ヘイそこのいっぺん死んだ彼女! 俺と一緒にドラゴン狩らない?

尾形モモ

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加護

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 たった一度、死を経験しただけのレイチェルでもその壮絶な苦しみに自らの選択を後悔し人生観を大きく変えることとなった。

 それが自分以外の冷酷な第三者によって、何度ももたらされるとなればその精神的苦痛はもはや想像することすらできない。それでもメアリー元王女は足掻いた。自分の、そして自分の大切な人々を守るために。何度も屈辱に晒され、絶望し、復讐心を滾らせながら――その末に傍から見れば暴挙としか言えない状況に手を染めることとなった。

「姉上には歴代王室でも最強レベルの、ゼウスの『加護』を授かっていた……その力を使ってメアリー元王女は一人、ケンタウロスの元に乗り込むと怒りの雷を落とし全滅させたというわけだ。まぁ、それを話してくれたのは半人半獣の民を良しとせず皆殺しにした残虐な王女という汚名を賜った後だったがね……」

「……それで、メアリー王女はどうなったのです?」

 肩を落とすフェスターに、レイチェルはおずおずとそう尋ねる。



 極悪非道な行いの裏に隠された、孤独な闘い。



 それを知らされたレイチェルはもう、王子の言うことが全て真実であると悟っていた。そんなレイチェルに対し、フェスターは苦笑交じりに答える。

「それだけの大事をやらかしたとなると、経緯はどうあれ不問とするわけにもいかなくてね。彼女は『王女』の地位を剥奪され『メアリー元王女』になった。加えて顔には子々孫々にまで遺伝する呪われた入れ墨を彫られたから、もう罪人として生きる他はないんだが……実は、その『加護』の力を国のために有効活用すべく裏で僕とともに影の軍隊を結成しているんだ。そして……今日は君を、その一員に勧誘したいと思っているんだよ」

 そこでフェスターはにこやかな表情を取り戻すと、真っ直ぐにレイチェルの方へ向き直る。

 親し気で人懐っこそうな笑み、それに戸惑いながらもなんとなくレイチェルはこの事態が飲み込めてきた。同時に混乱しながら、フェスターに訝し気な視線を向ける。

「私を、その一員に勧誘したいとおっしゃるのですか? けれど、私にできることなんて……」

「我が国では出生記録に、その人間がどの神の『加護』を受けたかも記載されている。レイチェル・ガーランド嬢、君にはヘパイストスの加護があるね?」



 フェスターの言葉に、レイチェルは沈黙で肯定する。
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