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ブタ王子と婚約破棄~誰も不幸にならなかった~
ソラ・アオイロ③
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「確かに私はあなたと仲睦まじいソラ・アオイロ様に嫉妬し、少々厳しく問い詰めたこともありました! その点に関しては反省し、彼女に謝罪いたします! だから殿下、どうかあなたとの婚約を破棄することだけはやめてください!」
ブタ王子を相手に必死で涙を流し、恥も外聞も殴り捨て泣き縋るカトリーヌに、観衆たちは困惑の色を示す。
あの美しいカトリーヌが、なんだってあのブタ王子からの婚約破棄をそんなに嫌がるのか? もともとあんな不細工な王子と結婚するのなんて嫌がる女性の方が多いだろう。ましてカトリーヌはこの国でも有数な美少女で、公爵令嬢という立場にもある。そんな彼女が、王子と仲のいい留学生を妬んだというのか? ありえない、カトリーヌにとっては外国の少女だなんてその気になればどうとでもすることができるはずだ。同様に、このブタ王子から婚約破棄されたとして、痛くも痒くもないだろう。
あ、ひょっとして王妃の座を譲りたくないのか?
やっと辿り着いた一つの推測に周りが納得する中、それをカトリーヌが次の言葉で打ち消す。
「どうしてもソラ様を正妃にと仰るのなら、私は側室でもかまいません! 週に一回でも貴方が私に愛を向けてくだされば、私は満足です!」
えぇ……
驚愕と困惑に会場が包まれる。
いくら側室を持つのが当たり前とは言え、公爵令嬢の身分であれば正室にされるのが当然。それがいくら留学生とはいえ外国の、爵位も持たない令嬢の下に置かれるなど相当な屈辱のはずだ。
しかしカトリーヌは目に涙をいっぱいに溜め、必死でそれを訴えている。公爵令嬢としての矜持も一人の女としての意地もありはしない。ただ愛する男に縋り付き、みっともないと思えるほど泣きわめくその姿に人々は呆然とすることしかできなかった。
もはや何を口にすればいいのかわからない。そんな微妙な空気の中で一人、歩み出て口を開いたのは当事者の一人。ソラ・アオイロであった。
「あなたは本気で王子を愛しているのですね。その言葉に、嘘偽りはございませんか?」
拙い外国語で、カトリーヌへ問いかけるソラ。
カトリーヌから王子を奪った優越感も、女として公爵令嬢を出し抜いてやったという嘲りも見られない。学者が調査をするように、医師が診察するようにただただ事実を確認するためだけの質問。そんなソラ・アオイロの問いかけに、カトリーヌは必死に頷いてみせる。
「当然です! 私は心の底からフレデリック王子を愛しています! だから――」
「――わかりました私が王子に懸想したのは、王子が自分の婚約者に愛されていないのではないかと相談されたからでした。でもあなたが本心から王子を愛していらっしゃるのであれば、私はもう必要ないでしょう。私は側室となり、あなた方ご夫婦を影ながら支えていきたいと存じます。この場にいる皆様には大変ご迷惑をおかけしましたが、何卒ご了承ください」
急に熱っぽく、何か話そうとしたカトリーヌをソラ・アオイロはやや食い気味に止める。そうして半ば強引に話を終えるとパーティーは何事もなかったかのように再開され、観衆は狐につままれたような顔をすることしかできなかった。
ブタ王子を相手に必死で涙を流し、恥も外聞も殴り捨て泣き縋るカトリーヌに、観衆たちは困惑の色を示す。
あの美しいカトリーヌが、なんだってあのブタ王子からの婚約破棄をそんなに嫌がるのか? もともとあんな不細工な王子と結婚するのなんて嫌がる女性の方が多いだろう。ましてカトリーヌはこの国でも有数な美少女で、公爵令嬢という立場にもある。そんな彼女が、王子と仲のいい留学生を妬んだというのか? ありえない、カトリーヌにとっては外国の少女だなんてその気になればどうとでもすることができるはずだ。同様に、このブタ王子から婚約破棄されたとして、痛くも痒くもないだろう。
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えぇ……
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もはや何を口にすればいいのかわからない。そんな微妙な空気の中で一人、歩み出て口を開いたのは当事者の一人。ソラ・アオイロであった。
「あなたは本気で王子を愛しているのですね。その言葉に、嘘偽りはございませんか?」
拙い外国語で、カトリーヌへ問いかけるソラ。
カトリーヌから王子を奪った優越感も、女として公爵令嬢を出し抜いてやったという嘲りも見られない。学者が調査をするように、医師が診察するようにただただ事実を確認するためだけの質問。そんなソラ・アオイロの問いかけに、カトリーヌは必死に頷いてみせる。
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「――わかりました私が王子に懸想したのは、王子が自分の婚約者に愛されていないのではないかと相談されたからでした。でもあなたが本心から王子を愛していらっしゃるのであれば、私はもう必要ないでしょう。私は側室となり、あなた方ご夫婦を影ながら支えていきたいと存じます。この場にいる皆様には大変ご迷惑をおかけしましたが、何卒ご了承ください」
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