米国名門令嬢と当代66番目の勇者は異世界でキャンプカー生活をする!~錬金術スキルで異世界を平和へ導く~

だるま 

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土の神殿の大神官

土の神殿の大神官⑨

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「大神官さん、お願いがあるんだけど!」

「なんだ? 今のやり取りを聞いていただろう。こっちは予想外のトラブルに見舞われているんだが」

 エイブラッドはうっとおしそうな表情を隠しもしない。

「キングクレイフィッシュを倒したら尻尾の肉を私にくれない? レアネーの住人達に振るまう料理に使いたいんだ」

「モンスターの肉を使いたいのか……。付近に現れたキングクレイフィッシュは瘴気に毒されているかもしれないぞ」

 エイブラッドの懸念に、マリは眉根を寄せた。マリは浄化作用のある料理を作れるらしいが、エイブラッドが鑑定したカップケーキはごく普通の食材を使っていた。何が条件になり、浄化作用を生んでいるのか分からない以上、危ない肉は使わない方が無難なのかもしれない。
 無料で食材を手に入れられるかと思ったのに、あてが外れ、落胆する。

「もっと柔軟に考えなよ、エイブラッド。レアネーに着くまでの間に、君や土の神殿の連中で肉に浄化の魔法をかけたらいいじゃない。どうせ馬車の中で暇だろうし」

「何故俺も行く事になっている! 全く、勝手な事ばかりいいやがって! だが、確かにレアネー市までの二日の道中で肉を無害にするのは効率がいいな。そっちは採用だ」

 モンスターの肉がなんとかなりそうな展開のようだ。柔軟に物事を考えられる人が同席してくれて助かった。

「良かった! 公爵、アドバイス有難う!」


「どういたしましてだよ」

 肉はなんとかなりそうで、安心したが、エイブラッドの言葉の中に気になる内容があった。

(レアネーまで、馬車で二日間かかるのはマズイんじゃないかな。術者全員をキャンプカーに乗せる? うーん……、あ! 別に車内じゃなくてもいいなら、早く運べる方法があるじゃん!)

 マリが物思いに耽っている間に、男達の話題はキングクレイフィッシュに移っていた。

「巨大ザリガニって、どの位のサイズなんだろうね。話のタネにしたいから、一度見てみたいな」

「料理に使う肉なら、僕も討伐を手伝う……」


 試験体066と公爵は、どうやらモンスター退治に協力するみたいだ。
 二人は魔法を使う事が出来るから、たぶん戦力になるのだろう。重火器すらキャンプカーに忘れてきたマリは、一緒に行っても、ただのお荷物になるかもしれない。

 だが、これから食材にする予定の生き物の姿を見てみたいと思った。

「私も行くよ! 役に立たないと思うけど、興味がある!」

 マリが手を上げて主張すると、エイブラッドは嫌そうな顔をしたが、渋々感を醸し出しながら承諾してくれた。



 土の神殿を出ると、ちょうど神殿騎士達が森に入って行くところだった。
 それぞれが重そうな重装備を身にまとい、多少の攻撃を受けても平気そうな見た目だ。

「騎士達は強いの?」

「冒険者ギルドの基準でいえば、Cランク程度……レベルにして20~30程の者達を揃えている。キングクレイフィッシュはB-のモンスターだが、大勢で取り囲めばなんとか倒せるだろう」

 なるほど、結構実力がある集団のようだ。もしかすると試験体066の出番はないかもしれない。

 そう思いながら森方向に歩いて行ったのだが……。

「ギャー!」

「なんて強さだ! ザリガニの分際で!!」

「怯むな! 我々には土の加護がある、強化された土魔法を使っていくのだ!」

「しかし、コイツ、攻撃力が高すぎます!」

 騎士達の怒号が聞こえてきた。どうやら相手は予想以上の強さのようだ。マリ達四人は顔を見合わせる。

「苦戦してそう……」

「様子がおかしいな。それ程苦労する相手でもないだろうに」

 エイブラッドは苛立ったような表情になったが、それは直ぐに驚愕の色に染まる。

――ザザン!!


 森の木々がスパリと、鋭い刃物の様な物で切断される。モウモウと立ち上る砂ぼこりの中から現れたのは、金ぴかの巨大ザリガニだった。建物二階程のサイズはあろうか? あまりにデカすぎる……。

「凄くセレブ感あるザリガニ!」

「あれ? 確かキングクレイフィッシュの甲殻は黒じゃなかったかな? 突然変異した個体?」

 そのゴージャスさに目を奪われたマリと公爵の前に、白髪の少年が進み出た。

「……下がった方がいい。あのハサミ、土の加護がない者だとスパっと切り刻まれると思う……」


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