう?」
あれー? ぱちくりと目を瞬かせて机越しに見つめ合う。イケイケ探偵さんモードから急に勢いがなくなったジュリーがそっと呟いた。
「ドレ友......? 」
☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆
ドレ友についてのあらかたの説明が終わってようやく一段落ついた。今は2人で一緒に注文した、リペホのジュースを飲みながら語り合っている。
「もう私ったら、仮面舞踏会で前に話していたみたいに運命的な出会いがアナに起こったんだとばっかり思っていたのよ! なんで教えてくれないんだろうって1人モヤモヤしていたら、まさかドレ友だったとは。推理がはずれちゃったわ」
「ごめんねジュリー、私も驚いちゃったわ。どんどんジュリーが推理を詰めていくからどうしようかしらって」
「ふふふっ。アナ、そうだ! その子に会うことって難しいかしら? 私一度アナの友達に会ってみたいわ」
「そうね、今はまだ難しいかもしれないわ。一応話してみるけど......」
最近はほぼ毎日のようにあの場所へ通いつめている。一緒に資料を見る日もあれば、実際にこの前私が作ったドレスを持ってきて、ウィンに色んな感想を聞いたり。ちなみに私の作ったドレスは現在教室内のトルソーに着せて飾られてある。
でもウィンは学年も違うのもあってか、あの場所以外では見たことがない。あまり詳しいことは知らないし......。まずは私がジュリーぐらい、までいくと難しいかもしれないけど、そのくらいウィンと仲良くなってからじゃないとね。
「そうよね、あー! でも本当に謎が解けてよかったわ。そうそうこれ、パンフレット忘れないうちに」
「本当にいいの!? ありがとう!」
「伝手があるからね、ひと足早く新作パンフレットを見れたら喜ぶかなって、元々アナのために手配したのよ」
優しいぃぃぃ! ジュリーへの感謝は止まらない。
家に帰って読むのが楽しみだ。読み込んだらウィンとも共有して一緒にまた見ることにしよう。
その後も楽しい女子会は続いていくのだった。
「そ、それは......」
暖かな日差しのそそぐテラスで私は今絶賛ピンチ中。親友の令嬢ジュリーとオシャレなカフェでたわいもない話をしてたって言うのに急にジュリーがぶっ込んできた。
コトッとティーカップをおいてこちらを見つめてくる。
あー実は私、まだジュリーにウィンのこと言えてないのよね。話そう話そうと思っているうちに何日かたってしまって話す機会を失った。別にやましいことなんてないのになんか罪悪感があって......。そもそもあまり人に言うことではない気がするし。確認はとっていないが、ウィン側も秘密にしておきたそうだったから。
「......まさかそんなこと無いわ。ふふふっ。 ね、ねぇほらジュリー明日って何が提出物だったかしら」
「自分の家の歴史について述べたレポートと、129ページの詩を書き写して内容整理したものね。それで貴女は何を私に秘密にしているのかしら」
「おほほほ......なんにも無いわジュリー」
「アナったら、かたくなねぇ。私たち親友じゃない。これまで色んなこと包み隠さず2人で話してきたっていうのに、喋ってくれないなんてかなしいわ......」
絶世の美女といっても過言ではないジュリーが、伏せ目がちにゆるゆら揺れる紅茶の水面を見つめるのは、同性の私から見てもとても美しい。思わず言ってしまいそうになるが、すんでのところで言葉を飲み込んだ。
「ごめんね、その隠しているつもりは無いのだけど、別に大したことじゃないっていうか」
「ふぅん、そう。まぁいいわ」
「それじゃあジュリー、」
「私の考察を発表させていただくわね? 」
──────!?
ジュリーったらどうしてそうなるの!?
私の無言の抗議の目線も気にせず、ジュリーは左手でくるくる手前の髪をすくい取りながら話し出す。
「まずは何から話そうかしらね......アナの様子が変わったのは少し前にあった仮面舞踏会からだったわ。それ以降いくつもの変化が見て取れて完全に何かあるに違いないって思ったの。あぁ例えばアナ? 最近は帰りを急いでいるというか、授業が終わってから教室を出るのが早くなったわね」
「そういうことなら早く屋敷に帰りたかっただけよ」
「いいえ違うわ。私ちゃんと窓から外を見て、クリスフォート家の馬車が出ていないって確認しているもの」
「図書室に用事が、」
「それも違うわよね。図書室とは真逆の方向の別館へと続く廊下にいる所を、私の侍女が目撃しているわ」
「そう......ジュリーは抜かりないわね」
「それに最近話している時に上の空のときが増えてるの。なにより時折私に何かを言いたそうな顔をしてる」
さすがの観察力!!! 鋭すぎるわ!
