米国名門令嬢と当代66番目の勇者は異世界でキャンプカー生活をする!~錬金術スキルで異世界を平和へ導く~

だるま 

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土の神殿の大神官

土の神殿の大神官⑩

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 黄金色のキングクレイフィッシュは大きく発達した二つの鋏を天に向って上げ、こちらを威嚇する。

「大神官殿! こいつは突然変異種のキングクレイフィッシュと思われます! 通常の個体よりも強力です! 今そちらに、防御用の壁を出しますので、その間にお客人方とお下がりください!」

 先程の神殿騎士が大斧を担ぎ、鬼気迫る表情でこちらに呼び掛けてくる。彼は言葉通り、すぐにマリ達の前に魔法の石壁を出してくれた。大きさは建物三階建程の高さ、横は100mくらいだ。しかし隔てられた壁の向こうで巨大な生命体は、その硬い石をガツガツ叩き始める。モンスターの足元には複数の神殿騎士達が群がっているというのに、何故こちらに来ようとするのだろうか?

「私達をターゲットにしてない?」

「その様だな。やはりエーテル狙いか」

「知能が多少あったら、自分より強い者には向ってこないんだけどねぇ」

 硬い石壁を叩く、恐ろしい音が続いているというのに、大人達は余裕を感じさせる態度を崩さない。何とかする自信があるからだろう。そしてそれは白髪の少年も同じだ。

 その片手の上にはいつのまにか大きな水の玉が浮いていた。

「肉……」

(この人、モンスターを最早食材にしか見えてなさそうだよね)

 こちらに来ようとしているザリガニが、進んで食べられたがっているかのようにも思えて、笑えてくる。

__ズガン!!

 壁から一際大きな音が響くと、中心部に亀裂が入った。それはみるみる広がり、ピキピキと音をたてる。

「マズイ! 突破される!! お前達、ストーンボンバードで一斉砲撃だ!」

「「「了解であります!」」」

 激しい砲撃音が三分程鳴り響いたが、神殿騎士達の努力も虚しく、石の壁は破られてしまった。開いた大穴から見える巨大ザリガニは、魔法攻撃で痛めつけられたにも関わらず、ピンピンしている。

「コンプレストウォーターサーベル!」

 試験体066は、手に浮かせた水の塊を剣の形に変形させた。

「無理はしないでよ?」

「大丈夫、きちんと食材を手に入れるから……」

(その心配じゃないんだけど……)

 マリの心配をよそに、少年は地面を蹴り、一瞬でモンスターとの間合いをつめた。ゼロ距離まで近づかれた巨大ザリガニは慌てた様に後方に下がろうとしたが、間に合わない。
 ザリガニに、向って右側四本の脚がスパリと切断される。

(あの水の剣、伸びるんだ! なんて便利な!)

 ズズン! と砂埃を上げて、キングクレイフィッシュの胴が地面に落ちる。移動不能となれば、もうなすすべないだろう。

「ストーンボンバードで傷一つ負わない程の甲殻を一刀両断。やるな……」

「ボンヤリしてると思ってたけど、かなりの実力者なんだね!」

 公爵とエイブラッドは手を出さず、静観の構えだ。任せていいと考えているのだろう。モンスターはびこるこの世界の人間達が感心するくらいなのだから、試験体066はこの世界においても相当強いと判断したのかもしれない。流石は勇者といったところだろうか?

 水の剣はさらに拡大し、倒れたザリガニの頭部を上から切り落とす。

「「「おおお!!!」」」

 神殿騎士達が歓声をあげる。彼等が手こずった巨大なザリガニが、少年によっていとも容易く葬られたので、感動が大きいかもしれない。

「これで食材はなんとかなったよね?」

 こちらを向く少年に、マリは頷く。

「ありがとう! これだけあれば足りそう!」

 お礼を言われ慣れてないのか、少年は照れ臭そうだ。

「アンタってホント強いんだね。最初の動き全然見えなかったし、デカイ剣出すし!」

「普通だと思う。皆出来るよ」

 白髪の少年の言葉を聞いた、神殿騎士の面々は目を剥いた。

「あれで普通はない!」

「有難う少年! 助かった!」

 口々に感謝され、少年は頰を染めて風の様に逃げ去った。

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