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街の解放と魔王の目覚め
街の解放と魔王の目覚め①
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時刻は朝の六時。
レアネー市を取り囲む城壁の門を正面から開け放ち、堂々と市内へ踏み入ったのは、この街を拠点とする冒険者達だ。
ランクにしてB~F。けして強くはないが、街への愛着心が彼等を紛争へと駆り立てる。ファイター職が前衛となり、襲い来る住人達を取り囲む。
「今だ! 眠らせろ!」
「スリプル!」
ファイター達に守られる魔法使い達は、暴徒化した住人達を次々に眠らせる。手荒な事をして大怪我を負わせられないため、この作戦において状態異常を得意とする魔法使いはキーと言っていい。彼等の魔力が続く限り、眠らせ、縛り上げていく予定なのだ。
操られている住人の数が多すぎ、想定より時間がかかったものの、冒険者達は広場に到着。ファイター達が目立つ行動で注目を集めている間に、魔法使い達は四方に散り、それぞれが協力し合い、スルプルを広範囲で展開する。
長いキャストの末、バタリ、バタリと、敵味方問わず人間が倒れていく。半端な魔法技術によるスルプルが無差別に発動したため、仲間である冒険者もかかってしまうという悲しい事態だ。
だがこれは、事前に予測されていた事である。
スリプルに巻き込まれるのを防ぐため、マリ達は時間差で広場に来た。そこで目にしたのは、折り重なる様に倒れる住人達の姿。彼等がただ眠っているだけなのは分かるが、なかなか心臓に悪い光景である。
「こっちは冒険者ギルドと土の神殿の術者達でなんとかなりそうだ。あなた達は公爵邸へ向かってくれ!」
シルヴィアは、側に倒れるファイターに思いっきりビンタしながら、マリ達を先へと促す。
「分かった!」
「じゃあな、シルヴィアちゃん」
乗っ取られている公爵邸の解放に対処するのは、マリ、セバスちゃん、試験体066、公爵とその従者、そして亀の甲羅団の五人だが、このうち四人とはここで別行動だ。
「配置に向かって。狙撃を宜しくね!」
マリが囮となり、公爵邸から引っ張り出したガーゴイルは、狙撃班が殲滅する。一箇所に纏まって、狙撃するか、散らばるかについては意見が分かれたものの、一斉に撃ち込んだとき、的が被ると効率が悪いため、二人づつ二箇所から狙う事になった。
彼等には、ガーゴイルを外に出す前に配置に付いていてもらう必要がある。
「マリちゃん、気を付けてね! 石化されたら、治療代は僕がもってあげるよ!」
「お気を付けて!」
公爵とその従者が手を振り、離れて行く。彼等はマリのバイクルートの東側を担当するのだ。
「マリお嬢様……、やばくなったら、フルスロットルにしてこの街を出てくださいね。ガーゴイルは街の住人を石にするかもしれませんが、マリお嬢様の身が第一ですから!」
「アンタが昨夜張ってくれた罠をちゃんと活用するからね!」
「うぅぅ……、そういう話ではないんですけどもっ」
セバスちゃんは昨夜、ユネの手を借りて市内に潜入し、電気柵の部品で罠を張ってくれた。位置は聞いているので、上手いこと活かしたい。涙目の彼からホンダのCBR1000を受け取る。流石に重く、うっとなるが、まぁ許容範囲だ。
背中を丸めて西側に歩いて行く彼が若干心配になる。
(高い所から、短機関銃を撃って、転がり落ちないといいけど……)
「僕もそろそろ行く。西側の予定だけど、セバスさん一人でいいと思う」
「はい? アンタ、予定はちゃんと……」
勝手な事を言い始めた試験体066を睨みつける。彼は意外な程心配そうな表情をしていた。
「魔法撃ちながら移動する……。出来るだけマリさんの様子を見て、何かあったら直ぐに駆けつける」
「うん。気持ちは有難いけどさ、どの位のスピードで走るか分からないから、無駄だと思うけどね」
100キロ以上で走行するバイクに、人間の足で追いつけるわけがない。その辺を予想出来てない発言なのかもしれない。まぁ、彼一人が予定通り動かなくても、ルートを何周かしたら、ガーゴイルを殲滅する事が出来るだろう。
「……じゃぁ、行くね……」
分かったのか、分かってないのか、彼はノコノコとした足取りで何処かに去って行った。
(何かしら働いてくれる気はありそうなのかな。よくわかんないけど、任せてみよ)
彼の背を見守っていると、ナスド達が居る方向から破壊音が聞こえて来た。
「小道にも徘徊してる奴等が多くてメンドクセーな!」
「取り敢えず眠らせる。スリプル!」
亀の甲羅団に、巡回中の獣人達が襲いかかって来たのだ。彼等を傷付けるわけにもいかないため、ユネが魔法で眠らせる。
広場で大勢の住人を無力化してはいるが、街は広く、まだまだ魔人の手の内にある者達は多い。けして気を抜いてはいけないのだ。
「こいつらは端に転がしておいて、後で回収だ」
「「「オーケー!!」」」
倒しても、倒しても絶え無く現れる獣人達に、辟易とした雰囲気が漂い出した頃、漸く公爵邸の塀が見えて来た。
マリは緊張し、ゴクリと喉を鳴らす。
(ついに来た! バイクで西海岸から東海岸まで横断した事あるし……操縦は大丈夫!! ……なはず)
内心ドキドキするマリとは逆に、亀の甲羅団の面々は、場慣れしている。
動揺するどころか、寧ろ楽しみな様子。
ーーガインッ!!
