米国名門令嬢と当代66番目の勇者は異世界でキャンプカー生活をする!~錬金術スキルで異世界を平和へ導く~

だるま 

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夕空の下で食べるスパイスカレー

夕空の下で食べるスパイスカレー②

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 マリは壁の向こうから姿を現した圧倒的な美人を食い入る様に見つめる。そしてその人物の妖艶な眼差しもマリをロックオンしている。

(この人、ケートスを自分のペットって言ってたよね。って事は……)

 美人の正体に思い至ってしまった。色んな疑問が頭を駆け巡る。
 神界に居るのではなかったのか? 自分達はこの人に助けられたのか?

「お前、アタシの正体が何なのか分かったみたいねぇ」

「アンタは水の神、ネプトゥーヌスでしょ!?」

 マリが叫ぶ様にその名を伝えると、神は満足そうに頷いた。
 どこかフランクな雰囲気があったケレースと違い、水の神はあまりに超然とした雰囲気がある。どう話を続けようかと考えるマリの後方から、コツリ、コツリと近付いて来る者がいた。振り返ると、アリアだった。

 青褪めた顔は真っ直ぐ前を向き、ネプトゥーヌスを見据える。

「ネプトゥーヌス様。私の事を覚えていらっしゃいますか?」

「お前の事は覚えている。だから助けたのよ」

「あ……有難うございます!」

「よい」

 やはり、水の神はマリ達を助けるつもりでケートスに食わせた様だ。アリアの普段の行いが良いから、マリ達の命も助かったなら、彼女に感謝しなければならない。

「あ、あのっ! どうか貴方様が暫く姿を眩ませていた御理由をお聞かせくださいませ。わ、私はその為にここに! 神界にいらっしゃるとばかり思っていたのですが……」


 アリアは震えながらも、しっかりと水の神の目を見て、目的を伝える。
 そんな彼女の姿は未来の大神官として相応しく見え、とても眩しい。

「えぇ、ある神に会いにいくため、神界に行っていた。この世界には先程戻って来たのよ」

「そうでしたのね……。もう少しお話を伺っても??」

「娘。お前の真っ直ぐさ、嫌いではないわ。……でも今は、お前ではなく、このチビに用があるのよ」

 ネプトゥーヌスは、手に持つ団扇の先端でマリを示す。

「チビって……、ハッキリ言ってくれんじゃん」

 確かにマリの身長は151㎝。低身長を理由に、女子校の上級生にからかわれる様な事を言われたりしているので、神の言葉にカチンときた。
 ネプトゥーヌスはジト目で見上げるマリにニヤリと笑う。
 なかなかの悪役ぶりだ。

「お前、アタシに付いて来なさいな。カリュブディスから助けてやったんだから、恩返ししなさい」

「カリュブディス……?」

 また聞き覚えのない単語が出てきた。だけど、話の流れから察するに、リザードマンの巣窟と化した小島に居た化物の事だろう。アイツの口の青白い光は、やっぱり危険な物だったらしい。
 水の神のお陰で死なずに済んだのは、感謝しかないが、恩返しとなると嫌な予感がする。

 戸惑うマリの肩に手が乗せられる。

「マリさん、僕も一緒に行く。というか、水の神に助けられたのは、ここにいる皆だって同じだ。恩返しは何人でしてもいいと思う」

 グレンはハッキリとした口調で、主張する。協力してくれる気なのは、グレンだけじゃなく、部屋に居る全員が同意するように頷く。
 少しホッコリした雰囲気になったが、それを拒否したのは水の神だった。

「連れて行くのは娘一人だけよ。アタシの気が変わらないうちにさっさと来なさいな」

「う~~」

 気難しい人だ。グレン達に肩を竦めて見せ、「一人で頑張る」と伝える。
 ケートスの体内から抜け出る事と、現在水の神殿の近海に起きている事の説明を求める為には、水の神と交渉する必要がある。“恩返し”とやらをした後の方が、他のお願いをしやすくなるだろうから、今は耐えるしかない。
 シャナリ、シャナリと歩く後ろ姿を小走りで追いかける。

「マリさん! 気をつけて!」

 グレンに心配されてしまった。さっき弱い所を見せたから、保護者みたいな気分になっていそうだ。これからは威厳ある姿を見せなければなるまい。

 彼に手を振り、通路で先で待つ水の神に走り寄る。

(そうえいば、水の神って、神殿の大神官や神官に“彼”と呼ばれてたよね。でも女性しか見えない……。胸はツルペタだけど)

「お前は神の胸に興味があるの?」

 胸を見すぎて、水の神に呆れられた。

「ある!」

 ここで誤魔化すと、まるでセバスちゃんみたいなムッツリに思われそうなので、正直に答える。
 ネプトゥーヌスは虚をつかれた様子でマリをマジマジと見つめる。
 その表情は、何故か結構男っぽい。ちゃんと聞いてみてもいいかもしれない。

「ネプトゥーヌスは男なの?」

「ああ……、お前。野獣の様にアタシの衣を脱がせて、胸を見たいのかと思ったら、性別を気にしてるだけか。男だの、女だの、どうでもいいのよ。ただアタシは自分が最も美しく見える格好をしたいだけなのだから……ね」

「ふぅ~~ん。女にも男にも、恋出来る?」

「アタシは女が好き」

 どキッパリである。水の神殿の様子から薄々察してはいたが、もしかすると中々に女好きの神なのかもしれない。深入りしたくないものだ。

「ねぇ、恩返しって、私に何させるつもりなの? 変な事はしないからね!」

 エロだけは断固拒否の構えだ。ほぼ睨む様に水の神を見上げる。

「こ・れ・よ」

 彼の手の平の上に、どこからともなくガラスの瓶が現れる。さっきマリがケートスに向かって投げたメイソンジャーに他ならないだろう。

「この中に、魚を加工した料理が入っていたわね。あれを作ったのはお前なの?」
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