米国名門令嬢と当代66番目の勇者は異世界でキャンプカー生活をする!~錬金術スキルで異世界を平和へ導く~

だるま 

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火の神殿へ

火の神殿へ④

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「そのイヴンナ山に登るためには、まずどこに行ったらいいの?」

 マリの問いに、アウソン大神官は長いアゴヒゲを撫でながら答える。

「ドワーフの里付近に登山口がありますぞ。入山に関してはドワーフ達が管理しています」

 ドワーフの里には、オリハルコン製の剣を入手する為に行きたいので、これはなかなか好都合かもしれない。

「んんん……。アースドラゴンは古来より、ハリテクトリ候領の鉱物を喰らい続けていたそうですな。しかし、金属加工を生業なりわいとするドワーフ族はそれに危機感を覚えたのです……」

「鉱物資源が枯渇してしまうから?」

「ええ、ええ。だからドワーフ族はアースドラゴンと協定を結びました。年に一度、不純物が入っていない良質のオリハルコンを提供する代わりに、鉱山を食い荒らさないようにと。これのお陰で、現在でも採掘業を行えているんでしょうな」

 大神官が語るこの地の歴史に思いを馳せる。
 モンスターとの共存なんて、元の世界では考えもしない事だったが、こちらの世界では昔から衝突が絶えなかったのだろう。アースドラゴンが人語を理解出来たのは、ドワーフ族にとって不幸中の幸いだったのかもしれない。

「それにしてもさ、不純物無しのオリハルコンって、かなり硬そうだよね。それを食べて……消化するの? アースドラゴンの消化液はかなり酸性なんだろうね」

 マリが素朴な疑問を口にすると、公爵が答えてくれた。

「先日遭遇したボールダーもそうだったように、モンスターは人間の身体の構造と同一ではないんだよ」

「フレイティア公爵の言う通りですぞ。伝え聞く話によると、アースドラゴンは喰らった鉱石を外皮とするようなのです。イヴンナ山に居る個体は、カッチカチなんでしょうな」

「うわぁ……。それ、倒せるのかな」

 アウソン大神官の話が本当なら、イヴンナ山に居るアースドラゴンは、ドラゴンの形をしたオリハルコンという感じだろうか。ごく普通の攻撃ではビクともしなそうな気がするのだが、その辺どうなのだろうか。
 肩を落とすマリに、モイスがヘラヘラと笑いかける。

「楽観的に考えましょ。マリ様。アースドラゴンを倒さなくても、身体の表面にアダマンタイトがくっ付いてるかもしれまへんやん。隙を付いてちぎり取ったらよくないです?」

「そんな事したら、怒って、襲われるよね?」

「そうですやろなぁ」

「結局倒さなきゃいけないじゃん」

 何という適当さだろうか、マリは腹が立ち、モイスを睨んだ。
 マリ達のやり取りに、公爵は笑う。

「ププ…‥‥。まぁ取りあえずさ、マリちゃん。アースドラゴンに関しては、一度ドワーフの里に行って、聞き込みしてみよう。モイスは、ドワーフの族長に連絡を入れてくれるかな?」

「やっときますわ」


◇◇◇


 翌朝、トマトやパプリカの煮込み料理シュクシュカを食べながら、マリは昨日の話をセバスちゃんやグレンに伝える。

「アースドラゴンの外皮って、メチャクチャ硬いみたい。私達って普通のドラゴンとも戦った時ないけど、大丈夫なのかな」

「僕は倒した事あるよ」

 グレンはそう言い、シュクシュカを乗せたパンを口に運んだ。

「え、何時? もしかして前の勇者の記憶?」

「いや。僕自身の経験。王都の近くにあるダンジョンの下層にドラゴンが居るんだ」

「王都に居た時にグレンが通ってた所だよね? 思ってたより歯ごたえある所なんだね」

 知らぬ間に戦闘経験を積んでいたグレンに、マリは目を丸くする。

「僕が学生の時に、実習でそこに行った事があるけど、ドラゴンは居なかった気がするな」

「公爵さんはたぶん正規ルートを通ったんじゃないかな。脇道に入らないと遭えないと思う」

「なるほどね」

「マリさんの話を聞くと、アースドラゴンはかなり癖がありそうだけど、倒すのは不可能ではない気がする」

 ドラゴンを倒した事があるグレンが言うのだから、なんとかなるのかもしれない。
 
「私はあまり気が進みませんけどね……」

 そう言ったセバスちゃんを見ると、実に嫌そうな顔をしている。彼はアニオタだし、アレコレゲームをやっているので、ゲームの恐ろしさをマリ以上に感じてそうである。

(でもなぁ……。アダマンタイトはゲットしなきゃいけないわけだし。避けては通れなそう)

 アースドラゴン以外の話題に出しながら、ノンビリ料理を食べていると、ドンドンとキャンプカーのドアが叩かれた。

「もうモイスが来たかな」

 今日は火の神に会う予定になっている。モイスがキャンプカーまで迎えに来る約束になっていたが、今は朝の7時なので、思っていたよりも来るのが早い。
 セバスちゃんがドアを開けると、中に入って来たのはやはりモイスだった。

「おや? もう朝食を食べているんですか? ご一緒出来たらと思ったんやけど」

 どうやら朝食目当てで、早めに来たらしい。まぁ、料理を気に入ってくれているのだろうから、悪い気はしない。
 マリはしょうがなく彼の分の皿を取りに行った。
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