ナスドがフレイル型のモーニングスターを軽く振り回し、石畳の路面に、巨大な棘鉄球を落とす。
「久々の強敵だ。腕が鳴るぜ」
レアネー市を取り囲む城壁の門を正面から開け放ち、堂々と市内へ踏み入ったのは、この街を拠点とする冒険者達だ。
ランクにしてB~F。けして強くはないが、街への愛着心が彼等を紛争へと駆り立てる。ファイター職が前衛となり、襲い来る住人達を取り囲む。
「今だ! 眠らせろ!」
「スリプル!」
ファイター達に守られる魔法使い達は、暴徒化した住人達を次々に眠らせる。手荒な事をして大怪我を負わせられないため、この作戦において状態異常を得意とする魔法使いはキーと言っていい。彼等の魔力が続く限り、眠らせ、縛り上げていく予定なのだ。
操られている住人の数が多すぎ、想定より時間がかかったものの、冒険者達は広場に到着。ファイター達が目立つ行動で注目を集めている間に、魔法使い達は四方に散り、それぞれが協力し合い、スルプルを広範囲で展開する。
長いキャストの末、バタリ、バタリと、敵味方問わず人間が倒れていく。半端な魔法技術によるスルプルが無差別に発動したため、仲間である冒険者もかかってしまうという悲しい事態だ。
だがこれは、事前に予測されていた事である。
スリプルに巻き込まれるのを防ぐため、マリ達は時間差で広場に来た。そこで目にしたのは、折り重なる様に倒れる住人達の姿。彼等がただ眠っているだけなのは分かるが、なかなか心臓に悪い光景である。
「こっちは冒険者ギルドと土の神殿の術者達でなんとかなりそうだ。あなた達は公爵邸へ向かってくれ!」
シルヴィアは、側に倒れるファイターに思いっきりビンタしながら、マリ達を先へと促す。
「分かった!」
「じゃあな、シルヴィアちゃん」
乗っ取られている公爵邸の解放に対処するのは、マリ、セバスちゃん、試験体066、公爵とその従者、そして亀の甲羅団の五人だが、このうち四人とはここで別行動だ。
「配置に向かって。狙撃を宜しくね!」
マリが囮となり、公爵邸から引っ張り出したガーゴイルは、狙撃班が殲滅する。一箇所に纏まって、狙撃するか、散らばるかについては意見が分かれたものの、一斉に撃ち込んだとき、的が被ると効率が悪いため、二人づつ二箇所から狙う事になった。
彼等には、ガーゴイルを外に出す前に配置に付いていてもらう必要がある。
「マリちゃん、気を付けてね! 石化されたら、治療代は僕がもってあげるよ!」
「お気を付けて!」
公爵とその従者が手を振り、離れて行く。彼等はマリのバイクルートの東側を担当するのだ。
「マリお嬢様……、やばくなったら、フルスロットルにしてこの街を出てくださいね。ガーゴイルは街の住人を石にするかもしれませんが、マリお嬢様の身が第一ですから!」
「アンタが昨夜張ってくれた罠をちゃんと活用するからね!」
「うぅぅ……、そういう話ではないんですけどもっ」
セバスちゃんは昨夜、ユネの手を借りて市内に潜入し、電気柵の部品で罠を張ってくれた。位置は聞いているので、上手いこと活かしたい。涙目の彼からホンダのCBR1000を受け取る。流石に重く、うっとなるが、まぁ許容範囲だ。
背中を丸めて西側に歩いて行く彼が若干心配になる。
(高い所から、短機関銃を撃って、転がり落ちないといいけど……)
「僕もそろそろ行く。西側の予定だけど、セバスさん一人でいいと思う」
「はい? アンタ、予定はちゃんと……」
勝手な事を言い始めた試験体066を睨みつける。彼は意外な程心配そうな表情をしていた。
「魔法撃ちながら移動する……。出来るだけマリさんの様子を見て、何かあったら直ぐに駆けつける」
「うん。気持ちは有難いけどさ、どの位のスピードで走るか分からないから、無駄だと思うけどね」
100キロ以上で走行するバイクに、人間の足で追いつけるわけがない。その辺を予想出来てない発言なのかもしれない。まぁ、彼一人が予定通り動かなくても、ルートを何周かしたら、ガーゴイルを殲滅する事が出来るだろう。
「……じゃぁ、行くね……」
分かったのか、分かってないのか、彼はノコノコとした足取りで何処かに去って行った。
(何かしら働いてくれる気はありそうなのかな。よくわかんないけど、任せてみよ)
彼の背を見守っていると、ナスド達が居る方向から破壊音が聞こえて来た。
「小道にも徘徊してる奴等が多くてメンドクセーな!」
「取り敢えず眠らせる。スリプル!」
亀の甲羅団に、巡回中の獣人達が襲いかかって来たのだ。彼等を傷付けるわけにもいかないため、ユネが魔法で眠らせる。
広場で大勢の住人を無力化してはいるが、街は広く、まだまだ魔人の手の内にある者達は多い。けして気を抜いてはいけないのだ。
「こいつらは端に転がしておいて、後で回収だ」
「「「オーケー!!」」」
倒しても、倒しても絶え無く現れる獣人達に、辟易とした雰囲気が漂い出した頃、漸く公爵邸の塀が見えて来た。
マリは緊張し、ゴクリと喉を鳴らす。
(ついに来た! バイクで西海岸から東海岸まで横断した事あるし……操縦は大丈夫!! ……なはず)
内心ドキドキするマリとは逆に、亀の甲羅団の面々は、場慣れしている。
動揺するどころか、寧ろ楽しみな様子。
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