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魚は食いますが、トカゲに用はありません!
魚は食いますが、トカゲに用はありません!④
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「……どちらも初めての食べ物だわ。どこの国の料理なのかしら?」
アリアはつみれ汁と梅干しを乗せた白飯を見て、戸惑った様に視線を泳がせた。見覚えの無い食べ物ばかり出され、警戒しているのかもしれない。
「これは私のママが生まれ育った国の料理だよ。まぁ、国って言っても、この世界とは別の世界なんだけどね」
「貴女は別の世界から来たの?」
「うん。私の服装とか、今居る部屋にある家具のいくつかを見た事ないでしょ?」
「そうなのよ。だからとても混乱してしまって……。あ、誤解しないでちょうだい。フレイティア公爵が連れている方だから、怪しんではいなかったのよ。でも、異世界から来たと言うなら、風変わりなのにも納得だわ」
早くも公爵を連れて来た効果が現れた。社会的地位が高い人が居ると、話がスムーズでいい。ただ、まぁ、彼が居なかったら、アリアは早々に立ち去っただろうけども……。
「取り敢えず、それ食べてみて。異物は入ってないからさ」
「えぇ。ではお言葉に甘えて……」
箸は使えないだろうから、フォークとスプーンを用意した。
彼女は美しい所作でスプーンを扱い、お椀の中のつみれを口に運ぶ。
つみれ汁は公爵から好評だったので、この世界の人達に全然ウケないわけではないと分かっている。だけど、人の味覚は様々だし、アリアにとって受け付けない味の可能性もある。はたしてどっちだろうか?
彼女は激しく瞬きし、ゆっくりと、慎重に咀嚼した。
その様子をマリはチョコチップクッキーに夢中なフリをしながら観察する。
「……おい……しい?」
ごくりと飲み込み、意外だとばかりに感想を言う。マリは密かに感心した。彼女は思ったよりも柔軟な人間なのだ。
「具だけじゃなくて、スープも飲んでみて。つみれから出た出汁のおかげでかなり美味しくなってる」
「つみれ? 出汁? 貴女の話の内容は、さっぱり分からないのだけど、言われた通りに食べてみるわ」
アリアはスプーンでスープをすくい、ほんの一口だけ飲み込む。
ワナワナと震え出したのは、気に入らなかったからなのだろうか?
「駄目だった?」
「いいえ!! 素晴らしいスープだわ! こんなに味わい深い料理が存在するだなんて! スプーンでチマチマと食べてなどいられないわ!」
アリアはガチャンとスプーンを置き、お椀を口に持っていく。フォークでワイルドにかき込む様は、マリより日本人的な食べ方だ。その姿に感動しつつ、白飯を薦める。きっとこちらも受け入れられるだろう。
「この白い食べ物、ご飯って言うんだけど、そのスープと相性バツグンだよ。赤くて丸いのは、口に合わなかったら残して」
アリアの目がキラリと光る。
乱暴にお椀を置き、今度はご飯をガツガツと食べだした。さっきの楚々としたお嬢様はどこへ行ってしまったのか。でもこういう姿の方が好ましい。気持ちのいい食べっぷりは見る価値がある。
(いい絵面だ……)
「うぐ!? この赤いの、とてつもない酸味だわ! でも、ご飯とやらで誤魔化せる……、ていうか、美味ですらあるような!? 嗚呼、なんて事なの! 食の神が舞い降りたみたい!」
梅干しもクリアしたらしい。「無くなってしまった」とションボリとお椀を見るアリアの為に、マリはキッチンスペースからおかわりを持ってきてやる。
「有難う! 美味しくて、しかも栄養も考えられてて……、貴女はきっと名のある料理人なのでしょうね」
「無名だけど、その言葉だけで幾らでも親切に出来そう」
手放しで褒められ、感謝されるとやはり恥ずかしい。微妙に可愛くない言葉を言ってしまうマリであった。
「ここ数日、碌な食事をしていなかったのよ。だから生き返る感覚だわ」
「食事を疎かにしちゃったのは、盗人を追いかけるのに忙しかったから?」
「そうなのよ。十日程前に、急にリザードマンの集団が水の神殿に侵入して、神器を奪って行った……、って、水の神器は今どこに!?」
「公爵が秘宝だと教えてくれたから、一応私の金庫にいれてるよ。今返す?」
「保管してくれていたという事なのかしら? 働かせてばかりで悪いのだけど、返してもらえるかしら?」
「オーケー」
