ドレス愛が止まりませんっ!〜ドレス大好き令嬢のデザイナー生活〜

浦藤はるか

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本編

#21 早起き

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あ~恥ずかしい思いもしたし今日はいつもより随分早めに帰ろうかしら。


「じゃあそろそろお暇を……」

「まだいつもの時間じゃないだろう? 次は視点を変えて見てみないか? 」


!!! ……そんなこと言われてしまうと、帰りたくなくなっちゃうじゃない。思わず楽しそうだったから立ち上がりかけていた体を元にもどす。そしてそのままもう一度パンフレットを開いて、2人で好きなとこ、流行、改善点、使われている布の種類などを話し込んでいく。どんどん内容はマニアックになっていき早口になっていく。ウィンが配慮していてくれるお陰か分からないけど恥ずかしさはいつの間にか消えていった。


そっと呟いた、これから暑くなっていくから布もこだわった方が良さそうね。という私の一言にウィンははっとしていた。ふふふ、男性だから知らないのかもしれないけどドレスってなかなか大変なのよね。暑いし、重いし、苦しいし。


☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆


「ふわぁ、ねむいわぁ」


現在朝の5時。いつもなら絶対に起きない時間だけれど、今日は事情がある。昨日ウィンに言ったドレスのレポートがまだ完成していないのだ。約束は守らなきゃね。あ~本当に、完全に、私が悪いんだわ。私が色んなドレスをまとめていたファイルを引っ張りだしている内につい、夢中になっちゃって。でも計算上では今からやれば十分できるはず! 昨日の自分を後悔している暇はないわ。

はじめはぽわぽわしていた頭もペンを握って文字を書き進めていくと次第に覚醒してきた。朝も意外に悪くないわね。澄み切った空気が集中力を上げていってくれる。

一心不乱にドレスのことを考える時間は刺激的でとても楽しい。次から次へと脳内で文章が作られていくものだから手が追いつかない。あぁ大変っ! でも楽しい! 手元にある資料は必要なページを見るだけ。そうでもしないとコレ永遠に完成させられなくなっちゃうわ。自分が怖くなるほどのスピード感でレポート用紙が埋まっていく。


《Ice wing》
このブランドは、肌触りの良いふわふわもふもふした小物が最近人気になっている。元々は寝具のお店で、店主の娘さんが小物とかを作り出したのがきっかけで急成長中。今から目をつけておくべきブランドね。今はバックとか小物ばっかりだけど、ドレスにも手を広げだしたら面白いものが出来そうなのよね。ああふわふわっていいなぁ。もふもふに包まれたいっ……。このアクセサリーとかいいなぁ。ふぅんこれは髪留めなのか。……! 危ない、危ない脱線していくところだった。あっ、比較的お手ごろな価格の商品が多いことも特徴の一つね。


《ミランジュ》
ここは皆が知ってる有名すぎる老舗のお店ね。王家御用達の格のあるブランド。一つ一つを大切に、完全オーダーメイドでやっているお店。だからこそなかなかここのお店の商品、いや作品を見ることの出来る機会は少ないのだけれど、このパンフレットには毎回掲載されている。最も最新のじゃなくて前に作られた力作のドレスが数着という条件付きだけど。なぜかって? このパンフレットはファッション協会が先導して作っているものだから。ミランジュはかなり上の役職に就任しているのよね。ファッション協会は中々信用のおける一大組織だ。


《レルファミーブ》
ここは子供服でとても有名なお店。私も数着持っていたわね。お世話になったわ。レパートリーが幅広く、小さい頃頭に思い描いていた、物語の中に出てきそうな理想のドレスを作ってくれるのだ。デザイナーは子供心のある取っ付きやすいおじ様で、絵本作家もしてらっしゃるの。彼の生み出す物語性のあるドレスは着てるだけで楽しさを感じる。


っと、手が疲れてきたわね。少しだけ休憩。腕を伸ばして、うーんと伸びをする。不意に襲ってくる眠気に何とか打ち勝とうと頑張る。あと1枚だけ書けば……。


「おはようございます……お嬢様。ってお嬢さまぁ!? え。もう起きているの!? だってまだこんな時間よ!? ちゃんと昨日は寝たの? まさかずっとこれやってたんじゃないでしょうね! 」

「おはようサリー。大丈夫、ちゃんと寝たわ。あと少しで終わりそうだから、少し一人にしてくれる? 終わったら呼ぶから」

「そう、分かったわ。頑張ってね」


息抜きは終わりね。最後はええっと……あぁルーナシャインね。ここってまだ全然情報を手にいれられてないお店だわ。
どうしたものかと頭を悩ます。ここまでは順調に書き進めてこれたんだけど……。資料がないと話にならない。

ローズマリー、リリーと立て続けに聞いたブランド、ルーナシャイン。仮面舞踏会でリリーの着ていた素晴らしいドレスを見てからというもの、少しずつ調べていっているけどなかなか欲しい情報は手に入れられてない。

分かってるのはここ一、二年で出来たブランドで、オーダーメイド制。今のところ人気すぎて予約が取れないということ。店舗自体は学園近くのドレス店が集まるストリートにあるらしい。一度店に行ってみたいものの機会がなく未だに行けていないのだ。

その他の情報はなくパンフレットも手に入れられてないのだ。そもそも作っていないのかもしれない。あんなに素晴らしいリリーを魅せるドレスを作れるのだからデザイナーのセンスがとてつもなく良いのは分かってる。他のドレスも見てみたいのになぁ。
仕方ないわね、今日リリーに聞くしかないか。

ひとまずレポートには《ルーナシャイン》とブランド名だけを書いてカバンに入れた。さぁ急いで準備しないとね。机の上に山積みになった資料を丁寧に鍵付き棚に直していく。


「サリー終わったわ! 一人にしてくれてありがとう。片付け手伝ってもらってもいいかしら」

「お嬢様終わったのね、お疲れ様。もう朝食の準備が出来てるわ。今日の授業の準備と後片付けはしておきますから早く食堂に行ってらっしゃい」

「分かったわ、後はじゃあ任せたわ」


思っていたよりも時間がかかっちゃってたわね。急がないと。いつもより早足で廊下を歩き出した。
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