長い付き合いとはいえ、公爵家令嬢って。私の心が完璧によまれている。私は社交界ではマストのこういった駆け引きはあまり得意でない。
「アナ、仮面舞踏会でなにかあったのよね」
「・・・・・・」
「私が聞きたいのはこれ。......ねぇアナ、貴女いったいそんなに私に嘘をついてまで、誰と会っているの? 」
ここまできたらジュリーに言うべきなのだろうか、ウィンの許可をとっていない状態で言うのはどうしても躊躇われる。
「答えてアナ。そんなに私はアナにとって信用ならないかしら? そうそう、アナが答えてくれたらこれをプレゼントするわ。まだ中々手に入らないって噂の新しいパンフレットよ」
迷うこと数十秒。私は決めた。
新作の分厚いパンフレットにつられたとかは断じて違う。表紙だけでもう最高って分かるパンフレットが貰えるから、じゃなくて。本当に、本当に違うけど、ジュリーにウィンについてはふせて話すことにした。
「えっと詳しくは話せないんだけど。ジュリー、私は仮面舞踏会でその......」
ジュリーが目を輝かせて身を乗り出してくる。なんと言えば正解かよく分からないけど、そっと口を開く。
「人生初のドレ友ができたの! 」
「素敵な方に出会ったんでしょう?」
あれー? ぱちくりと目を瞬かせて机越しに見つめ合う。イケイケ探偵さんモードから急に勢いがなくなったジュリーがそっと呟いた。
「ドレ友......? 」
☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆
ドレ友についてのあらかたの説明が終わってようやく一段落ついた。今は2人で一緒に注文した、リペホのジュースを飲みながら語り合っている。
「もう私ったら、仮面舞踏会で前に話していたみたいに運命的な出会いがアナに起こったんだとばっかり思っていたのよ! なんで教えてくれないんだろうって1人モヤモヤしていたら、まさかドレ友だったとは。推理がはずれちゃったわ」
「ごめんねジュリー、私も驚いちゃったわ。どんどんジュリーが推理を詰めていくからどうしようかしらって」
「ふふふっ。アナ、そうだ! その子に会うことって難しいかしら? 私一度アナの友達に会ってみたいわ」
「そうね、今はまだ難しいかもしれないわ。一応話してみるけど......」
最近はほぼ毎日のようにあの場所へ通いつめている。一緒に資料を見る日もあれば、実際にこの前私が作ったドレスを持ってきて、ウィンに色んな感想を聞いたり。ちなみに私の作ったドレスは現在教室内のトルソーに着せて飾られてある。
でもウィンは学年も違うのもあってか、あの場所以外では見たことがない。あまり詳しいことは知らないし......。まずは私がジュリーぐらい、までいくと難しいかもしれないけど、そのくらいウィンと仲良くなってからじゃないとね。
「そうよね、あー! でも本当に謎が解けてよかったわ。そうそうこれ、パンフレット忘れないうちに」
「本当にいいの!? ありがとう!」
「伝手があるからね、ひと足早く新作パンフレットを見れたら喜ぶかなって、元々アナのために手配したのよ」
優しいぃぃぃ! ジュリーへの感謝は止まらない。
家に帰って読むのが楽しみだ。読み込んだらウィンとも共有して一緒にまた見ることにしよう。
その後も楽しい女子会は続いていくのだった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
公爵家の次女ですが、静かに学園生活を送るつもりでした
佐伯かなた
恋愛
王国でも屈指の名門、公爵アルヴィス家。
その家には、誰もが称賛する完璧な令嬢がいた。
長女ソフィア。
美貌、知性、礼儀、すべてを備えた理想の公爵令嬢。
そして──もう一人。
妹、レーネ・アルヴィス。
社交界ではほとんど名前も出ない、影の薄い次女。
姉ほど目立つわけでもなく、社交の中心にいるわけでもない。
だが彼女は知っている。
貴族社会では、
誰が本当に優れているのかは、静かな場面でこそ分かるということを。
王立学園に入学したレーネは、
