米国名門令嬢と当代66番目の勇者は異世界でキャンプカー生活をする!~錬金術スキルで異世界を平和へ導く~

だるま 

文字の大きさ
46 / 156
食材ゲット

食材ゲット⑤

しおりを挟む
「可哀想……」

「娘! 分かってくれるか!」

 思わず呟いたマリの言葉に、土の神の頰には再び涙が流れる。

「でもさ、長い間不味い料理を食べていたら、だんだん慣れるんじゃ?」

「たわけた事を申すな! 神の舌は高精度であり、だんだん誤魔化されていく様な物ではない!」

「そっか~。きつそう」

 自分で美味しい料理を作れるマリとは違い、神様は信徒が作ったお供え物を食べなければならないみたいだ。その不味さから逃げられないのは、かなり辛いだろう。

 少々シンミリとした気分になり、視線を下げると、自分の手に何か異物が握られているのに気がついた。

(んんん!? 何でこんな物持って来てんの!?)

 どういうわけか、ラッピングされた、カップケーキを持っている。青いクリームにカラフルなカラースプレーがまぶされ、いい具合に破壊力高い見た目の物だ。無意識にティディベア代わりに、枕元に置き、夢の中にまで持ってきてしまったとでもいうのだろうか?

「それは何じゃ? 確かお主、昼にそれをエイブラッドに投げつけていたな? 武器か何かか?」

「武器じゃないよ! これはお菓子! 食べてみてよ」

 そもそも食べれるのだろうか? と思いはしたが、武器と言われたままなのは心外なので、勧めてみる。

「むむ……。危険な雰囲気を醸し出しておるのぅ。気がすすまぬが……。まぁ良い。人間の作った料理の最底辺が気になる」

 青いクリームにドン引きしているのか、可愛い顔を引攣らせる神様の手に、カップケーキを握らせ、黄金色の苔の上に三角座りする。

「ねぇ、ケレース。それを食べてみて、美味しいと感じたら、私を元の場所に連れて行ってくれない? ちょっと困ってる」

「自分でここまで来たくせに、戻れないとは、何とアホな娘じゃ。んと……この紐を解いて、中身を取り出すのか?」

「そうだよ」

「この包み、中が透けて見えて、洒落てるのぅ」

 土の神は慎重な手つきでカップケーキを取り出し、小さな口でハムっと齧る。
 神の舌に人間用のお菓子は合うんだろうかと心配だったが、その杞憂は不要だった。
 彼女の顔がパァと綻んだからだ。

「美味しい! 美味しいぞ、これは! 何という名の食べ物なのじゃ!?」

「カップケーキって言うんだよ。気にいってくれたみたいだね」

「うむぅ!! 珍妙な見た目をしておると思ったのじゃが、これ程味が良いと、この不健康そうな見た目も可愛く思えてくるのじゃな。実に愉快!!」

 ケレースが大笑いしながら足をバタつかせると、彼女の周りの空気がキラキラと輝く。
 神を喜ばせると、こんなに幻想的な光景が見られるのかと、少し感動してしまう。

 目の前の彼女はバグバグと勢い良く残りを食べきる。空になった手を残念そうに見つめ、バタリと倒れる神様の姿が、可愛くてしょうがない。
 自分の作った料理をあれだけ美味しそうに堪能してくれたので、一気に彼女の事を好きになってしまった。

「はふぅ……。旨かった。妾の完敗じゃ。お主を元の場所まで送る約束だったな」

「宜しく!」

 ムクリと身を起こす彼女に合わせ、マリは立ち上がった。

 細い指先が、額の真ん中にピトリとくっつけられる。

「マリちゃんよ。また妾の為に、カップケーキとやらを馳走してくれぬか?」

 薄れゆく意識の中で、土の神様は頰を染め、可愛らしくおねだりしたのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界転生したおっさんが普通に生きる

カジキカジキ
ファンタジー
 第18回 ファンタジー小説大賞 読者投票93位 応援頂きありがとうございました!  異世界転生したおっさんが唯一のチートだけで生き抜く世界  主人公のゴウは異世界転生した元冒険者  引退して狩をして過ごしていたが、ある日、ギルドで雇った子どもに出会い思い出す。  知識チートで町の食と環境を改善します!! ユルくのんびり過ごしたいのに、何故にこんなに忙しい!?