アリアは、一時大声で騒ぎだしたが、キャンプカーの中に神器があると知り、トーンダウンした。
彼女の視線を背中に感じながら、キッチンスペースの隣にある棚を開ける。
アリアはつみれ汁と梅干しを乗せた白飯を見て、戸惑った様に視線を泳がせた。見覚えの無い食べ物ばかり出され、警戒しているのかもしれない。
「これは私のママが生まれ育った国の料理だよ。まぁ、国って言っても、この世界とは別の世界なんだけどね」
「貴女は別の世界から来たの?」
「うん。私の服装とか、今居る部屋にある家具のいくつかを見た事ないでしょ?」
「そうなのよ。だからとても混乱してしまって……。あ、誤解しないでちょうだい。フレイティア公爵が連れている方だから、怪しんではいなかったのよ。でも、異世界から来たと言うなら、風変わりなのにも納得だわ」
早くも公爵を連れて来た効果が現れた。社会的地位が高い人が居ると、話がスムーズでいい。ただ、まぁ、彼が居なかったら、アリアは早々に立ち去っただろうけども……。
「取り敢えず、それ食べてみて。異物は入ってないからさ」
「えぇ。ではお言葉に甘えて……」
箸は使えないだろうから、フォークとスプーンを用意した。
彼女は美しい所作でスプーンを扱い、お椀の中のつみれを口に運ぶ。
つみれ汁は公爵から好評だったので、この世界の人達に全然ウケないわけではないと分かっている。だけど、人の味覚は様々だし、アリアにとって受け付けない味の可能性もある。はたしてどっちだろうか?
彼女は激しく瞬きし、ゆっくりと、慎重に咀嚼した。
その様子をマリはチョコチップクッキーに夢中なフリをしながら観察する。
「……おい……しい?」
ごくりと飲み込み、意外だとばかりに感想を言う。マリは密かに感心した。彼女は思ったよりも柔軟な人間なのだ。
「具だけじゃなくて、スープも飲んでみて。つみれから出た出汁のおかげでかなり美味しくなってる」
「つみれ? 出汁? 貴女の話の内容は、さっぱり分からないのだけど、言われた通りに食べてみるわ」
アリアはスプーンでスープをすくい、ほんの一口だけ飲み込む。
ワナワナと震え出したのは、気に入らなかったからなのだろうか?
「駄目だった?」
「いいえ!! 素晴らしいスープだわ! こんなに味わい深い料理が存在するだなんて! スプーンでチマチマと食べてなどいられないわ!」
アリアはガチャンとスプーンを置き、お椀を口に持っていく。フォークでワイルドにかき込む様は、マリより日本人的な食べ方だ。その姿に感動しつつ、白飯を薦める。きっとこちらも受け入れられるだろう。
「この白い食べ物、ご飯って言うんだけど、そのスープと相性バツグンだよ。赤くて丸いのは、口に合わなかったら残して」
アリアの目がキラリと光る。
乱暴にお椀を置き、今度はご飯をガツガツと食べだした。さっきの楚々としたお嬢様はどこへ行ってしまったのか。でもこういう姿の方が好ましい。気持ちのいい食べっぷりは見る価値がある。
(いい絵面だ……)
「うぐ!? この赤いの、とてつもない酸味だわ! でも、ご飯とやらで誤魔化せる……、ていうか、美味ですらあるような!? 嗚呼、なんて事なの! 食の神が舞い降りたみたい!」
梅干しもクリアしたらしい。「無くなってしまった」とションボリとお椀を見るアリアの為に、マリはキッチンスペースからおかわりを持ってきてやる。
「有難う! 美味しくて、しかも栄養も考えられてて……、貴女はきっと名のある料理人なのでしょうね」
「無名だけど、その言葉だけで幾らでも親切に出来そう」
手放しで褒められ、感謝されるとやはり恥ずかしい。微妙に可愛くない言葉を言ってしまうマリであった。
「ここ数日、碌な食事をしていなかったのよ。だから生き返る感覚だわ」
「食事を疎かにしちゃったのは、盗人を追いかけるのに忙しかったから?」
「そうなのよ。十日程前に、急にリザードマンの集団が水の神殿に侵入して、神器を奪って行った……、って、水の神器は今どこに!?」
「公爵が秘宝だと教えてくれたから、一応私の金庫にいれてるよ。今返す?」
「保管してくれていたという事なのかしら? 働かせてばかりで悪いのだけど、返してもらえるかしら?」
「オーケー」
アリアは、一時大声で騒ぎだしたが、キャンプカーの中に神器があると知り、トーンダウンした。
彼女の視線を背中に感じながら、キッチンスペースの隣にある棚を開ける。
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