礼儀作法、社交、そして人間関係の中で、静かに周囲を観察していく。
やがて──
軽んじていた者たちは気づく。
「公爵家の妹」が、本当はどんな令嬢だったのかを。
これは、
静かな公爵令嬢が学園と貴族社会で評価を覆していく物語。
完璧な政略結婚のはずでしたが、宰相閣下の“私の妻”扱いが甘すぎます
星乃和花
恋愛
政略結婚のはずでした。
家同士の利も、立場の釣り合いも、全部きちんと整った、完璧に合理的な結婚。
……なのに、夫となった冷徹宰相は、なぜか人前で私を「最高の妻」と紹介し、暮らしを完璧に整え、他人に近づかれると不機嫌になってしまいます。
“天使”と噂される穏やかな令嬢フィオナもまた、
そんな不器用な優しさに少しずつ心をほどかれて――。
これは、条件で選ばれたはずの夫婦が、
いつの間にかお互いを“ただ一人”として欲しくなるまでの、甘くてやさしい政略結婚物語。
(毎日21:50更新ー全8話)
「美しい女性(ヒト)、貴女は一体、誰なのですか?」・・・って、オメエの嫁だよ
猫枕
恋愛
家の事情で12才でウェスペル家に嫁いだイリス。
当時20才だった旦那ラドヤードは子供のイリスをまったく相手にせず、田舎の領地に閉じ込めてしまった。
それから4年、イリスの実家ルーチェンス家はウェスペル家への借金を返済し、負い目のなくなったイリスは婚姻の無効を訴える準備を着々と整えていた。
そんなある日、領地に視察にやってきた形だけの夫ラドヤードとばったり出くわしてしまう。
美しく成長した妻を目にしたラドヤードは一目でイリスに恋をする。
「美しいひとよ、貴女は一体誰なのですか?」
『・・・・オメエの嫁だよ』
執着されたらかなわんと、逃げるイリスの運命は?
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
【完結】後宮の片隅にいた王女を拾いましたが、才女すぎて妃にしたくなりました
藤原遊
恋愛
【溺愛・成長・政略・糖度高め】
※ヒーロー目線で進んでいきます。
王位継承権を放棄し、外交を司る第六王子ユーリ・サファイア・アレスト。
ある日、後宮の片隅でひっそりと暮らす少女――カティア・アゲート・アレストに出会う。
不遇の生まれながらも聡明で健気な少女を、ユーリは自らの正妃候補として引き取る決断を下す。
才能を開花させ成長していくカティア。
そして、次第に彼女を「妹」としてではなく「たった一人の妃」として深く愛していくユーリ。
立場も政略も超えた二人の絆が、やがて王宮の静かな波紋を生んでいく──。
「私はもう一人ではありませんわ、ユーリ」
「これからも、私の隣には君がいる」
甘く静かな後宮成長溺愛物語、ここに開幕。
次期騎士団長の秘密を知ってしまったら、迫られ捕まってしまいました
Karamimi
恋愛
侯爵令嬢で貴族学院2年のルミナスは、元騎士団長だった父親を8歳の時に魔物討伐で亡くした。一家の大黒柱だった父を亡くしたことで、次期騎士団長と期待されていた兄は騎士団を辞め、12歳という若さで侯爵を継いだ。
そんな兄を支えていたルミナスは、ある日貴族学院3年、公爵令息カルロスの意外な姿を見てしまった。学院卒院後は騎士団長になる事も決まっているうえ、容姿端麗で勉学、武術も優れているまさに完璧公爵令息の彼とはあまりにも違う姿に、笑いが止まらない。
お兄様の夢だった騎士団長の座を奪ったと、一方的にカルロスを嫌っていたルミナスだが、さすがにこの秘密は墓場まで持って行こう。そう決めていたのだが、翌日カルロスに捕まり、鼻息荒く迫って来る姿にドン引きのルミナス。
挙句の果てに“ルミタン”だなんて呼ぶ始末。もうあの男に関わるのはやめよう、そう思っていたのに…
意地っ張りで素直になれない令嬢、ルミナスと、ちょっと気持ち悪いがルミナスを誰よりも愛している次期騎士団長、カルロスが幸せになるまでのお話しです。
よろしくお願いしますm(__)m
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる