鉛の矢を持ったキューピッド~なぜか婚約破棄に巻き込まれる留学生たち~

尾形モモ

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ヘタレ王子の大舞台~婚約破棄!? 大作戦~

シズク・アマノ④

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「ここにいるシズクと王家の名の下に、結婚を宣言する!」




 その場の空気が固まる。というか、私自身が固まる。




 こいつ……一番大事な場面で、よりによって役名を間違えやがった……!




 ざわつく会場に王子はうろたえる。

 壇上にいるヘレン様や従者も同様だ。対する王子は口をぱくぱくさせ、視線をさまよわせたまま叱られた子どものようにうつむいている。

「ダグラスよ。今の言葉、確かに聞いたぞ」

 威厳のあるその声に、会場がしんと静まり帰る。現れたのは王子の両親、つまり現国王夫妻だ。王子と違い、貫禄のある彼は私と王子を交互に見つめ厳かにそう告げる。状況がわからず、おろおろする私にそっとヘレン様が駆け寄ってきて耳打ちする。

「シズク様。よく、お聞きください。実は、我が国の王室規範には『例えどのような状況、どのような内容であっても王家の人間が三人以上揃っている前で王家の名を騙り、口にしたことは必ず実行しなければならない』という決まりが定められているのです。なんでも何代か前の国王陛下の弟に虚言癖があって、それを戒めるために作られたそうなのですが『王室の人間の発言にはそれだけ重みがある』と心に刻み込むために、今でも残されているそうなのだとか……」



 つまりたった今、兄はシズク様と本当に婚約を宣言したことになります。



 そう言い終えたヘレン様の続きを、従者が紡ぐ。

「最も、無効にする方法がないわけではございません。宣言した者が発言を撤回し、王室から離脱を表明すればシズク様とダグラス王子との婚約は無効にすることができます」



 つまり、私が王子との婚約を拒んだらダグラス王子は王子でなくなるということだ。



 ……そんな究極の二択を、いきなり迫るなんて……と思いながら私はダグラス王子を見つめる。
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