米国名門令嬢と当代66番目の勇者は異世界でキャンプカー生活をする!~錬金術スキルで異世界を平和へ導く~

だるま 

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夕空の下で食べるスパイスカレー

夕空の下で食べるスパイスカレー③

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「私一人で作ったわけじゃないよ。さっきの部屋にいた白髪の男と協力して作った」

 マリがそう言うと、水の神は考える様なそぶりをした。

「ふぅ……ん。確かに白髪の子の魔力量は普通じゃなかったわね。あの子も連れて来た方が良かったかしら……」

「アイツが一緒なら、そっちの方がいいんだけど」

 これ幸いと、申し出るが、アッサリ覆えされる。

「まぁ、お前一人でいいわ。さっき食べた魔力とお前から感じ取れる魔力が一致してるんだからね」

(だったら期待される様な事言わなければいいだろ!)

 グレンも道連れに出来るかもしれないと喜んだだけに、ガッカリ感が凄い。
 神はそんなマリの気持ちを知ってか知らずか、鼻歌を歌いながら再び歩き出す。
 ここで怒っても仕方がない。マリは軽くため息をついて後を追った。

 ケートスの身体は、内部もやはり巨大だ。通路が想像以上に長い。
 五分程直進し、階段を上ってさらに進む。

「……お前が投げた魚の加工品を食べた時、とても懐かしい感んじがした……。でも、どうしてなのかしら……。何と結び付け、懐かしいと思ったのか分からないの。とても遠い記憶なのね……きっと」

 彼は歌うように独り言をいい、「ウフフ……」と含み笑いを漏らす。思い出せないと言いつつも、ちっとも苦痛を感じていないようだ。

(懐かしいって、何言ってんの? 水の神と会うのはこれが初めてなのにさ)

 あやふやな事を言って混乱させるのはやめてほしい。

「もっと魚を食べなよ。認知症の侵攻を食い止められるかもしれないよ」

「……このアタシに向かって何て口の効き方なのかしら。あぁ……ん。でもその言葉も誰かに言われた気が……。なんなの、この気持ち、なんなの~。ま、直ぐに分かるからいいのだけど」

 水揚げされたタコの様に、身をくねらす神の姿に、マリは震えた。
 嫌な予感がする……。


 水の神は、マリの魔力に触れたせいで、過去に会った誰かを連想した。
 そして、その人物が誰かは分からないが、何かをやらせねばと思った……といったところか。
 
(無理だろう……)

 無茶ぶりされそうでとても怖い。

 前を行くネプトゥーヌスが止まる。
 いつしか突き当りまで来ていた。
 立ちはだかる壁に、彼が手をかざすと、それはザラリと崩れ去った。

 壁の先には、小部屋が広がっていた。薄暗い部屋の中で、幾つもの光が瞬く。
 沢山の窓が、天井や壁、そして床にまで備え付けられている。
 それらは、海の中を映していたり、都市の中を映していたりして、実に不思議だ。ただの窓ではないのは確か。

 キョロキョロと見て回ると、水の神殿を映す窓、水の聖域がある小島を映す窓、さらに、その下に居た化物を映す窓が確認出来た。

(監視カメラみたい)


「気になっているみたいね」

「そりゃぁ、見覚えのある風景が映っていたら誰だって気になるよ」

「ウフン。そうかもしれないわね。この窓はね、火の神に造らせたの。アイツの弱味を握ってね。遠くの景色を映す機能があるから気に入ってるのよ」

 火の神は、ニューヨーク状況まで把握出来る、凄い神だったはずだ。そういう神に造らせると、これ程便利な代物になるのかと、マリは少し感動した。

「ただね。一つだけ、私が創った物があるのよ。お前はソレを見つけ出せるかしら?」

 ネプトゥーヌスは、部屋の中央部にあるカウチに寝そべり、色っぽい眼差しでマリを見る。
 最近どうにも試される事が多い。
 またかと思うと、結構辟易とするのだが、神に逆らうわけにもいかない。

「探してみる」

 立っている場所に最も近い窓から順番に見て回る。
 火の神が造った窓は遠景を映すはずだから、この世界っぽくない物を選べばいいはず……。
 よって、さっき目に入った三つは除外だ。

 王城を映す物。プリマ・マテリア本部を映す物。土の神殿を映す物。
 くまなく見て行くが、途中で分からなくなる。この世界の中で、マリが見た事がある風景が限られているからだ。
 
(これ、難しいな。全部風景を映してるんだけど……、細かな違いがあるって事?)

 火山を映す窓に戻ろうとすると、足が何かを蹴った。
 ツルリと床を滑っていったのは、手鏡だ。
 それを拾い上げてみると、随分小汚いアンティーク品だった。表面が曇り、錆びついている。

(水の神がこれで身だしなみを整えてる? でも顔がまともに映らない)

 鏡の表面を人差し指でつつく。すると不思議な現象が起こった。
 まるで水面のように、小さな波紋が何度も広がる。

「えっ!?」

 鏡の曇りが晴れた。クリアになったソレは、マリの顔を映し—ーいや、違う。これは別人の顔だ。
 生意気そうな美女が、真っ直ぐにこちらを見ている。

「誰? この人……」

「なるほどぉ……。お前に懐かしさを感じた理由が分かっちゃった」

 いつのまに近付いて来ていたのか、水の神はマリの後ろから手鏡を覗き込んでいた。
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