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ブタ王子と婚約破棄~誰も不幸にならなかった~
ソラ・アオイロ②
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フレデリック・シューナン・サイクブ王子。小さな瞳とバランスの悪い、やたら大きな鼻。それが全て顔の中央に集まっている上に、まんまるとした輪郭のせいで必要以上にまるっこい印象を与えてしまう。それに加えて岩のような巨体は、いるだけでこちらに圧迫感をもたらす。その容姿から彼は密かに「ブタ王子」と呼ばれ、周囲から嘲笑われていた。
対するカトリーヌ・ビジョー・アルテイシアは、ソラにも負けず劣らずの美少女。眩しい太陽のようなプラチナブロンドの髪に、爽やかな波の音が聴こえてきそうなほど青い瞳。しかしその顔つきはどことなく涼し気で、彼女の周りは常に涼しい風が吹いているような気すらする。その輝かんばかりの美貌は男女を問わず、見た者を虜にする誰もが認めるような美人だった。
日頃から、不釣り合いな二人だと周りには揶揄されていた。美女と野獣、薔薇に集る虫。美しい女と、醜い男のカップルは社交界で半ば珍獣のような扱いを受けており、日頃から「いつか王子の方が捨てられるんじゃいのか」と嘲笑交じりに噂されたものだ。ところが今、そのブタ王子はカトリーヌに対し婚約破棄を告げている。
あのブサイクな王子がこんな美女をㇷるなんて、どうかしてるんじゃないのか?
パーティーの参列者は呆れ半分、好奇心半分といった表情で三人を見守っている。別にカトリーヌに対する哀れみや、同情心といったものはそこから窺えない。というのもこの国では貴族が側室を持つことは珍しくなく、また、離婚歴のある女性や子連れの女性に対する偏見も存在しないのでここで婚約破棄されても大した問題ではないのだ。
ましてカトリーヌの実家、アルテイシア公爵家は国内でも有数の貴族だ。公衆の面前で、あんな醜い男にフラれたところで誰も気には留めない。むしろここぞと言わんばかりにカトリーヌにアピールする男性が続出し、あっという間に別の嫁ぎ先が見つかるだろう。
留学生のソラ・アオイロは明らかに金目当てで王子を誘惑した。公爵令嬢はそんな王子に愛想をつかし、婚約破棄を受け入れるだろう。
そう思い、人々は白けた顔でその場を見守っていたが――
「お願いです殿下! どうか、どうか婚約破棄だけはなさらないでください!」
青白い顔で叫ぶカトリーヌに、周囲は仰天する。
普段は淑やかで静か、というか感情をほとんど表に出すことのないクールな彼女が取り乱している姿を見て観衆は息を飲んだ。
対するカトリーヌ・ビジョー・アルテイシアは、ソラにも負けず劣らずの美少女。眩しい太陽のようなプラチナブロンドの髪に、爽やかな波の音が聴こえてきそうなほど青い瞳。しかしその顔つきはどことなく涼し気で、彼女の周りは常に涼しい風が吹いているような気すらする。その輝かんばかりの美貌は男女を問わず、見た者を虜にする誰もが認めるような美人だった。
日頃から、不釣り合いな二人だと周りには揶揄されていた。美女と野獣、薔薇に集る虫。美しい女と、醜い男のカップルは社交界で半ば珍獣のような扱いを受けており、日頃から「いつか王子の方が捨てられるんじゃいのか」と嘲笑交じりに噂されたものだ。ところが今、そのブタ王子はカトリーヌに対し婚約破棄を告げている。
あのブサイクな王子がこんな美女をㇷるなんて、どうかしてるんじゃないのか?
パーティーの参列者は呆れ半分、好奇心半分といった表情で三人を見守っている。別にカトリーヌに対する哀れみや、同情心といったものはそこから窺えない。というのもこの国では貴族が側室を持つことは珍しくなく、また、離婚歴のある女性や子連れの女性に対する偏見も存在しないのでここで婚約破棄されても大した問題ではないのだ。
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「お願いです殿下! どうか、どうか婚約破棄だけはなさらないでください!」
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