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賛辞
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「『加護』の力は色々あって、ミシェルみたいにわかりやすく『能力』として発動することもあれば僕のように一目でわかるものではないこともある……君の場合はとりあえず、いるだけで発動するタイプだったというだけだ」
そう語りかけながら、フェスタ―がレイチェルに歩み寄る。はっと顔を上げたレイチェルの視線が、フェスタ―の黒曜石のような瞳とぶつかった。
……言動は奇天烈だが、本当に綺麗な人だ。
改めてそんなことを考えてしまうレイチェルに対し、フェスタ―は穏やかに話す。
「僕の『ハデスの加護』もね、最初は何の役に立つのかわからないものだったんだ……公には迷信扱いされている『加護』の力も、王族にとっては重要なものだ。それが自分で何の役に立つのか、わからない時は僕も苦労したものさ。だけど――今はその力を、こうやって国のために役立てようとしている。自分の力を、誰かに認めてもらえるのは嬉しいものだ……その気持ちを否定しちゃいけない、と僕は思うよ」
だから、人の賛辞は素直に受け取るといい。
真っ直ぐにこちらを見つめ、諭すようにそう語るフェスタ―王子の言葉はレイチェルの胸へと沁み込んでいく。
誰かに自分の力を必要としてもらえる。誰かが自分を肯定してくれる。そして――それを喜び、受け止めていい。
それは斬新な考え方や天啓のような閃きでもない。「すごい」と言われたら「ありがとう」と言っていいという、ただそれだけの簡単な話だ。
けれど、そんな単純なやり取りをレイチェルに教え、諭してくれたのはフェスタ―王子が初めてだった。
フェスタ―王子の身目麗しさもあって、呆気にとられたような顔をしてしまうレイチェルにミシェルも続けて声をかける。
「そう、フェスタ―王子の言う通りだ。僕は君を『すごい』と言った、だから君はそれを喜べばいい。たったそれだけのことなんだから、さ……僕としてもこれから、狩りや弓を使った戦いの時に君に一緒にいてほしいし。そう、謙遜しすぎないで『ありがとう』ってにっこりしてればいいんだよ」
照れ臭いのかときどき目を逸らしながら、それでもはっきりというミシェル。
――二人の真っ直ぐな、ただ目の前にいるレイチェルだけを評価したその言葉にレイチェルは気づけば「あ……あ、ありがとうございます」と口にしていた。
そう語りかけながら、フェスタ―がレイチェルに歩み寄る。はっと顔を上げたレイチェルの視線が、フェスタ―の黒曜石のような瞳とぶつかった。
……言動は奇天烈だが、本当に綺麗な人だ。
改めてそんなことを考えてしまうレイチェルに対し、フェスタ―は穏やかに話す。
「僕の『ハデスの加護』もね、最初は何の役に立つのかわからないものだったんだ……公には迷信扱いされている『加護』の力も、王族にとっては重要なものだ。それが自分で何の役に立つのか、わからない時は僕も苦労したものさ。だけど――今はその力を、こうやって国のために役立てようとしている。自分の力を、誰かに認めてもらえるのは嬉しいものだ……その気持ちを否定しちゃいけない、と僕は思うよ」
だから、人の賛辞は素直に受け取るといい。
真っ直ぐにこちらを見つめ、諭すようにそう語るフェスタ―王子の言葉はレイチェルの胸へと沁み込んでいく。
誰かに自分の力を必要としてもらえる。誰かが自分を肯定してくれる。そして――それを喜び、受け止めていい。
それは斬新な考え方や天啓のような閃きでもない。「すごい」と言われたら「ありがとう」と言っていいという、ただそれだけの簡単な話だ。
けれど、そんな単純なやり取りをレイチェルに教え、諭してくれたのはフェスタ―王子が初めてだった。
フェスタ―王子の身目麗しさもあって、呆気にとられたような顔をしてしまうレイチェルにミシェルも続けて声をかける。
「そう、フェスタ―王子の言う通りだ。僕は君を『すごい』と言った、だから君はそれを喜べばいい。たったそれだけのことなんだから、さ……僕としてもこれから、狩りや弓を使った戦いの時に君に一緒にいてほしいし。そう、謙遜しすぎないで『ありがとう』ってにっこりしてればいいんだよ」
照れ臭いのかときどき目を逸らしながら、それでもはっきりというミシェル。
――二人の真っ直ぐな、ただ目の前にいるレイチェルだけを評価したその言葉にレイチェルは気づけば「あ……あ、ありがとうございます」と口にしていた。
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