掃除婦に追いやられた私、城のゴミ山から古代兵器を次々と発掘して国中、世界中?がざわつく

タマ マコト
ファンタジー
王立工房の魔導測量師見習いリーナは、誰にも測れない“失われた魔力波長”を感じ取れるせいで奇人扱いされ、派閥争いのスケープゴートにされて掃除婦として城のゴミ置き場に追いやられる。 最底辺の仕事に落ちた彼女は、ゴミ山の中から自分にだけ見える微かな光を見つけ、それを磨き上げた結果、朽ちた金属片が古代兵器アークレールとして完全復活し、世界の均衡を揺るがす存在としての第一歩を踏み出す。

転生したおばあちゃんはチートが欲しい ~この世界が乙女ゲームなのは誰も知らない~

ピエール
ファンタジー
おばあちゃん。 異世界転生しちゃいました。 そういえば、孫が「転生するとチートが貰えるんだよ!」と言ってたけど チート無いみたいだけど? おばあちゃんよく分かんないわぁ。 頭は老人 体は子供 乙女ゲームの世界に紛れ込んだ おばあちゃん。 当然、おばあちゃんはここが乙女ゲームの世界だなんて知りません。 訳が分からないながら、一生懸命歩んで行きます。 おばあちゃん奮闘記です。 果たして、おばあちゃんは断罪イベントを回避できるか? [第1章おばあちゃん編]は文章が拙い為読みづらいかもしれません。 第二章 学園編 始まりました。 いよいよゲームスタートです! [1章]はおばあちゃんの語りと生い立ちが多く、あまり話に動きがありません。 話が動き出す[2章]から読んでも意味が分かると思います。 おばあちゃんの転生後の生活に興味が出てきたら一章を読んでみて下さい。(伏線がありますので) 初投稿です 不慣れですが宜しくお願いします。 最初の頃、不慣れで長文が書けませんでした。 申し訳ございません。 少しづつ修正して纏めていこうと思います。

大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!

古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。 その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。 『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』 昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。 領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。 一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――

追放されたので田舎でスローライフするはずが、いつの間にか最強領主になっていた件

言諮 アイ
ファンタジー
「お前のような無能はいらない!」 ──そう言われ、レオンは王都から盛大に追放された。 だが彼は思った。 「やった!最高のスローライフの始まりだ!!」 そして辺境の村に移住し、畑を耕し、温泉を掘り当て、牧場を開き、ついでに商売を始めたら…… 気づけば村が巨大都市になっていた。 農業改革を進めたら周囲の貴族が土下座し、交易を始めたら王国経済をぶっ壊し、温泉を作ったら各国の王族が観光に押し寄せる。 「俺はただ、のんびり暮らしたいだけなんだが……?」 一方、レオンを追放した王国は、バカ王のせいで経済崩壊&敵国に占領寸前! 慌てて「レオン様、助けてください!!」と泣きついてくるが…… 「ん? ちょっと待て。俺に無能って言ったの、どこのどいつだっけ?」 もはや世界最強の領主となったレオンは、 「好き勝手やった報い? しらんな」と華麗にスルーし、 今日ものんびり温泉につかるのだった。 ついでに「真の愛」まで手に入れて、レオンの楽園ライフは続く──!

【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】 王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。 父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。 やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。 これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。 冒険あり商売あり。 さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。 (話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

屑スキルが覚醒したら追放されたので、手伝い屋を営みながら、のんびりしてたのに~なんか色々たいへんです(完結)

わたなべ ゆたか
ファンタジー
タムール大陸の南よりにあるインムナーマ王国。王都タイミョンの軍事訓練場で、ランド・コールは軍に入るための最終試験に挑む。対戦相手は、《ダブルスキル》の異名を持つゴガルン。 対するランドの持つ《スキル》は、左手から棘が一本出るだけのもの。 剣技だけならゴガルン以上を自負するランドだったが、ゴガルンの《スキル》である〈筋力増強〉と〈遠当て〉に翻弄されてしまう。敗北する寸前にランドの《スキル》が真の力を発揮し、ゴガルンに勝つことができた。だが、それが原因で、ランドは王都を追い出されてしまった。移住した村で、〝手伝い屋〟として、のんびりとした生活を送っていた。だが、村に来た領地の騎士団に所属する騎馬が、ランドの生活が一変する切っ掛けとなる――。チート系スキル持ちの主人公のファンタジーです。楽しんで頂けたら、幸いです。 よろしくお願いします! (7/15追記  一晩でお気に入りが一気に増えておりました。24Hポイントが2683! ありがとうございます!  (9/9追記  三部の一章-6、ルビ修正しました。スイマセン (11/13追記 一章-7 神様の名前修正しました。 追記 異能(イレギュラー)タグを追加しました。これで検索しやすくなるかな……。

処理中です...