米国名門令嬢と当代66番目の勇者は異世界でキャンプカー生活をする!~錬金術スキルで異世界を平和へ導く~

だるま 

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勇者もどき追放作戦

勇者もどき追放作戦⑤

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「おや……。マリお嬢様いつの間に……」

 コルルの声でセバスちゃんは目を覚ましたらしい。座席から身を起こし、つぶらな目をパチパチさせている。

「クラムチャウダー作ったから、お腹空いてたら、食べれば?」

「お……! また私の分も準備してくださったんですね。有り難い」

「私が食べたかっただけだから、ついでだよ。つーいーで!」

「いただきます! マリお嬢様ハンバーガーをもう一つ召し上がりますか?」

「んー、いらないや。さっきも食べたし」

「あらら。私は一つ食べますね」

「はいはい」

(セバスちゃんって、三食ハンバーガーでも大丈夫そう)

 彼の普段の食生活を何となく察し、呆れる。

「レアネー市には後どれくらいで着く?」

「後百五十キロ程です。もう二時間程といった感じでしょうか」

「ふーん。さっきコルルが言ってたんだけど、レアネーの周囲には城壁が設置されてて、毎日十八時には閉じるらしい。だから今日中に街に入るのは難しい気がする」

「なるほど、では明日レアネー市に入る事にしましょう。このキャンプカーどうしますかね?」

「城門の真ん前に置いたら流石に目立つだろうねー。レアネー市より一キロくらい離れた所にでも停めたらいいかも」

「隠せそうな所を探して停めましょう。……それにしても、このクラムチャウダーも絶品ですね!」

 セバスちゃんの器はいつの間にか空になっている。一気飲みでもしたのかと疑ってしまう。

「アメリカっぽい料理が食べたくなったんだよね。明日はママの母国、日本の伝統料理的な朝食にするつもり」

 いつ帰れるか分からないものの、元の世界に由来する料理を食べる事で、繋がりを保ち続けられるんじゃないかと思っている。現実味の薄いこの世界において、自分の料理を食べる事でニューヨークに帰ろうと思い続けられそうだ。セバスちゃんもそういう考えになってくれたらいい。

「こんな異世界の地で、元の世界以上に食が充実するとは……。マリお嬢様サマサマですね!」

「フフン! 食が世界を救う!」



 あくる朝、キャンプカーをレアネー市から若干離れた位置にある森の影に停め、全員外に出た。
 ゴブリンと戦闘する時にも何となく思ったものの、この世界はニューヨークよりも空気が美味しい気がする。深呼吸すると、頭がシャキッとした。

 先に出ていた試験体066とコルルは、何事かと話し合っている。朝食時に聞いた話によると、彼等は結婚する事になったらしい。自分が仕掛けた事とはいえ、話が早すぎて、気まずくなったマリである。

 去り際にドアに触れると、何故か車体全体が淡く光り、外装に『マリ・ストロベリーフィールド』とピンク色の文字が浮かび上がった。

「ナニコレ? 私の名前が自動的にラクガキされたよ……」

 不思議な現象を目にし、唸る。

「封印……」

 背後からボソリと呟かれ、驚いて振り返ると、白髪の少年がジッとドアを見ていた。

「封印て何?」

「君以外に、この乗り物の内部に干渉出来なくなった……」

「ふーん……。アンタがやったの?」

「君がした。この乗物のマスターだから……」

 少年は相変わらず訳の分からない事ばかり言う。確かに、カーナビのマリのステータスには、キャンプカーマスターと表示されていたが、その事なのだろうか?

(今の、私の力でやったって事? 良く分かんないけど、防犯に意味があるなら良かったのかな……)

 自らの手の平をジッと見つめると、少年にクスリと笑われる。笑う事が出来るのかと、ギョッとしたが、彼の表情はすぐに元通りになったので、笑顔はマリの見間違えだったのかもしれない。

 それにしても、気温が割と低い。この世界の気象や風土の事等さっぱり分からないけど、今は冬なんだろうか?

(まぁ、街まで一キロ程歩くから、寒いくらいの方がいいんだけどね!)

 先導するコルルに付いて行きながら、周囲が珍しくて、ついキョロキョロしてしまう。アメリカにも大自然があるが、ニューヨークと母の実家の大阪くらいしか行かないので、見渡す限り緑が広がっているとそれだけで新鮮な感覚だ。

「三人共、レアネーに着いたら服を買った方がいいよぉ! 皆の格好だと結構目立ちそう!」

 コルルは被験体066の腕にぶら下がる様に歩きながら、歌う様にアドバイスしてくれた。
 彼女は態度こそキャピキャピしているものの、服装はかなり地味だ。茶色の革製のマントに、草で染めた様な色合いのチュニック。造りはしっかりしてそうだが、アチコチ擦り切れたロングブーツ。なんというか、テレビドラマでやっている、ヨーロッパの時代劇とか、ゲーム・○ブ・スローンのキャラみたいな服装だ。

 マリは高校の学生服の上にダウンジャケットを羽織っているだけだし、靴は歩く気皆無のジミーチュウのパンプスを履いている。セバスちゃんは燕尾服にスパイダー○ンのリュック。被験体066は病院の入院患者みたいな服装。ハッキリ言って、ニューヨークだったら、ギリギリ浮かない程度の集団だ。

 コルルの様に、自然と一体化出来そうな服装を用意しべきなんだろうか? 正直嫌だ。
 チラリと後ろを歩くセバスちゃんを振り返ると、彼は顎の脂肪が揺れる程激しく頭を振った。成る程、彼にもプライドがあるらしい。

「悪いけど、私達には私達なりの拘りがあるから、お断り」

「そうなんだ! まぁ目を付けられない様に気をつけて!」

「有難うー」

 何気ない会話を交わしながら城壁までの一キロの道のりを歩ききる。城門の守人から不審な目を向けられたが、コルルが「花婿とその仲間を連れて来た」と言うと、意外とスンナリ通してもらう事が出来た。
 城門をくぐった先に広がる街並みに、マリは感動した。
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